005・補完的安全保障

アリョーシャ:「国家の安全保障というのは、一種の領土内の安全だった。しかし、従来の方法で、たとえば、大きなミサイルを作るといった計画では、国家の安全は守りきれない。」

信:「国際関係に緊張をもたらす現代的要因の一つは、地域の社会的不公正だといえるからね。社会構造の不公正の是正が必要だね。」

アリョーシャ:「人間の安全保障は、国家の安全保障を補完する考え方で、国家の防衛だけではなく、紛争によって被害を受ける人間の保護に視点がある。紛争と貧困からの解放が、人間の安全保障の二大目標だよ。」

信:「人権、安全保障、人道、開発など、包括的なアプローチによって、弱者を保護するだけでなく、自力で脅威に対応できるようにエンパワーメントが重要だと指摘されてるね。」

アリョーシャ:「うん。お互いに協力してやっていくというプロセスが、その後の国づくりにつながっていく。」

信:「大切なのは上からの復興ではなく、下からの復興、社会づくりということか。」

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<参考文献>東野真『緒方貞子――難民支援の現場から』

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