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これからのマーケター教育

このゴールデンウィーク中に「教育・研修」サービスを見直そうと思っています。ポイントになるのは「どのようなコンテンツを用意するか」ではなく、「どのような環境に置いたらひとは育つか」です。世の中には公開セミナーや研修会社はたくさんあるし、有用な書籍や情報も豊富に出回っている。勉強したいひとはいつでも勉強できる環境にあります。一方で「鍛えられる環境」に身を置くことほど真の教育になることはない。僕の人間観は「ひとはビジネスを通じてやりがいと成長を求めている」ですが、特にZ世代はその傾向が他の世代よりも強いようです。彼らは次世代の担い手であり、企業の人材獲得競争も熾烈になるでしょう。そうしたなかで「自分を鍛えてくれる環境(企業)に身を置く」ことは彼らにとって重要なことだし、同時に企業にとっては死活問題です。

マーケターが育つ環境とはどのようなものか。僕の観察ではいくつかの特徴があります。まずは文字通り「鍛えられ甲斐のある環境」です。階層に応じた「しかるべき仕事」をある程度ハンズオンで執り行うことができ、かつ結果をしっかり問われる環境です。自由と責任を自覚しながら働ける社風とも言えるでしょう。次に「後輩に教える文化のある環境」です。教育効果をあげる最も良いアプローチは「教える」ことです。教えることは教えられる側よりも教える側を鍛え、短期間で専門家を作ります。最後に「マーケティング業務を一通り経験できる環境」です。つまり企画や開発のみならず営業やデジタルなど現場業務を5年から7年ほどでローテーションできること。その際、課題発見からソリューションまでのCAPD(PDCA)を主体的に回す体験が強いマーケターを育てます。あと最近の傾向として付け加えるなら「社内文化に浸り過ぎない。社外にオープンな環境」も重要でしょう。ダイバシティという言葉が出てきて久しいですが、僕の見立てでは「まだまだ」の会社がほとんどだと思います。社外にオープンで多様な意見を取り入れ、思考・実践できる企業こそ将来に向けて成長し続けるマーケターを育成すると思います。

このような「教育・研修」は、もはやかつての「教育・研修」ではないでしょうね。一種の「マーケティング・カンパニーへの移行プロジェクト」だと言えます。そして人材輩出企業になればなるほど人材が集まる好循環が生まれる。やがては研修自体を不要にしてしまうような状態こそがゴールです。