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MARKETING TRACE - 横浜FC

昨日ちょうどJリーグのマーケティングオフィサー研修があったので基本的なことを見直すいい機会になりました。

完全なるクラブの「中の人」になってしまうと目の前の業務や課題解決に追われて、ついつい全体を見る目を忘れがちになってしまうので、やってることが部分最適にならないように定期的に意識しないとなと改めて思いました。ということで、自クラブをフレームワークに当てはめて考える時間を。

横浜FC

[企業名]
・株式会社横浜フリエスポーツクラブ

[ブランド]
・横浜FC / ニッパツ横浜シーガルズ

[業界]
・プロスポーツ / エンタメ

[ビジョン]
・2024年にタイトル獲得、2025年にACLに出場する。
・スタジアムを常に満員に、誰からも愛されるクラブであり続ける。

[ミッション]
・地域の人にとって欠かすことのできない、「楽しみ」「心のよりどころ」「プライド」「街のシンボル」「大切な産業」を提供し続ける存在となる。

[財務状況]
・売上高:18億円
(広告収入:11億円 / 入場料収入:1,6億円 / グッズ収入:0.95億円 他)

※2019年度の経営情報はJリーグからの公表がまだされていないので、参考で2018年度を掲載。

概要

2018年リーグ戦3位・J1昇格プレーオフで東京ヴェルディに敗れた。
2019年J2で2位となり、13年ぶりにJ1へ昇格。
2020シーズンはJ1リーグで戦う→新型コロナの影響で2021年もJ1で戦う。

目標は直近でJ1へ定着し2024年にタイトル獲得、2025年にACL出場を目指している。スタジアムを常に満員の状態に、アカデミー出身選手60%保有など地域密着への意識も強める。

PEST分析

Politics(政治)
・コロナによる助成金、給付金の給付
・#おたがいハマ (事業者支援)
・IR関連事業の誘致→断念?
・入学時期の変更可能性
・区民DAYなど区や商店街との連携
・横浜市が三ツ沢の屋根設置を検討

Economy(経済)
・収入の減少
・外出自粛や休業要請で経済悪化
・イベント、エンタメ業界の危機
→チケット、スポンサー、ファンクラブ、グッズ販売の売上減少
→スクール・アカデミーの休校に伴う売上減
・雇用機会の減少
・ホームタウン飲食店やステークホルダーの事業危機

Society(社会)
・仕事、学校がリモート化して、”自宅で〇〇”が増加
・季節の風物詩やイベントごと、旅行の中止
・三密を避ける、感染症予防が基本習慣になる
・SNSを使った発信、オンラインでの繋がり増加
・飲食、医療へ支援の輪が広がる
・外国人観光客のインバウンド需要が減少
・コンテンツのエンタメ化
・「〇〇気分」を味わうシチュエーション文化(べランピングみたいな?)

Technology(技術)
・学校や企業など中心にデジタルシフト
・家電などのIoTの振興?
・視聴環境と体験サービスのデジタルトランスフォーメーション(DX)が加速及びデフォルト化する
・顔を見ながら〇〇という相互のコミュニケーションが発達(ライブ配信やビデオ通話など)

コロナの影響で、今までの生活と変わってしまった環境(イベント、収入、仕事など)で助け合いの意識の高まり。
3密を避けるなどコロナ状況下での新しい生活の仕方がスタンダードになり、観戦環境や体験がデジタルシフトしていく。
モノからコトへの消費が加速、思想への共感もポイントとなる。

5Forces分析

新規参入 : J3やJFLクラブ、他スポーツチーム
直接競合 : 神奈川県及び首都圏のJクラブ
代替品 : e-sportsやエンタメ全般、レジャー施設、デジタル(AR/VR)

売り手→移籍先、スポンサー、スタジアム、海外市場
買い手→生活者(チケット価格の変動可能性)、スポンサー(経営状況による変化)

3C分析

Customer(顧客)
☆生活者 : チケット、グッズ、コンテンツ消費
スポンサー : 広告価値、イメージ戦略、新規顧客との接点の創出
他クラブ : 選手移籍、アライアンス

[生活者ニーズ]イベントごとの枯渇
2020年、21年はスタジアムでサッカーが観れない、チケットが買いづらくなることが予想される。好きな人にとっては生観戦が恋しく、贅沢なものになるが、新しい顧客にとってはスタジアムでの観戦の関心度は低くなる。(というよりも、想起されにくくなる)
→ド新規の来場者獲得を狙うのではなく、昨シーズンまでの既存の来場者に少しずつスタジアムに戻ってきてもらうこと。
ド新規へのアプローチは別の角度で検討(ノンフットボールで考える)

[生活の中での課題感]余暇の充実
サッカーには興味がないかもしれないけど、スタジアムに行くことを「休日のイベント」と捉えると可能性はあるかも。(相対的に世の中で実施可能なエンタメイベントが減っているため)

Company(自社)[アセット]
フットボール:試合、選手、楽しみ、興奮、感動、元気、勇気
ノンフットボール:家族の繋がり、幸福感、社会貢献、新規事業

[優位性]
21年の定着に向けて思い切ったサッカーを。若手とベテランの融合。
新しい観戦体験や事業発想へのチャレンジ。

[リスク]
スポンサー、ファンクラブ、シーズンシートへの減額・返金対応等。
試合が無いことでの露出減、ファン離れやクラブの想起率の減少

Competitor(競合)
J1の強豪チーム(タイトル獲得、ACL出場、グローバル展開など)
ファンコミュニケーション、地域貢献活動も積極的に実施している。
その他商業施設、エンタメ×デジタルソリューション

ステークホルダーは多くいるが、to C部門ではファン・サポーターに焦点を当てる。既存サポーターはスタジアムでのサッカー生観戦の飢餓感が高まるが、新規層はサッカーへの関心、特定クラブへの想起率は減少する可能性が高い。クラブは若手とベテランの融合で話題性がある。
競合は割と盤石の人気チーム、かつ社会貢献活動も実施。その市場に対して自分たちのポジション、差別化のポイントをより明確にする必要がある。

顧客特徴:(ざっくり)
平均年齢40代、男女比7:3
※来場者属性とSNSフォロワー属性で異なる。
入場者の中心はひとり or 友人と来場し、スタジアムで知り合うサポーターが半数の一方、15〜20%がキッズ、40〜50%弱をファミリー顧客が占める。
スタジアムのゴール裏、バックスタンドの前列に子供、家族づれの姿が増加の傾向にあるのが最近の特徴。

STP分析

Segmentation
人口動態:30代〜50代の顧客層が中心
地域性:横浜・川崎&首都圏在住
嗜好性:チームへの愛、空間を共有したい、応援したい
行動:SNSでのコミュニケーション多め、個人行動だがみんなとの情報シェアや空間シェアを喜ぶ。週末のイベントに向けて日々頑張れる。

Target
属性:子ども、若年層、ミドル、シニア
性別:男性 / 女性
構成 : ひとり、カップル、夫婦、子連れ、友人、団体
関心度:コアファン、ライトファン、無関心
※サッカーが好き、スポーツ観戦が好き、応援する空間が好き、イベント(非日常空間)が好き、外に出たい

コアターゲット
メイン:ミドル層(男)、子ども&ファミリー層(男女)
サブ:カップル(男女)、友人と(女)
その他:ミドル男性、友人とくる女性→誘われてくる人(男女)

Positioning
選手との距離 近い⇄遠い
公式戦成績 良い⇄悪い
フットボール⇄ノンフットボール
グローバル⇄ローカル

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現状、選手とサポーター(世間)の距離感やリーグの成績(2020仮)、フットボール軸(試合)とノンフットボール軸(イベント・他)、グローバル、地域密着において突出して特徴があるという状態ではないので勝てるポジションをつくること、つまりリーグの成績や特定選手に左右されない経営の軸をつくることが必要。

4P分析

Product
A. トップチーム公式戦、三ツ沢の価値
B. グッズ

Price
A. チケット価格 3,000円(仮)
B. ユニフォーム販売20,000円 / 他グッズ3,000円(仮)

Place
A. オンライン販売(Jチケ)
B. オンライン販売、スタジアム

Promotion
A. HP、SNS、LINE、メルマガ、交通広告、ニュースPR、SNS広告、スタジアム観戦環境アピール
B. メルマガ、SNS

発展

フットボール軸(スタジアム観戦とDAZN視聴)とノンフットボール軸(リーグ戦以外で横浜FCが生活の一部に入り込む事業)の両軸経営

1、コロナ禍においては、横浜FCの歴史に共感するサポーターも含めて《興味層》の掘り起こしをする。
→J1という舞台+サッカー自体への興味度
過去の観戦体験者

2、ハードルの低い《無関心を「好き」》へ繋げる。
キッズへの重点施策(スクール及びサッカー関心度のあるキッズ)

3、《既存》視聴環境のDX推進

4、《新規》日常生活の一部に入り込むノンフットボールの一手
→グッズ及び新規事業での接点

5、試合実施後のアフターフォローの徹底
→来場者セグメント、DAZN視聴者セグメント、その他DX活用視聴者

6.試合のコンテンツの徹底活用
リーグが延期になり各SNSでもENG低下が発生しています。
いくらノンフットボールの重要性を説いても、日常にサッカーがある時とない時の心の満たされる度合いには大きな差があります。

これまで得点シーンやハイライト中心だったDAZNの動画の活用の仕方も考える必要があると思いました。

コロナ以前に考えていたことは👇

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よろしくお願いします🙇‍♂️