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親しき仲にも礼儀ありの本当の意味①

私には親友と呼べる友達がいた。
彼女は明るくて優しくてまじめで誰からも好かれる、そんな人だった。
出会ったのはもう10年位前だろうか。

そんな彼女を失ってしまったように思う。でも、それでよかったかもしれないと思っている、そんなお話。

出会い

彼女とは子供を通して話すようになり、意気投合してからは一緒に買い物に行ったり、お互いの家を行き来したりしていた。思えばいつも彼女の方から誘ってくれていたと思う。

考え方も似ていて子育てや趣味の話も驚くほど共通点があった。遠慮なく本当のことが話せる…。そんな人に出会えるなんて思っていなかった。ママ友がいなかった私はとても嬉しかった。正確に言うと、いることはいたが無理して相手に合わせたり、相手に嫌われないようにふるまう…そんな付き合い方しか出来なかったのだから、言い過ぎかもしれないが彼女がいてくれるだけで本当に幸せだった。

助け合い

「困った時は遠慮しないで助け合おう」そんな約束が出来たことも嬉しかった。甘えられない私のこともすぐに理解してくれて、ちょっとした会話の中でもさっと気が付いてアドバイスをくれたり、本当なら嫌であろうことにも付き合ってくれた。それに応えるようにして私も彼女の出来ない分野を補ってきたと思う。

考え方の違い

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とは言っても、同じ人間ではないので違う考え方も持っている。
私は時間にルーズな人が苦手だが彼女がそうだった。いろいろ思う所はあったが仕方ないので彼女との予定は遅れることを前提に、ゆっくり待つことにした。待っている間にもうひと眠りしたり本を読んだり、家の片付けが出来ると思えばいい。
彼女にはお世話になっているし沢山助けてもらった。何より大好きな友達だから、ちょっと違うかなと思うことがあっても自分の中で落とし込んでたいしたことではないと思うようにしていた。私にも悪い所はある。きっと彼女もそうしてくれていたと思う。

お金

金銭的に助けたこともあった。親から「お金の貸し借りは友情を壊す。もし貸すなら戻ってこないと思って渡しなさい」と強く言われていたが、彼女ならお金が戻ってこなくてもいいと思った。でもきっかり期限には返してくれたし、忘れたり期限を延ばされたことは一度もなかった。
ある日、カードの請求が一気に来てしまい私も金欠になったことがあった。もちろん定期を崩せばお金は多少あるが崩さないに越したことはない。
今月は子供の支払いもあるのでなんとかギリギリだなと思っていた時、彼女からお金を貸してほしいと連絡が来た。私は事情を話して今月はちょっと貸せないと話した。すると今まで見たことがない顔でこう言われた。

「え、じゃぁ病院行けないじゃん」

正直驚いた。確かに彼女には持病があって病院に行けないのは困るだろう。でも私が貸すのが当たり前のように言われるのは違うのではないか。そもそも親に借りればいい。でもなぜかそこで「ごめん」と謝って別れた。
モヤモヤした気持ちが流れた。

その後も何事もなかったように関係は続いた。私も何も言わなかった。

②へ続く

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