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今回のオリンピックで誇れること

配信日:2021年7月28日

オリンピックが始まりました。これまで中止論や再延長論が世の中の過半数を占めていましたが、最終的には「何を言っても無駄なのだ」という諦めのうちに開催日を迎えたように感じているひとも多いのではないかと思います。「人類がコロナに打ち勝った証」とか「安心・安全を第一として」など空虚な言葉に「この人たち、もう何を言っても無駄だ」という悟りの境地です。開催の是非はともかく、本当にこういう決め方でいいのかと、いまでも真剣に考えています。

開催までのオリンピックは、公平に言って不祥事の連続でした。

2015年
国立競技場のデザインが一度決まるも多額の整備費が必要になり一旦白紙に
公式エンブレムに盗用、模倣の疑いが浮上し撤回

2019年
JOCの竹田会長が招致をめぐる疑惑でフランス当局から捜査を受けたことが判明。辞任

2021年
組織委員の森会長が女性蔑視発言で辞任
女性タレントの容姿を侮辱する表現で、開閉会式の演出を統括する佐々木氏が辞任
学生時代のいじめへの批判で五輪開会式の楽曲制作を担当する小山田氏が辞任
過去のコントでホロコーストを揶揄したとしてショーディレクターの小林氏が辞任
(以上、日経新聞:7月21日)

本当に開催の数日前まで失態が続きました。特に小山田氏や小林氏の辞任は直前の直前だったので、その受け皿を担った人たちは凄いと思います。偉い人たちのムチャ振りや丸投げを受け止めて、なんとかやってしまう。しかも世界10億人以上が見ているライブでそれをやってしまうのだから、とんでもないスーパーマンたちだと思います。

今回のオリンピックで誇れることは何だろう。やはり「無観客、パンデミック下で戦う選手たち」でしょうね。選手を通じて自分たちを投影する思いです。誰もみていなくても、苦しい環境下でも前向きに臨むのは、選手のみならず僕たちも同じだと思います。オリンピックの舞台を日常の生活になぞってみれば、多くの人が気にもかけてもらえないなかで、自分の仕事を粛々とやる。ムチャ振りをされたスーパーマンたちもそうですね。世間の非難のなか、褒められもせず「縁の下」で粛々と仕事をやったのでしょう。しかし本人はわかっている。メダルを取れなかった選手もきっと同じ気持ちじゃないかな。最終的に自分にOKを出せればどんな舞台に立っていようと、それが金メダルなのです。