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インターネットによるライブの生配信は「幻想」です(by 山下達郎)

去る2020年7月23日、「TATSURO YAMASHITA SUPER STREAMING」と題されたインターネットによるライブ映像配信が行われました。
オイラも含めて、視聴者からは「概ね好評」の感想がインターネット上で確認できます。

しかし一方では、「なぜ過去のライブ映像を流すだけでお茶を濁したのか? その日、その時間にリアルタイムでライブを生放送してくれればよかったのに。」という意見も多く見られました。

このことについて、去る8月16日放送のトーキョーFM「山下達郎 Sunday Song Book」において、本人から次のようなエクスキューズがありました。
(以下、https://blog.goo.ne.jp/sitedoi サイトから文字起こし記事を引用させていただきます)

こうした状況なので先日7月30日にですね、私、自分自身の配信ライヴというのを行いまして、大変ご好評いただきました。
いろいろなお便りをいただく中で、多かったご質問がいくつかありまして、それについて今日はちょっと長くなりますけれど、ご説明したいと思いますが。
あの、先日の配信ライヴはですね、基本的にあくまで私自身のですね、この数十年間の私のライヴにいらしてくださる、自分のお客さんに向けた企画でありまして。
あの、不特定多数を想定したものでなかったんです。なんですがまだご覧になっておられない方とか、たくさんいらっしゃいましたので、にもかかわらずたくさんの方々が参加賜りましてですね、
本当にありがたいことであります。またあくまで最初の試みでしたので、事故のない確実な作業を目指していたという結果、音の素材でありますとかそういうものも、ああいう構成になったんですけど。

今回最も多かった質問がですね、なぜリアル・ライヴをやらなかったのかというですね、
まぁ3年前のライヴハウス、それから氣志團万博の音源、なぜ今リアル・ライヴをやらなかったというのが、いちばん多いアレなんですけれども。
いわゆるネットにおけるライヴというものがですね、イコール、リアル・ライヴという、なんかそういう傾向にあるみたいなんですけれども。
リアル・ライヴというのはですね、はっきり申し上げて、ネットにおけるリアル・ライヴというのは幻想です。
あの、そこに行って、さぁやろうかというライヴというものが基本的にありません。
じゃあテレビの生はどうなんだという仰るかもしれませんが、テレビはですね、例えばミュージックステーションにしろ、ああいうものはですね、生番組ですけれど全て、あの、何時間にもわたるリハーサルがあります。
カメラ・リハーサルによってカメラとのカット割りとか、そういうもの緻密に決めて生演奏に臨みます。
もっと大きいのは紅白歌合戦でありまして、紅白歌合戦も生ですけれど、何日も前からですね、緻密にカット割りをしまして、タイミングも厳密に計ってやっとります。ですけども本番は生と言うですね。
なんでネットだけはその場でパッと行って、じゃあやろうかと言ってできるのかというですね(笑)。
それでテレビ以上にインフラとしては不安定なネットは事故が多いですので、ひじょうに危険不安伴います。
より緻密な計画のもとにライヴをやるべきでありまして、そういう思想で今回の私の配信ライヴも行っております。

但しライヴ自体は一音足りとも手つけておりません。完全な、リアルな音源です。発売されている、例えばDVDとかですね、ああいうものは修正だらけのものがたくさん見受けられますけれど、そういう意味では一音足りとも修正しておりません。
この番組でかけるPA OUTとおんなじであります。
ですので今後ともリアル・ライヴというものでやるつもりありません。
やはりある程度準備といいましょうか、数日前に収録したものをキチッとミックスダウンしてマスタリングして配信するという、そういう思想です。

あとはあの、もう一つたくさんいただいたのはですね、なぜソフトを出さないのかという、DVD、Blu-rayをどうして出さないのかという。
結論から申しあげますとBlu-rayとかテレビとかYouTubeではですね、今回の私のライヴ配信のあの音質クオリティは出せません。
映像もそうなんですけれど、特に音質が出せません。
同等の質で聴けるのは私のシアターライヴのような、ああいう映画館での送出だけです。
DVDとかBlu-ray等にパッケージ化しますとですね、容量が足りないんです。
今回の90分のライヴ・パフォーマンスでもBlu-rayの倍以上のデータ容量になりますので、それをBlu-ray等にパッケージ化しますと、データ圧縮しますので音質画質の低下を招きます。
それがいちばん嫌なので(笑)、僕はソフトにしません。
そういうところが全くフリーでやれるので配信ライヴというものにひじょうに興味を持ったので。
故にソフト化はしません。
今後ともその方針であります。
今後はさらにハイスペックな音質の向上でですね、私がスタジオでやってるモニター・スピーカーから発せられるのと同質のデータをご家庭でお聴きいただける、そういうところまで持っていきたいと思っております。
普通の配信と違いましてあくまで音優先でございます。
MUSIC/SLASHというプロジェクトがそういうことをやっておりますので、それを目指したいなと思います。
でも中にはCDみたいに音が良すぎてライヴ感がないみたいな、そういうお便りすらありますけれども(笑)。
よっぽど下手なライヴしか観てないのでという、そういうアレでございます。
逆にいうと高音質になる程ごまかしが効かなくなるという、そういうものなので、演奏のシビアさというものがすごく問われますので、そういうところの、まぁ逆にいうとおもしろさと言いましょうかですね、じゃあ、やってやろうじゃねぇかという、そういうものでございます。

最初に申し上げたみたいに、基本的に、あくまで自分のお客向けにはじめたことですので、そういう他の配信のポリシーとは違うのでですね、そこんところだけご理解いただければと思っとります。

こういうこと本当は最初にお伝えしたかったんですけれど、珍盤・奇盤の間でこれを申しあげると一曲カットしなければなんないので(笑)。
先週なんかはそうするとオマリーで終わらなきゃなんないので、そういうのあまりちょっとアレなので、西郷輝彦さんのやつかけたかったので、こういう説明ができませんでしたが、ちょうど今日は納涼リクエスト大会ですので時間に余裕があるので申し上げました。
またご質問等あれば(笑)、お答えしたいと思っとります。長くなってすいません

・・・ということなんだそうです。
わかったような、わかんないような。
率直な感想としては、どんなにライブ映像の「送出者」側が高音質で配信したとしても、「受信者」側がチープな音響再生装置(例:スマホ等)で視聴した時点で「意味ないじゃーん」ということになりますんで、うーん、なんつーか、単なる送出者側の頑固一徹な「こだわり」に過ぎないじゃん!と、オイラは思ってしまいますね。

ただまあ、世間一般的には、コロナ禍を「災い転じて福となす」といわんばかりに、一気にリモート会議(Zoom等)といったものが一般化したワケですが、あくまで「意思疎通(会話、会議)」を最優先にしたテクノロジーであり、音楽ライブのように「音質・画質を最優先し、発信者と受信者の意思疎通は二の次」という趣旨には馴染まない、という事実は、今後、じわじわと世間に浸透していくことと妄想します。

恐らく、今回の 山下達郎発言 =「インターネットでのリアルライブ配信は幻想」は、今後、様々なメディアで引用されることと妄想します。

これから弾き語りライブ等をネット配信したいと考えているアマチュアミュージシャンは、「本当にそれが最善なのか?」を、一度、冷静になって自問する必要があるかもしれませんね。

なんてな。

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▼IMFORMATION

● 月イチ定例やまぼうしライブ
  ※2020年4月から当分の間、中止とします

会場 コーヒー&ギャラリー やまぼうし   
住所 静岡市葵区辰起町8-17 電話054ー271ー1602
料金 500円 (ワンドリンク付き)

▼参考リンク
BLUES和也のSoundCloud
GarageMihoのYouTubeチャンネル
旧ブログ「だからPA屋なんですってば」のアーカイヴ









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