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自分のために花屋に通う。池尻大橋「B.H.R COFFEE & FLOWERS」にて

「いかに家の中で心地よく過ごすか」が私たちのQOLと直結する今、「部屋に花がある」の豊かさに気づいた人は少なくないだろう。

誰かの記念日ではなく、自分のために花を選び、飾る。

 そのささやかな時間を、もっと日常的で、心満たされるものにするためには?

 そこで「1,500円で1日一輪、置いてある花をどれでも持って帰れる」というプランが話題となり、男性の常連も多いというB.H.R COFFEE & FLOWERSの店主滝澤さんにインタビュー。

 メンズライクな部屋でも似合う花の選び方や、花を日常の一部にする楽しさを語ってもらった。

「バラが売れない」異色の花屋

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 オーナーをつとめる滝澤友彦さんは、新卒から20年以上グラフィックデザイナー、カメラマン、ヴィジュアル作りと、クリエイティブのプロとして働いてきた。だが、42歳を迎え脱サラ。これまでとは畑違いの「花屋」をオープンさせた。

「実はずっと花屋さんがやりたかったんです。グラフィックデザイナー時代から花が好きでよく買っていて。やるならロンドンとかパリとか、海外で見かけるような“ワゴンに花を乗せて対面で販売するスタイル”だと面白いなあと。でも、知識ゼロ、顧客ゼロのスタートからだとすぐに潰れてしまうから、コーヒーも一緒に売ることにしたんです」

 日本人にとって非日常の存在である「花」と、日常的な存在である「コーヒー」。これを組み合わせたユニークな形態が誕生した。

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「まぁあとは、僕自身飽きやすいんですよね(笑)。グラフィックデザイナーになろうと思ったのも、小学校のときスケボーの大会に出て怪我したのがきっかけ。それでスケボーが出来なくなったんだけど、まだ関わっていたいなと思って、グラフィックデザイナーになってボードの絵を描くか、みたいな。それも長く続かずにカメラマンになったんだけど、29歳のとき韓国、オーストラリアと海外で個展を開くことができて、ある程度目標が達成できたから次に行こうと、その繰り返しでしたね」

 未経験でも、それまでに培ってきたセンスがあれば問題はない。“お花のサブスクリプション制”は、その最たる例だろう。

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「花が身近になってほしいから、月額1,500円で1日一輪、置いてある花をどれでも持って帰れるようにしています。そしたら、ほとんどのお客さんが毎日のように来てくれて。意外と男性のリピーターが多くて、割合でいうと男女比率3:7といった感じですね。これまで記念日だけに花を買っていた人が、ふらっと立ち寄ってくれるのは嬉しい限りです」

 サブスクリプション制にしたことによって、顧客定着率が高まったこと以外にも、他の花屋にはない特徴が現れた。

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「バラが全然売れないんですよ。最初だけは、定番のバラを選ぶんですけど、毎日だとすぐ飽きちゃうみたいで、『変わったものはない?』ってよく聞かれますね。だからあまり街中で見ない珍しい花もどんどん置いたりします」

常連の男性客が「咲き誇る花」を求めるとき

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 各々が選んだ「自分のための花」は、観賞用として楽しむことに加え、昨今の新型コロナウイルスの感染拡大による閉塞感も和らげてくれる。

「花を飾ることが習慣になるとわかるんですけど、『生き物』として見えてくるんですよね。猫とかと違って喋らないけど、そこにあるかないかで全然違う。やっぱり、いまは外の空気を感じられなくなっているから、自然に少しでも触れようということで、コロナになってから新しく来たお客さんも結構いますね」

 花は心を映し出すのか、「B.H.R COFFEE & FLOWERS」の常連客でこんなエピソードがある。

「映像制作会社の男性のお客さんなんですが、穏やかな時はこれから咲く花を求めてくるんです。でも仕事がめちゃくちゃ忙しい時は、つぼみがしっかり開いた状態のを買って帰られるんですよ。『もう疲れたからさ、とにかく花!』みたいな(笑)」

 そうした会話がカウンター越しに行われるのも、この店ならではの光景だ。

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「リモートが増えてるせいで、外で人と話す機会がなくなるじゃないですか。別に話さないでいようと思えばそのまま1日過ごせちゃうと思うんです。でも、もし話したくなったらうちに来てくれれば僕がいるし、話すし。5分ぐらい世間話して帰って行かれる人も多くて、そんな使い方をされる花屋って他にはないですよね」

滝澤さんおすすめの「初心者の暮らしに馴染む花」

 いざ、実際に花を部屋に飾るとなると、何を選べばいいのか気になるところ。そこでズボラな人でも世話が簡単で、どんなインテリアにも馴染みやすいという花を教えてもらった。

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「僕は基本的に、最初は花の種類も名前もわからないから、パッと見て好きなのを買えっていうスタンスです(笑)。それを前提にいくつかオススメさせてもらいますが、まずはトルコギキョウですね。これはダントツで世話が楽で、長持ちもする。結構高級な種類なんですけど、その分持つからまあいいでしょっていう。『人に贈る花がほしい』って言われた時は、その人が花に詳しいか聞いて、そうじゃなかったらとりあえずトルコギキョウ、って感じですね」

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「次にカラー。これも枝先をチョキチョキと切って花瓶にサッと入れておくだけで良くて、世話が簡単。色合い的にもメンズライクな部屋に会います」

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「あとはバンダ。花びらが特徴の蘭の一種です。一輪だけで様になって見た目もかっこいい。他のと同様に長持ちしますよ」

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「これも蘭の一種で、めっちゃ育てやすいし長持ちする。育て方にもよりますけど。3週間は全然いけると思います」

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「あとはこのバラですよね。色合いから、名前が『カフェラテ』っていうんですよ。落ち着いた見た目なので。結構男性でこれを買って行かれる方が多いです。でもコーヒースタンドがあるこの店で『カフェラテください』って言われると、『どっち?』ってなる(笑)」

 買うべき花がわかったところで、それを挿す「花瓶」は何を選ぶべきだろうか。

「最初はシリンダー型のまっすぐな形のものがいいですね。花はなるべく寝かさないほうが長持ちするので」

花、コーヒー、そして次の仕掛けとは

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現在、「B.H.R COFFEE & FLOWERS」はその名の通り花、コーヒーを軸にしているが、今後はさらなる展開も考えていると滝澤さんは語る。

「次の大きなステップとして、『フード』も出していきたいんです。ありがたいことに『支店はないの?』とよく聞かれるんですが、現状、ミニバンに花とコーヒーを積んで移動するぐらい。それならば他のこともやって、より覚えてもらう手段を増やそうかなあと。考えているのは、チーズと豚肉を挟んだ『キューバサンド』や、ヴィーガン対応の『ファラフェルサンド』などですね。ちょうど出ようと思ってたイベントが全部中止になっちゃったので、緊急事態宣言明けぐらいから本格的に始動できればなと」

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 5種類のドリップコーヒーのほか、ジュースやお酒もラインナップされているため、こうしたフードの親和性は高そうだ。ほかにも、Facebookメッセンジャーを使った個別案件の花の宅配、いわば“Uber Flower”ともいえる事業も行っており、コロナの中でも着々と思い描いたことを実行に移している。

「1,500円のサブスク制度とか、ぶっちゃけ全然採算取れないサービスなんですけど、これはうちの特徴でもあるので続けていって、車で出店したり、ここみたいにミニマルなサイズのお店をいっぱい出して、いろいろな場所の “地域密着店”になれればいいなと思っています」

 商売をしていく上では目をそらすことができないリアルな「採算」の話が出たが、それについて話す滝澤さんはどこか朗らかに見える。

「そう見えます?よく『余裕に見えるね』って言われるんですけど、別に家も金持ちじゃないし、なんなら結構焦ってんだけど顔に出ないだけ(笑)。多分、カメラマンの先生をやってた時のクセだと思うんですけど、わからない子に質問されて『わかんない』って言っちゃダメだから、慌てない習慣が身についているのかも。まあ、めちゃめちゃ儲かってたほうが不安になりそうだから、このぐらいがいいんじゃないですかね」

SHOP DATA

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B.H.R COFFEE & FLOWERS

東京都目黒区東山3-18−9 レインボー倉庫内(池尻駅徒歩5分)
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定休日:火曜日
営業時間:平日/7:30-18:00 土日祝/8:30-18:00
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