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家賃が払えなくなったので AWS に転職した

2020年12月31日、22時31分。

今年も終わるなあとのんびりしていたところ、

「そういえば去年は振り返りのブログとか書いたなあ」とふと思い、何か書いてみることにした。


今年あった一番大きなことといえば転職で、それについてはタイトルでもうオチてるからいいと思うんだけど、転職エントリとかも書いてないし少し触れてみようかなと思ったり思わなかったり。




端的に言うと、会社がつぶれた。




今年の初めは、とあるスタートアップで執行役員 CTO として忙しく働いてたわけだけど、資金調達の成り行きが思わしくなく、先行きの見えない中プロダクト開発に勤しんでた。

前回の調達の時は、ショートしてから2ヶ月遅れくらいで着金したので、今回もなんとかなるだろうと甘く見ていたところはあって、しばらくは給料が支払われない状況でも開発を続けてた。

ただそんな状況が長く続けられるはずもなく、資金調達をするためにはもっと数字が必要、ただ手元の現金がないのでマーケも打てない、というデッドロックにハマり、打つ手がなくなり...

VCは当たり尽くしたし、デットも目一杯引いてる、増してコロナ騒ぎで投資全体が縮小傾向という状況もあったと思うけど、結局はPMFが達成できなかったってことなんだと思う。

それは本当に力不足ですまんっていうか、CTOとして何もできなかったなという気持ち。


最終的に会社は空中分解して、メンバーは身銭を稼ぐために転職を余儀なくされた。

未払いの給料は4ヶ月分。

自分の場合はジョインするときに貯金の半分を資本で突っ込んでるので、あんまり蓄えもない。

転職活動の期間、最初の給料が支払われるまでを計算すると、リアルに家賃が払えなくなる可能性が見えてきたので、さすがに少し焦った。

スタートアップをやる以上は会社が潰れるリスクなんて織り込み済みだし、資本は返ってこないものだと思って入れているので、別にそこに対する落ち込みはないんだけど、「生活ができない」、「借金しないといけない」っていう感覚は初めてだったので、何ともいえないスリルを感じた。

個人保証を入れる勇気は到底自分にはないなと思った。



転職活動は、基本的にコンタクトをくれたところの話を聞くような形で進めて、一部エージェントも使ったりしてみた。

カジュアル面談も含めたら40社くらいの話は聞いたと思う。

面接したのは15社くらい。

最終的には内定をもらうところまで3社進めて、AWSに決めた。


ちゃんと面接をするみたいなのは就活以来なんだけど、いろいろ見えるものがあって面白かった。

具体的には、「世の中の大半の会社は採用が下手すぎる」ということ。


・リモート面接で20分遅刻する面接官

・何の目的もなく行われるカジュアル面談

・同じく目的意識が擦りあってないまま面接に駆り出される可哀想なエンジニアたち

・「CTOが会いたいと言ってます」とメッセージをしてきて現場のエンジニアとの面談をセッティングする人事担当者

・質問の意図がわからないグダグダな面接


ここに上げたような会社はあらかたその場で辞退した。

名前だけ聞いたら成長途中の有望スタートアップが多いだけに、しっかりしてくれよ......と思った。

まあそんな中でもやっぱり大企業はしっかりと面接のプロセスが確立されてて、それだけで信頼が置けるし、受けてて気持ちのいいところばっかりだった。

AWS は6回面接をして、しっかりと自分の経験や能力を見極めてくれる感じがしてとても良かった。こういう面接のスタイルだと、正直誤魔化しようがない。話が上手い人が受かるとかそういうものではなく、これまで自分が積み重ねてきたものをしっかりと照らし合わせてマッチするかどうか決める感じ。ものすごく合理的。たぶん落ちても自分の能力が見合ってなかったんだなと納得すると思う。


そんなこんなで、バックエンドエンジニアというキャリアに見切りをつけてソリューションアーキテクトにジョブチェンジしました👏




正直次のキャリアはめちゃめちゃ悩んだ。


当たり前のようにこの先もエンジニアを続けるものという前提に立ってたし、SIerに違和感を覚えてフリーに転身してからずっとシード〜シリーズAくらいのスタートアップに関わり続けてきたので、夢破れたいま、次のスタートアップでやってくぞという気持ちも強かったし。


ただ、CTOをやってみてビジネスサイドのことを考える時間が増えて、経営に興味があることに気づいたり、コードを書くのが好きなんじゃなくてプロダクトを作るのが好きなんだと分かったので、PMっていうキャリアも考えててみたりもした。

(実は COO っていうオファーも1件もらっていた)

はたまた、エンジニアリング力のなさも痛感したので、ゴリゴリの外資で修行するとかも考えたし、ベイエリアでスタートアップの立ち上げに関わる話もあった。


最終的に集めたオファーの3件の内訳はというと、1つはシリーズAくらいのスタートアップ(N社)でテックリード、もう1つが大手でバックエンドエンジニア(Y社)、そしてAWSでソリューションアーキテクト。


AWS はもともとヘビーユースしていたし、バックエンドと言いつつこのあたりの構築・運用もやっていてむしろこっちの方が好きな感覚はあったので、第一志望だった。

とはいえ実は最初の選択肢にはなく、エージェントに紹介されて受けてみるかー程度で受け始めたのが実際のところだったりする。笑


最終的にAWSを選んだのは3つ理由があって、

前述の通りコードを書くことが好きなわけではないと分かって、ビジネスに携わりたいと思ったのが一つ。いろんな企業のビジネスを直近に見れて、それを支援できるのはアツいと思った。

2つ目が、単純にAWSが好きだったこと。GCPでもなく、Azureでもなく、AWS。プロダクトだけでなく、カルチャーとか企業の成長性を見たときに、今後10年を賭けれると思ったから。

あっ、ここは地味に重要です。

10年先を見たときに、自分がエンジニアとしてコードを書いてる未来は見えなかったし、他に受けた企業で10年先が想像できたところは一つもなかった。

AWSはそうではなかったし、今後10年ここでSAをやることにベットしたいなとすんなり覚悟を決められた。

こうして文字にすると打算的と言うか、割と戦略的な転職のように見えてしまうけど笑


そして3つ目は、コンフォートゾーンから抜け出すため。

スタートアップでは昼夜問わずはちゃめちゃに働いてたんだけど、振り返ってみれば新しい技術をインプットする時間も少なくなり、目の前のことをこなすのにほとんどの時間を使っていて、あまり自分の成長が感じられなかった。

別にサボっていたわけではないし、多くの時間は投入してるんだけど、いろいろと意思決定する立場だし、誰か師匠がいるわけでもないし、いくらでも気を抜こうと思えば抜ける状態で、

「これがあのコンフォートゾーンというやつか...!」とハッとした。

このままいくとエンジニアとしてゆるやかに死んでいくだけではなくて、一職業人としても成長しねえなと思ったので、バリバリのストレッチゴールを設定することにした。

中途半端なところではなく、世界最高峰の人たちと働きたいなと思って、Google とかの応募の準備も進めてた。残念ながらちょうどコロナの影響で採用の縮小を発表されたのでやめてしまったけど。

AWS もその一環で、

ソリューションアーキテクトっていう職種に関していえば、プリセールスあがりとか多い気がするし、エンジニアにしても10年20年のキャリアを積んでるとか、外資のどこどこにいたとかがデフォな感はある。

自分はといえばエンジニア歴4年半、セールスの経験なし、大手にはいたことがない。

「これは入社したら自分が一番無能だぞ」という最高のストレッチゴールになるかなと思ったので、自分に負荷をかける意味でこれを選んだ次第です。




そんなこんなで無事に3ヶ月の試用期間を終え、クビにもならず一年を終えることができました。

期待通り優秀なメンバーに囲まれ、バチバチ刺激を受けながら働いています。毎日新しく学ぶことがあり、初めて知るビジネスの世界があって、全然飽きない。

悩んで選んだポジションも気に入ってるし、上司メンター含め良いチームメンバーに恵まれてる。

思ったより早くグローバルの仕事にも関われそうで英語力のリハビリが急務。

そして早く海外出張行けるようになれ。



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今年はそんなところですかね。


当初はどうなることかと思ったけど、無事に借金することもなく家賃も払え、来年の仕事はどんなことやろうかなーと非常に心穏やかに2021年を迎えることができます。



2021年も、これまでと変わらず、粛々とやるべきことをやる年に。

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