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前向きな後ろ向き【高崎 京ヶ島天然温泉 湯都里@群馬県】(2/2)

 実は最近、仕事でうまくいかないことが続いていた。新しいことに挑戦しているから失敗も起こり得るとはいえ、どうも思い通りにならないことが立て続けに起きた僕は、少し気が滅入っていたのだ。

 といっても、僕自身が直接なにかミスをおかしたというよりも、周りの人間が起こしたトラブルに僕が巻き込まれた形ではあるのだけれど、それも乗り越えなければ僕がこの仕事を任された意味がない。そのためには、たまの息抜きも重要だ。

「よし、着いたぞ」

 そう、今回訪れたのは、「高崎 京ヶ島天然温泉 湯都里」だ。6月18日(土)に仕事で群馬県内に訪れていた僕は、そのまま一泊してから都内の自宅に戻ることにしていたのである。新幹線の時間まではまだ余裕があったため、この機会にサウナを新規開拓しようと考えたのだ。
 湯都里は早朝から深夜まで営業しているスーパー銭湯で、地元の方々からかねがね噂は聞いていたものの、僕が到着した午前8時半頃にはすでに駐車場がほとんど埋まっていた。

 さっそく館内に入り、受付を済ませると、タオルセットが入ったバッグ(有料)とキーバンドを受け取り、奥へと進んだ。そしてほどよい広さが確保された脱衣所で準備を済ませると、僕はいよいよ浴場へと足を踏み入れた。

「おお! これはすごい(笑)」

(じゃらん: https://www.jalan.net/kankou/spt_guide000000207929/activity/l000028118/ )

 中は多くの人で賑わっているだけでなく、壁から天井付近までいたるところに群馬の郷土文化『上毛かるた』の大きな絵札が飾られていたのだ。施設の群馬愛が伝わってきて、これだけでもとても楽しい気分を味わえる。

 まず身を清めた僕は、趣向を凝らしたいくつかの内湯には入らず、ガラス窓越しに見えた広々とした露天スペースに移動をした。ここには大小さまざまな5種類のお風呂が設けられていたのだが、これらはすべて源泉掛け流しの温泉である。湯船からは大量のお湯が溢れ出し、人が歩くための通路にも温泉が流れ続けている。

(湯まっぷ: https://yumap.jp/gunma/spot/1076/photo/u161 )

 その豊富な湧出量に圧倒されながらも、お湯に身を委ねてみると、しっとりとした優しい手触りで、ほのかに土っぽさを思わせる温泉特有の良い香りが漂ってきた。これは気持ちがいい。

「では、そろそろ行こうか」

 ほどほどに温泉を満喫したところで、僕はサウナ室に向かった。だが、ここで僕はある事実を知ることになる。

「えっ? 1つじゃないの?」

 そう、サウナ室は1つでも、そして2つでもなく3つあったのだ。それぞれ特徴が異なり、まず最初に入った「塩サウナ」は70℃弱の室温で、高い湿度が保たれていた。室内には大量の塩が盛られており、それを肌に載せながら蒸されることで美容効果が期待できるものになっている。その5人ほどが座れる小さなスペースでテレビを眺めながらじっくり蒸されていると、じんわりと体が温められ、数分で全身から汗が流れ出してきた。
 塩サウナを出るとすぐ脇にシャワーがあり、そこで塩を洗い落としてから僕が向かったのは、二重扉の奥にある「アロマサウナ」だ。こちらは名前からは想像できないほど強烈なスチームが充満している広々とした空間で、10人ほどがゆったりと座れる広さがあり、室温こそ高くないものの、高温の熱蒸気によって体感温度はゆうに90℃を超えている。
 そして、ついにここからが本番である。アロマサウナと共用の二重扉の中には、「シアターサウナ」と名付けられたもう一つのサウナ室があり、これがこの施設のメインサウナとなっているのだ。

「あつっ! なるほど、そういう設計か」

(公式サイト: https://www.yu-tori.jp/シアターサウナ )

 その扉を開けると熱波が襲ってきたのだが、それには理由があった。サウナ室は3段構造なのだが、その最上段部分に出入り口があるのだ。多くのサウナ室は、中に入ったところがもっとも低く、そこから段を上っていく設計になっているのだけれど、その逆である。そして「シアター」と名付けられたように、全員がテレビがある同じ方角を向くことができるように扇型に座面が配置され、そこに15人ほどが座れるようになっていた。僕は最上段の隅のほうに腰をかけ、静かに蒸され始めた。
 室内を100℃ほどまで熱しているのは大きな2基のガス遠赤外線ヒーターである。これが見た目よりも非常に熱く、湿度が維持されていたからかもしれないが、体感では110℃を超えていた。そして、塩サウナやアロマサウナの蓄積もあり、僕の身体はみるみるうちに限界を迎えてしまった。

ーーそろそろ出なきゃ……。

 僕は立ち上がり、サウナ室を出て掛け湯で汗を流してから、水風呂に肩まで浸かった。

ーーおお……気持ち良すぎる。

(公式サイト: https://www.yu-tori.jp/冷水風呂 )

 約20℃の冷水が、火照った僕の身体に癒しを与えてくれた。そこで30秒ほど呼吸を落ち着かせると、僕は再び露天スペースへと移動し、源泉掛け流しの温泉が敷かれた寝転び湯「見上げの湯」に横たわった。

ーーこの開放感、たまらないな……。

 この瞬間、もう全てがどうでもよくなった。ネガティブ思考に悩む時は、物理的にネガティブな情報から離れることが大切なのだ。そうやって適度に息抜きをして自分を労ってあげることが、メンタルのバランスを保つためには必要なのだろう。防御ばかりしても、前には進まない。

ーーいろいろあったけど、頑張っちゃおうかな。

 今の自分を認めよう。そして、今の自分を愛してやろう。青空を見上げながら、僕は自分を取り戻したのだった。

(written by ナオト:@bocci_naoto)

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①僕たちは自費でサウナに伺います ②それでお店の売上が増えます ③noteを通して心を込めてお店を紹介します ④noteを読んだ方がお店に足を運ぶようになります ⑤お店はもっと経済的に潤うようになります ⑥お店のサービスが充実します ⑦お客さんがもっと快適にサウナに通えます