見出し画像

『明日のプランニング』 これも新卒は読んでおいた方がいいと思う一冊。

前回書いたのはプランニングの基本的な考え方。
https://note.mu/boasorte_ym11/n/n0b3ee7a8b68e

これは”伝えるために”知っておくべき、当たり前だけど抜けがちなこと。
どちらかというとメディアプランニングをする際に手元に置いておいて良かったと思う『ファンベース』のさとなおさんの本。
この人の本はシリーズで全部読んだと思う。

デジタル万能に思いがちな時代だけど、日本全国を見渡すとネットを毎日は利用しない人が5,670万人、検索をほとんど使ってない人も6,000〜7,000万人いるという状況をスルーしすぎである。ネットですべてを考えすぎるのは実は危険で、日本人の約半分を無視することにもなる。

情報を伝えたい人は数字をあげるための”顧客”でも、消費をする”消費者”でもなく、サービスを利用するだけの”ユーザー”でもない。
日々、感情を持って生活している「生活者」である。

生活者を日常的にネットを利用する人と、ネットを毎日は利用しない人(約5,670万人)の2つに分けてプランニングする。

ネットを利用する人にとっての大前提は、世の中に流通する情報量が多すぎて、自分たちが消費できる量を大幅に超えている現代社会。
スマホのタイムラインをスクロールするスピードは1秒未満(0.7秒とかだった気がする)と言われている。

そんな中で良いクリエイティブを創ったり、バズらせたり、TVで露出したら情報は伝わるのか・・・
今ピンポイントで伝えたい情報は、世界中にあるたった一粒の砂と同じようなもので、それほど生活者が情報に出会い伝わる可能性は低い。
たとえ目にしてもらえたとしても、忘れるのは一瞬。(それが例えSNSでバズったとしても一瞬にして過去の遺物になってしまう時代)

”世の中ごと”と”自分ごと”の間の「仲間ごと」

仲間ごと=友人・知人の近況や意見、興味関心事。
SNSによってそういった仲間からの情報がたくさん取得できるようになった。
常にスマホでアクセスして見ている仲間ごとは超関心事になっていて、それに比べると企業が伝えたい情報はある意味、生活者にとっては優先度の低い情報

さらに不利な状況として以下の3つ。
1、超成熟市場(モノで差別化できないコモディティ化)
2、メディアやツールの激増(SNSだけでないキュレーションサービス等のその他メディアの発達)
3、エンタメ過剰(日常的に世界中から楽しい情報が届く)

そんな伝わらない時代の唯一伝える方法が「友人知人を介す」ということ。

これは情報過剰時代も、そうでない時代ももっと遡って江戸時代とかでもあったクチコミの有用性であってデジタル、アナログの区別はないと思う。

なぜ友人知人が最強に伝わるメディアなのか?
・信頼:情報が多すぎるから友人知人に頼る
・便利:友人知人から自分に有益な情報が届く
・拡散:友人知人への共感を伴って素早く拡散する
・常時:スマホやSNSの普及で友人知人と24時間繋がった

一人当たりのソーシャルグラフは平均130人と言われていて、例えば1,000人がRTしたとすると13万人に、信頼メディアである友人知人から伝わる計算になる。これが影響力の強い(フォロワーが多かったり専門性が高い)人がいるコミュニティであれば尚大きな輪となって伝わる。

これがインフルエンサーやクチコミの市場が伸びている所以でもある。

こういう時代の状況が求めること。

“興味関心が無い人を無理にでも振り向かせる「マスベース」”と”興味関心のあるファンに情報を伝えて、彼らから情報を広げてもらう『ファンベース』の考え方”に繋がっていく。

情報量が少ない時代、地域、そういった環境で生活をしている人にはマスベースで情報は伝えられたけど、情報がありすぎて自分で取捨選択をするような今の時代、しかもマスでも検索でもなく、SNSのタイムラインで情報と遭遇するような生活をしている多くの人はマスベースではなく、ファンベースとして情報を伝えていく必要がある。

手法として、p168以降のちょいポチャ男子倶楽部(笑)の話は参考になる。

クラブが街中でチラシ配りをしているが、競合(ティッシュ配り、何かの勧誘、キャッチ、屋外広告、歩きスマホなど)がたくさんいる中でホームゲームの告知をするのと併せて、ファンベースの考え方でいくとLINEのタイムラインでファンにデジタルチラシをシェアしてもらい、それにインセンティブがあったりした方が興味関心層へのアプローチには良いかもしれない。ファンから関心層へ、更に無関心の友達へのオーガニックリーチが一番効く。

もちろんビラ配りはおらが街のJクラブがあるという市民への認知活動の一環で、試合告知のためだけにやっているわけではないということもあると思うけど。

伝える順番は以下。

①伝える側がファンに直接リーチ
②友人知人からファンに間接リーチ
③友人知人やファンからファンにオーガニックリーチ
④ファンからファン以外にオーガニックリーチ

更にファンに届けるという文脈でいくと、リーチの広さよりもファンが見ているニッチなメディアや地方紙などが実は有力メディアになる可能性がある。

そして大事なのが、ファンからオーガニックな言葉を引き出すプランニング力。

1、社員という「最強のファン」の共感を作る
2、ファンをもてなし、特別扱いする
3、生活者との接点を見直す
4、商品を見直す、ファンと共創する
5、ファンを発掘し、活性化し、動員、追跡する
6、ファンと共に育つ、ファンを支援する
7、ファンとビジョンを分かち合う

全部すぐにできそうなことばかり。

まず手をつけるべきは1と2、3、ここを出発点としてそれぞれのコミュニケーションも変える。
時代背景や歴史をなんとなくでも理解しておくと柔軟にプランニングができると思う。

桜シリーズ。中目黒の桜まつり。

#コミュニケーション #マーケティング #スポーツビジネス

よろしくお願いします🙇‍♂️