ことばの矜持

今回の詩は、SNSで人を殺せてしまうことにも躊躇いの無いクソな人間への怒りも込めました。そして過去にオープンマイクで読んだ詩や過去ツイもミックスして作ってみました。

「言葉で人は殺せる」
何度教わっても繰り返す人の愚かさよ
自らの「名」を名乗れずに
匿名という「名」を使い卑劣を繰り返す

「ことば」を使う者として
「ことば」を使える者として
無知があれば教わり
間違いがあれば指摘される
けれど今はそれさえも分からない人が増えて
誹謗中傷と批判をいっしょくたにする
言葉の意味も分からずに
批判や抗議を差別だと脳内で受け取ってしまう
そんな世の中になってしまった

この世には
傷つかない人間など居ないというのに
「我慢しろ」「無視すれば」って
さも知ったかのように人の心を壊しにかかる

だからこそ
言葉に殺されることを望まない
言葉で殺されそうなら
言葉で立ち向かう
言葉で殺されることが多い今を
言葉で救えるような
そんな力を 僕は欲しいと強く望む
今はちっぽけな詩人だとしても
僕がこの世界に生きている以上は

この世界で
僕はいろんな属性を抱えながら
生まれながらに変えることができずに持っているもの
生きている途中で持ってしまったもの
そうせざるを得なかったこと
やっとの思いで言えたこと
悩み 迷い 羨み 妬み 嫉み 僻み
悲しいくらいにあって
ときにぶちまけたくもなる
だけど今はこの気持ちさえも公にすることをためらう

人は怖いものだ
誰かと違うと分かっただけで排除される
悪者になったこともある
理解者など誰も居ないんだと思ったこともある
そんなときの自分の言葉は宙に浮き
代わりに人に言われる心無い言葉で幾度も刺された
分からないだろう お前には
言葉にするのも憚られるくらいだ
死にたくなるくらいの気持ちをずっと抱えて
いつ爆発するか分からないまま 生きている

僕はここにいて
この殺伐とした社会の中に居て
思春期の孤独をかいくぐって
大人になったのにつきまとってくるジレンマを
何度も越えたところでまた越えていかなければならない
だから何度も学びたい
人に逢って何度でも何回でも
時が経っていても躓くことのある社会だから
せめて人を守ることだけでも
学ぶだけではなく叩き込むように覚えたい

どんなに否定され続けていても
僕は今の今まで生きていて
何度も頭の中に死がかすめていっても
出逢った人を思うたび踏みとどまった
あの頃と居る場所は違う 出逢う人も違う
時間が止まってしまうことを思ったら
「助けて」と何度だって言っていい
うるさいくらいにこだまさせてほしい
口を塞ごうとする人のことなど蹴散らして
大きな声で叫んでほしい

言葉は言霊になって乗っていく
黙らせようとする人の手を振りほどいて
怒りを無効化させる者たちに立ち向かい
ともに闘う者たちを鼓舞する
言葉を味方につけてゆけ
心が打ち砕かれそうになるときも
眠れない夜が多くなるときもある
そんな今が良くならない限りは
この世界や社会は決して良くならない
せめて時間が止まる悲しみを少なくしていかなければ

だから僕は
言葉に殺されることを望まない
言葉に殺されそうなら
言葉をぶつけ続ける
言葉に殺されることが多い今だからこそ
強く言葉を放つことができる
そんな力が 強く欲しいと望む
今はちっぽけなひとりだとしても
僕がこの世界で生きている以上は

そう だから僕はここにいる
今でこそ 自分のことは奇をてらわずに言えるけれど
何度も否定の言葉を繰り返されたことは決して忘れない
卑怯な人間が隣に居るかもしれない
顔も名前も出せない安全地帯の人間にどれだけ心が折られたか
どうか 静かに怒らないでほしい
そして 見過ごさず黙らない人になってほしい
言葉に殺されるな
言葉に殺されるな
言葉で人を殺すな

声を上げた先に「これから」がある
その「これから」をしっかり考えなければならない
これ以上言葉に殺される悲しみは要らない
生きて 抗う
「ことば」とともに

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