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【マガジン】月の砂漠のかぐや姫

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今ではなく、人と精霊が身近であった時代。ここではなく、ゴビの赤土と砂漠の白砂が広がる場所。中国の祁連山脈の北側、後代に河西回廊と呼ばれる場所を舞台として、謎の遊牧民族「月の民」の… もっと読む
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2020年5月の記事一覧

月の砂漠のかぐや姫 第96話

月の砂漠のかぐや姫 第96話

「さて・・・・・・」
 小野が説明を続けようとした、その時でした。
 ガタンッ。
 大きな音を立てて椅子から立ち上がった男がいました。それは、先程から白い顔をして緊張のあまり細かく震えていた王柔でした。
「ま、待ってください! 理亜も、理亜もその場に連れて行くんですか! この間も盗賊団の仲間が大怪我をしたところに、小さな理亜を連れて行くなんて・・・・・・、僕は、僕は・・・・・・反対ですっ! それに

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月の砂漠のかぐや姫 第95話

月の砂漠のかぐや姫 第95話

 これまでに小野と共に様々な調査活動を行ってきた経験があるからなのでしょうか。事前に何も相談されていなくても、王花には小野の話が行きつくところが見えていました。だからこそ、案内人に話が及んだ時に、躊躇することなく王柔を指名することが出来たのでした。
 本来であれば、もっと経験のある案内人を出すところなのかもしれないのですが、今回だけは、ヤルダンを渡った何十回の経験よりも、理亜と一緒に辿ったたった一

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月の砂漠のかぐや姫 第94話

月の砂漠のかぐや姫 第94話

「ヤルダンへ。母を待つ少女の奇岩の元へ。やっぱり、そうだね。それしかないだろうね」
 時を置かずに、王花が小野の言葉に同意を表しました。これまでに聞いていた話の内容から、羽磋にも同じように考えられました。小野の指示を聞く体勢となっている冒頓も深く頷いていますし、超克も同様です。小部屋の中にいる人たちの意思は、小野の意見の下に統一されたように見えました。・・・・・・ただ一人、真っ白な顔色をして細かく

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連載再開のお知らせ

連載再開のお知らせ

「月の砂漠のかぐや姫」のあらすじが、お陰様で無事に本編に追いつきました!
 今後は通常の連載を再開いたしますので、これからも「月の砂漠のかぐや姫」をよろしくお願いいたします!!

「月の砂漠のかぐや姫」これまでのあらすじ⑳(第90話から第93話)

「月の砂漠のかぐや姫」これまでのあらすじ⑳(第90話から第93話)

「き、奇岩が、ですか・・・・・・」
「ああ、そうだ。とても信じられないかもしれないけど、ヤルダンにある奇妙な形をした砂岩、あれが動いたんだよ」
 月の民という遊牧民族の国に属する者であれば、ヤルダンの名を知らないものはありません。そして多くの子供たちは、そこには怪しく奇妙な形をした砂岩が幾つも立ち並んでいて交易路に暗い影を落としているのだと年長者から伝え聞き、遠い空の下にはとても恐ろしい場所がある

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「月の砂漠のかぐや姫」これまでのあらすじ⑲(第84話から第89話)

「月の砂漠のかぐや姫」これまでのあらすじ⑲(第84話から第89話)

 羽磋が来るように言われたのは、酒場の厨房の更に奥に造られている小部屋でした。
 この建物はもともと倉庫として建てられたものなので、開放的に大きく切り取られた店の正面口とは裏腹に、反対の面には通気口程度しか開けられていませんでした。そのため、まだ酒場の方では十分明るいにもかかわらず、小部屋の中には貴重な油を使った燭台がいくつか立てられ、中にいる人の影をゆらゆらと壁に映し出していました。
 小部屋の

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「月の砂漠のかぐや姫」これまでのあらすじ⑱(第81話から第83話)

「月の砂漠のかぐや姫」これまでのあらすじ⑱(第81話から第83話)

 物語は、元の時間に戻ります。
 それは、王柔たちがヤルダンを通り抜けて土光村に着いてから、約一か月後のことでした。
 讃岐村から西へ進んでいた小野の交易隊も、交易路の中継地点として栄えている土光村に辿り着きました。
 小野の交易隊はとても規模が大きく、運んでいる荷も多かったので、小野は村が近づくと先触れを出して、逗留する間の準備をさせました。常に丁寧な仕事を心掛ける小野らしい周到な準備により、交

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「月の砂漠のかぐや姫」これまでのあらすじ⑰(第79話から第80話)

「月の砂漠のかぐや姫」これまでのあらすじ⑰(第79話から第80話)

 それから、二日が経ちました。
 行進を再開した寒山の交易隊は、ヤルダンを無事に抜けて、中継地点である土光村へ到着していました。
 王柔は、彼らがヤルダンを抜けるために雇われた案内人でしたから、「ご苦労さん、あの子のことは、あまり気にするなよ」という雨積の言葉に送られて、隊から離れていました。
 本来であれば、土光村の中にある「王花の酒場」に、仕事が終了した旨の報告をしなければいけないところでした

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「月の砂漠のかぐや姫」登場人物等紹介

「月の砂漠のかぐや姫」登場人物等紹介

「月の砂漠のかぐや姫」は、今でない時、ここでない場所、人と精霊の距離がいまよりももっと近かった頃の物語です。「月から来たもの」が自らの始祖であると信じる遊牧民族「月の民」の少年少女が、ゴビと呼ばれる荒れ地を舞台に、一生懸命に頑張ります。
 物語世界の下敷きとなっている時代や場所はあります。時代で言えば遊牧民族が活躍していた紀元前3世紀ごろ、場所で言えば中国の内陸部、現在では河西回廊と呼ばれる祁連(

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