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僕がクライアントさんによく言うのは「戦略で売りましょう」ということです。戦略と言っても色々ありますが、究極的にはシェアを獲得できるアイデアかどうかが問われると思っています。代表的なものは、例えばポジショニング戦略がありますが、いまどきポジショニングを明確にするなどというのは製品戦略の「基礎工事」のようなもので、本当にシェアを取る戦略としては充分ではないと思っています。精々、製品作りやマーケティング計画の「前提条件」程度ではないでしょうか。

戦略で売るというと色々な視点や着手点がありますが、やはり一番「戦略らしい戦略」は競争状態を優位に持ち込むことにあるでしょう。それが結果としてシェアに反映されるわけですから当然と言えば当然です。ただしこれは決して簡単なことではないのも事実。多くの戦略は「戦略という名の戦術やオペレーション」に甘んじていることも多いものです。そうなると結局、現状シェアの高いブランドが今後も優位に競争を進めることになる。大きなブランドやバジェットをたくさん持つ強者が、仮に一時的にシェアを奪われたとしても、長い目で見ると「大勢に影響ない」結果に終わることになる。これではあまり面白くないのです。

やはり弱者にとっての戦略こそ価値があるもので、いかにして「市場の均衡を崩すか」が基本命題と言えます。そのためには、例えば広告投資や営業強化のようなオペレーションでの努力以上に、巧みな競争戦略が求められます。例えば競合他社の同質化をも見越して、現在の均衡を崩すチカラとして活用すること。または競合ブランドの同質的競争のなかで漁夫の利を得ること。強者の「いつもの発想」を想定して、彼らがよかれと思って行うことを逆手に取り、自己矛盾を誘発させるような状況を作り出すこと。競合の目的を知り、こちらの戦略目標に変更を加え「成り行き」を使いながら競争を有利に進めること。これらこそが企業の体力や組織能力に依らない「戦略らしい戦略」だと思います。