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穏やかな心を持つこと【カプセルイン蒲田@蒲田駅】

 Twitterを開くと、たまに見ず知らずの相手に対して攻撃的なツイートをしたり、反対意見を一方的にぶつけたりする人を見かけることがあるけれど、個人的にはその行動が理解ができない。
 なぜこんなことを思ったのかというと、あるツイートを見て、それまで自覚していなかった僕自身の考え方に気付かされたためだ。

 僕は自分と違う意見を見かけた時に、基本的に二通りの行動を取る。一つ目は「受け入れる」、そしてもう一つは「無視する」だ。
 反対意見を述べることもあるけれど、それは一度相手の意見を受け入れた上で納得ができないことに対して、かつ反対意見を述べることで自分になんらかの利益が生まれる場合のみに行う。見ず知らずの相手に、自分にとってなんのメリットも生まれないにも関わらず反対意見を述べるようなことは滅多にしないのである。
 自分と違う意見や考えを目にした時に、感情的になるのは人間だから仕方がないとは思う。でも、ここで理性を働かせることができるのも人間だ。僕はそういう人間でありたいと思っている。

 そもそも、自分と直接利害関係が無いような相手にさえどうして自分の意見を主張したり揚げ足取りをしようとしたりするのか本当に疑問だ。僕にとっては、そういう自分の中の正義を振りかざして、自分の価値観を他人に押し付けようとしている人のほうがむしろ偽善者のように思えてくることもある。
 本当にその他人のことが腹立たしかったり意見が合わなかったりするなら、感情的にならずに潔く存在自体を無視するのがお互いにとって良いのではないだろうか。そもそも、自分と直接関わることがない相手に時間と精神力をすり減らす労力がもったいない。

 とにかく、僕はいかなる場面であっても感情的に相手を叱責する人が苦手なのだ。そういう人と一緒にいると疲れるので付き合わないようにしているし、その人が人生において欠かせない存在なのであれば話は別だけれど、そうではない限り相手にする必要は無いと考えている。
 その結果なのかどうかはわからないけれど、仕事においてもプライベートにおいても、僕の周りには温厚で優しい人間が多い気がしている。それによって、僕自身も現在はストレスを感じることの無い日々を送ることができているし、心も穏やかだ。
 自分と価値観や意見が合わない人を相手にした時に、それをどう受け止めるかで心の豊かさが決まるような気がする。

 そういえば、先日はこんなことがあった。サウナに向かう途中にドラッグストアに立ち寄ったのだけれど、そこでレジの列に並んでいたら、レジの店員に対して怒りをぶつけている女性客がいたのだ。
 そのレジは並ぶ位置が決められており、明確に「入口」と「出口」が分かれていたのだが、その女性は「入口」の列に僕が並び始めるよりも少し前に「出口」のほうに一人で立っていたのだった。その結果、当然のことながら入口に並んでいる僕のほうが先に案内されることになる。しかし、その女性自身は僕よりも先にレジに並んでいたと思い込んでいるので、腹を立て始めたのだ。
 結局、その女性は手に持っていた商品をその場に置いて去ってしまった。僕はその光景に唖然としながらも、ポカリスエットを購入してサウナに向かったのだった。

 さて、そんな2月5日(金)に利用させていただいたのが、知る人ぞ知るサウナ「カプセルイン蒲田」である。ちなみに、蒲田は「はすぬま温泉」に伺って以来の久々の訪問だ。

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 カプセルイン蒲田は、蒲田駅から徒歩約3分の好立地に店舗を構えているのだけれど、温浴施設の激戦区であるこの地においては、なかなか話題に上がることがない穴場なのだ。そんなサウナの存在を教えてくれたのは、もちろんTwitterである。

 店舗に到着したのは午前11時前。さっそく中に入ると、ホテル利用者向けの物販コーナーが目の前に広がっていたのだけれど、そのさらに奥にフロントが見えたので、近寄って受付の男性にサウナ利用の旨を伝えた。すると、まずは下駄箱に靴をしまって欲しいとのこと。
 周りをよく見回すと、柱の影に隠れて下駄箱が並んでいることがわかった。これは説明されないと靴をはいたままフロントに向かってもおかしくない。

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 僕は空いている「37(サウナ)」の下駄箱を開けて、そこに靴をしまいつつ、その中に入っていたスリッパに履き替えて再びフロントに向かった。そこで3時間利用分の1,200円(税込)を支払うと、近くのフックにいくつも掛けられている、館内着とタオルセットが入ったバッグから1つ選んで、エレベーターで2階に向かうように案内された。

 エレベーターを降りると、そこには90年代を感じさせる空気が漂っている長い通路があった。このフロアに、レストランや休憩スペース、そしてロッカーがあるらしい。

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 その通路を突き当たりまで進むと、脱いだスリッパをしまうための下駄箱が設置されていた。この境界線も曖昧だったが、ここからは素足にならなければいけないらしい。僕は履いていたスリッパをそこにしまい、すぐ近くにあったロッカースペースの中に進んだ。しかし、そこで指定されたロッカーの鍵を開けて館内着に着替えたのは良いものの、浴場がどこにあるのかわからない。とりあえずロッカースペースを抜けてさらに奥に進んでみると、そこには1階に続く階段があった。どうやら、浴場は下の階にあるらしい。
 タオルを片手に1階に下りると、脱衣所に直接繋がる構造になっていた。ここにはさらに荷物を置くための棚が設置されているほか、貴重品専用の小さな鍵付きロッカーもある。
 僕は館内着を脱いで棚に置き、いよいよ浴室への扉を開けた。

「おー、広い! しかも空いている!」

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(カプセルイン蒲田公式サイト: https://www.rexinn.co.jp/kamata/spa )

 浴場自体がかなり広いのに、お客は僕を含めて5人ほどしか見当たらない。まずは身を清めて、浴場の中心にあるお風呂で体を温めてから、さっそくサウナに向かうことにした。しかし、ここで僕は意外な事実に驚くことになる。

「えっ、2種類あるの?」

 そう、なんとカプセルイン蒲田には、低温と高温の2つのサウナがあったのだ。僕はこの場合、まずは温度が低いほうのサウナから入ることにしているのだが、これは過去に新小岩のレインボーに行った時の反省が生かされている。
 サウナ室の前にはサウナマット用のビート板が用意されていたので、そこから1枚を手に取って、いよいよ扉を開けた。

「ここも広いじゃないですか!」

 低温サウナは2段構成で、おそらく20人前後が座ることができるほどの余裕がある設計だったが、先客は2人しかおらず快適に過ごせそうだ。そして、なにより踊り場(※サウナ室の床のことを個人的に「踊り場」と呼んでいる)の面積が広い。ここまで広いと、ぜひアウフギーサーたちにロウリュを届けて欲しいものである。
 僕は空いている上段に腰をかけてみた。たしかに低めの76℃ではあるけれど、サウナ特有の香りが心地よい。そこに設置されているテレビからは音も流れているので、僕よりも先に蒸されていた常連と思われる男性たちはすっかりとくつろいでいた。
 そのお客さんたちから距離を置いたところで静かに熱を感じること約10分。ほどよく蒸されたところで、全身からはじっとりと汗が流れ始め、心臓の鼓動も少しだけ激しくなっていた。

「いったん出ますか」

 サウナ室を出ると、すぐ目の前には16℃と27℃の温度別に2種類の水風呂が用意されていた。今回はほどほどに蒸された程度だったので、汗を流してから27℃の水風呂に沈んでみることにする。

「うおおおぉぉおぉおおーーー! 気持ちいい!!!笑」

 バイブラは無し。ぬるすぎず、冷たすぎない絶妙な温度で、宙を浮いているような不思議な感覚がたまらない。最高だ。
 そこで体を1分ほど休ませて、再び温かいお風呂で軽く体を温め直してから、今度は高温サウナのほうに入ってみた。

「いや、こっちは広すぎる!」

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(カプセルイン蒲田公式サイト: https://www.rexinn.co.jp/kamata/spa )

 おそらく30人弱が座ることができる広さはあるのではないだろうか。そこに先客はたったの1人。ガラ空きだ。そしてこちらも踊り場が広い。3人体制でのアウフグースもできそうだ。
 僕はサウナストーブに近い上段に腰をかけて、熱を受け止めることにした。たまたまかもしれないけれど、こちらはテレビの電源が入っておらず、聞こえてくるのはサウナストーブから「チリチリ」と何かが弾ける不規則な音だけだ。実に耳心地がいい。しかも、サウナ室全体は薄暗く落ち着いた空間。これは期待以上に良いぞ。さらに温度は100℃ジャストで、巣鴨のサンフラワーを彷彿とさせるほどカラカラに乾いている。サウナハット必須だ。
 ここで蒸されること7分。あっという間に全身からは大量の汗が流れ落ち、心臓の鼓動は先ほどとは比べ物にならないほど激しくなっていた。

「そろそろ出よう……」

 僕は立ち上がり、サウナ室を出ると、今度は16℃の水風呂の中に汗を流してから沈み込んだ。

「うおおおおぉおぉぉおおおお!! 冷たっ!!!」

 こちらも先ほどと同様バイブラは無し。しかし冷たい。27℃の水風呂をいただいたあとだからか、余計に冷たく感じるのだ。ここで冷水を味わうこと約1分。僕の体はすっかりと冷え、心臓も落ち着きを取り戻していた。

「よし、あそこに行こう……」

 意識が朦朧としながらも、僕は立ち上がって、浴場の隅にある "ととのいスポット" へと移動した。

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(カプセルイン蒲田公式サイト: https://www.rexinn.co.jp/kamata/spa )

 ここは屋内なのだけれど、その光景はまさに「ガーデン」と呼ぶに相応しかった。そもそも、この浴場の正式名称は「カプセルイン蒲田」ではなく「ガーデンサウナ蒲田」なのだ。その名の由来はここにあったか。

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 しかも、ただ休憩用の椅子やベンチが並んでいるだけではなく、驚くことに巨大な2台の扇風機がガーデン全体に風を送り込んでくるのである。といっても、その見た目からは想像できないような優しく繊細な風なのだ。

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(カプセルイン蒲田公式サイト: https://www.rexinn.co.jp/kamata/spa )

 僕はそこで空いている椅子に身を委ねて、そっと目を閉じてみた。すると、徐々に五感が研ぎ澄まされていき、頭の中が空っぽになっていった。

ーーなんだよ、これ。最高じゃないか……。

 気付いた時には、僕は宇宙と一体になっていたのだった。意識はどこか遠くのほうへと浮遊していき、ただ時間だけが過ぎていく至福のひとときだ。一生このままが良いのに、世の中から言い争いなんてなくなれば良いのにと思った。ドラッグストアにいた女性も、もっと穏やかな心を持つことはできないものなのだろうか。しかし、これも僕があの女性と関わらなければいいだけの話なのかもしれない。僕は僕の時間を大切にしよう。

 それから僕は、いったん浴場を出て2階の休憩スペースで軽く仕事を済ませることにしたのだが、そこでパソコンを開くと、Twitterの通知が届いていることに気付いた。その内容を確認したところ、なんと全く応募した覚えのない「TENGAチョコレート」が当選したのだった。いや、実際は応募していたのだけれど、すっかり忘れていたのだ。

ーー日頃から穏やかな心を保っていれば、運は舞い込んでくるものなのかもしれない。

 僕は喜びを噛み締めながら仕事を片付けて、その後にさらにサウナを3セットいただいてから帰路に就いたのだった。

(written by ナオト:@bocci_naoto)

YouTube「ボッチトーキョー」
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①僕たちは自費でサウナに伺います ②それでお店の売上が増えます ③noteを通して心を込めてお店を紹介します ④noteを読んだ方がお店に足を運ぶようになります ⑤お店はもっと経済的に潤うようになります ⑥お店のサービスが充実します ⑦お客さんがもっと快適にサウナに通えます