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海のない大和に暮らすようになってからというもの、海への想いがどんどんと募るようになりました。ぼくのなかの血がそうさせるのかもしれません。瀬戸内から遠い異国へもでかけていったという海賊の血が、多少なりとも流れているからなのでしょう。

上海への船に心躍らせたのも、いまおもえば、そこに原因があったのかもしれません。学生の時には、離島に住むことも考えていたこともあります。何かのタイミングがずれたら、そうなっていたかもと思うと、海のない奈良にいることが不思議に感じます。海賊の血よりも濃い何かがあるのかもしれませんね。

無意識のなかに何かが存在する気配を感じることがあります。微弱な電波のようなものですので、みみをすまし、めをつむると感じることができます。こころのなかの船は、その方向へ舵を取るように思うのです。心の中の海図を読みながら。

礼文島、五島、瀬戸内、沖縄、台湾と香港の島々、インドネシア、スリランカ。それぞれの祈りが、島々にいきづいていました。微弱な電波は、この辺から発信されているのでしょうか。まだその正体はあきらかではありません。

時代もすすみ、空飛ぶ船は世界をめぐり、宇宙へゆく船もできつつあるようですね。ひとはみな冒険がすきなのです。船に乗ってやってきたお坊さんがやすらかにねむるここ大和の地。ぼくの数々の冒険は、くりかえされることでしょうね。どんなに世界がせまくなっても、やっぱり広いのです。

ぼくは毎夜舟にのり、夢の世界へ旅します。月の舟をみながら、夜の海へ航海にでかけます。まだ見ぬ「なにか」をさがすために。






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