キレイな踊り


(動画を拝借します。)


「キレイな踊りだよね」




とあるラップデュオのダンサーとしてステージに立った。

ホントは最初「バックダンスをして欲しい」と頼まれて引き受けたんだけど

リハーサルを重ねるうち

「もうフロントダンサーでいいんじゃん?」みたいになっちゃって

急遽、本番ではフロントアクトをさせてもらった。

それを観ていたらしく

ステージを降り、控室に入った時

とある有名女性ダンサーが自分に言った一言。

彼女は現在、有名振付師である。

そして、その隣にいた男性ダンサーは現在芸能人である。

これが、初対面。

遠い過去の話

きっともう、覚えていないと思う。





「キレイな踊り」

人によってなにを美しいと思うかは、もちろん違う。

少なくともこの時

楽曲自体はバリバリのラップなので

美しさよりも逞しさのほうが

表現として出やすくはある。

しかし、彼女だけは「キレイ」だと言った。

自分も彼女と同様に

少なからずもモダンバレエやJAZZダンスをやってきているから

そう言ったのかもしれない。

バレエやJAZZダンスの経験者というのは

嫌でも姿勢がよくなる。

ヒップホップだのストリートダンスというと

どうも崩した姿勢のほうがいいという風潮があるけれど

バレエやJAZZダンス経験者は、そうはならないことが多い。

自分も、その一人。

その様がキレイに見えるということは確かにあるけれども

彼女はどうも、

そこを見て言ったわけではなさそうだった。








踊りというのはホントに誤魔化しがきかないもので

「技術力=表現力」

これで「ダンスを魅せる」わけなんだけど

独創性(インスピレーション)とはまた別に

「そのダンサーの生き方」というのが本当に出る。

だから不思議なもので

いくら容姿端麗で踊りの技術も洗練されていたとしても

なにか「どす黒さ」「下品さ」「俗っぽさ」が出るダンサーが、いる。

これは、いくら外見や技術を磨いても決して払拭はされるものではなく

「ダンサーとしての生き方」

という、ある種、人間の根源的なものだったりする。

だから、ダンサーを観ていて

「あー、コイツはダンサーとしてロクな生き方してねーな」だとか

「容姿端麗だけど実際キレイな生き方してないよねー」だとか

逆に

「この人一見奇抜に見えるけどピュアなんだな、本当は」だとか

「不細工だけど、内面的にとても美しい踊りをする」だとか

そんなことをよく思ったりした。

もしかしたら、

こんなことを思うのは自分だけかもしれないけど。





汚い手段でのし上がることもなく

パトロンを見つけもせず

ダンスに対しては真摯に向き合ってきた自分は

ダンサーとして

結構まっとうに生きてきた。

もしかすると、それを見て「キレイ」だと

言ったのかもしれない。






そう言った彼女は

ダンサーとして表に立つときは結構派手に踊ることが多かった。

それを世の中に求められていたのかもしれない。

自分は彼女と親しい仲ではないので事情は一切わからないけれど

なんとなくそうなっていたんじゃないかと傍目によく思っていた。

踊りに関しては飛び抜けてよくて

長年培った技術に裏打ちされてこその、派手さなので

若者がド派手にやるのとはレベルが段違い

観ると唸る。

しかし、

本当の彼女の踊りは「とても美しい」

何度かモダンバレエ・JAZZダンステイストのものを観て

「彼女の本当の姿はこっちだな」

と、自分だけかもしれないけど確信していた。

いつも観るド派手さとは打って変わり

伸びのあるしなやかさと

まっすぐな美しさがあり

彼女の持つ「芯の強さ」がより一層際立つ

非常に美しい。

自分が現役中、

他のダンサーで最も美しい踊りをするのは彼女だと、ずっと思っていた。

今現在は、振付師として売れっ子になってしまったけれど

上の動画のような曲で踊る彼女を

また観てみたいなと、ひそかに思っている。

こういう曲は、彼女にしか踊れない。




拙い文章お読みいただきありがとうございました。



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