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サポーターの力で効果の高いプロモーションを。

前職の広告代理店ではクライアントから半年で数千万円〜億を超えるプロモーション予算を任せてもらって、「いつ、誰に、どんなクリエイティブをどこのメディアで掲載しリーチさせてプロモーションをする」という、頂いた予算を使っていかに効果をあげるかというのがミッションでした。

でも、今はプロサッカークラブでプロモーションにかける予算はほぼゼロ。

もちろん必要なところには使うべきだけど、お金をかけずにどれだけ効果の高いプロモーションができるかはこの業界でいま働く人材としては重要なことで、日々勉強中でもあります。

一般的にブランドプロモーションをするときにクチコミは自然発生しにくいことを前提として、日々効果的なプロモーションの考え方は変化してきていると思います。

クチコミの自然発生はしにくいからこそ情報の起点に影響力の高い人を起用するインフルエンサーマーケティングは効果的⇒熱量の高いファンのクチコミを増やして感情を動かす⇒UGCで伸びたリーチを軸に購買行動に繋がるのでULSSASが大切とここ数年でも購買ファネルの考え方はどんどん変わってきています。

※以前書いた内容。

Jリーグでは10月から入場制限が緩和されたこともあり、横浜FCのホームスタジアム全体の50%の約7,500人を動員できることになりました。

ただビジター席の設置は無く、ホームの横浜FCサポーターだけの力で7,500席のチケットを売り切る必要があります。

※昨年J2時の平均入場者数がビジター含めて7,061人

柏レイソル戦で起こった販促のヒントになるポジティブアクションがあったので残しておきます。

ポジティブなメッセージ

入場制限緩和が決まって、クラブの中で起きた感情としては「ビジター無しの自力で7,500人動員しないといけない、やばい!!汗」というものではなく、「スタジアムをぐるっと1周ホームサポーターだけで囲える最後の機会になるかもしれないから360°をHAMABLUEで埋めたい!」でした。
(入場制限緩和で運営し、リーグにレポートを提出して問題無しと判断されれば次の試合からビジター席の設置が認められます。)

これまで超厳戒態勢の3,800席しか販売できない状態では、販促もほぼすることなく一般販売スタートと同時にチケットは完売でした。
(そもそもシーズンシート保持者で多くの席が埋まる状態ですが、着券率が低いのでチケットが完売していても空席ができてしまっていました)

クラブからの発信

「360度スタジアム全体を横浜FCサポーターの力で埋める!」というメッセージを伝えるため、チケットの販売進捗をビジュアル化して日々の進捗を発信し、チケットのプロモーションをしました。

こういうアイディアがチームの他のメンバーから出てくるようになったことが事業部側のポジティブ要素です。

■販売期間:9月28日~10月3日の1週間

■投稿数:5回

■フォロワー:約4.2万フォロワー

■のべリーチ:約21万リーチ

サポーターの呼応

そして、さすがなのが熱量の高いサポーターのみなさんの反応です。思い描いた通りの理想的な形でクラブのPRをサポートしてくれました。

クラブからの発信では、横浜FCのフォロワー以外に情報が届くことは難しいけど、サポーターの方の発信によって彼らのソーシャルグラフで繋がる一般の生活者に情報が届くようになります。

■UGC件数:422件
・コメント付き引用RT:111件
・そのままRT件数:311件

■日本人の平均フォロワー:(仮)300人とする。

■のべ想定リーチ:約12.6万のべリーチ

■合計のべリーチ:約33.6万のべリーチ

結果

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結果は世の中そんなに甘くないという事で、来場者4,571名と7,500名に届かず61%の収容率になりました。

そして翌日同じ三ツ沢で試合をした横浜F・マリノスvsヴィッセル神戸は7,279名と今の段階で僕らが目指したい所へ到達していて、現時点でのクラブ規模の違いはあれど非常に悔しさを感じました。
※マリノスもビジター席の販売は無し

ただし、多くのサポーターが反応してくれたTwitter経由での直接CVが増加したこと、これまで来ていなかった新規来場者が増えたことは”誘い誘われ”というメッセージをみなさんが広めてくれた結果だと思います。

まとめ

細かい数値は出せないのでざっくりとですが、ポジティブ要素は昨年のチケッティングよりもTwitter経由での直接CVが増えたこと。

直接のCV数が多いのは、相変わらずHP・メール→LINE→Twitter→Facebookの順番。CVRが高いのはメール・LINEなので、プッシュ型のメディアをいかに上手く使うかはポイントです。

元々フローメディアのTwitterは直接CVはあまり期待せず、UGC発生による認知拡大に貢献していると位置付けて考えていたけど、今回は直接CVがこれまでよりも多かった。

その理由としては明らかにサポーターの発信の力が大きいです。

これまでと変えた点は、クラブからの告知で無く、サポーターを巻き込んだメッセージを発信して引用RTしてくれた内容を公式アカウントで更にRTで拡散すること
※この効果はUGCが発生しそれを拡散することによってその都度、元の投稿へのENGが高まることで実証できます。

UGCが増え、リーチが拡がり、SNSやGoogleで検索して購入するという間接CVを生み出すULSSASのファネルが当てはまると考えると、このやり方は効果的なので引き続き続けたいと思いました。

公式の投稿にコメントをつけて引用RT(PR)をしてくれるサポーターの発信は、彼らの持つフォロワー(クラブではリーチできない層)にも熱を持って伝わり、公式の元ツイートへのENGが高まるので効果的。

以下はちょっと話が変わるけどメモ・・・

各メディアのユーザー属性なのか、HP・メールとLINEは購入者数に対して、購入枚数が倍近いので友人や家族連れの購入者が多いと推測できるけど、逆にTwitter経由は1枚購入が多いのが印象的です。媒体によって訴求クリエイティブを変えるならこの辺りはヒントになりそう。

また、FacebookはUGCでの購買には向かないのでリリース、広告配信するプラットフォームとして活用するのが良い。Instagramに関しては今回あまり販促に絡めなかったのでもったいなかった。(新規を獲得するのにリールを活用するのは効果的な気がしてます)

そして、オンラインでの手法は色々と工夫の余地はあるけど、結局は基礎となるファンベースの少なさが7,500席をホームサポーターだけで埋めるという目標を達成できなかった要因かと思います。

デジタルで販売に寄与することはできるけど、それだけで完結することは決して無い。ファンづくりの最も基本はリアルでの接点・体験による満足度の向上なので、チームが地道にホームタウンにもっと出ていくことやスタジアムでの体験の一つ一つを価値向上させていくことが求められます。

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よろしくお願いします🙇‍♂️