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映画 林檎とポラロイド

記憶を失くす謎の病におかされた世界。

男が唯一覚えていることは林檎が大好きなこと。

新しい自分プロジェクト。

自転車に乗れ、仮装パーティーに参加せよ、映画館でホラー映画を観ろー。

意味不明な指示を真面目にこなしていく男。

やがて、彼の瞳に映る世界とは…?

忘れたい記憶、残しておきたい記憶、思い出は選べない。

思い出すことで楽しい気持ち、幸せになることもあれば、思い出すことで辛くなる、不幸になることもある。

男は日々、ポラロイドを撮り、アルバムに新しい人生を収めていく。

彼は新しい自分になるのか、それとも本来の自分に帰っていくのか。

プロジェクトが終わるとき、男の瞳になにが映るのだろう…。

ギリシャ発、クリストス・ニク監督初の長編映画。

ドライブ・マイ・カーのビターズ・エンド(日本の配給会社)がまた一つ、新たな才能を日本に!

製作、脚本もクリストス・ニクが担当。

作品を観たケイト・ブランシェットが絶賛、プロデューサーに名乗りを上げたことでも話題になった本作。

発想がめちゃくちゃユニークです!

“新しい自分プロジェクト”

それは失った記憶、過去を取り戻すのではない。

過去は捨て、新しい自分を見つけるプロジェクトだ。

主人公は綺麗好きで几帳面な男。

彼は毎日送られてくるカセットテープに吹き込まれた内容をもとに、様々なミッションをこなしていく。

ミッションの内容は特に難しいことではなく、何気ない日常的なことばかり。

自転車に乗ること(少年や大人は貸してくれないので結局子供に借りる笑)→三輪車に乗る幼稚園児みたいだが無事クリア(笑)

コスプレして仮装パーティに参加、10メートルの高さからプールに飛び込む、お酒を飲んで女性(ポールダンサー)と仲良くなって踊る、スズキを釣る(バーやクラブで知り合ったばかりの女性とセックスしろといった難易度が高いミッションも!)

目的がよく分からないミッションを真面目に淡々とこなす日々のなかで、男は同じ回復プログラムに参加する風変わりな女と出会う。

ダンス、歌、逆立ち、プールへの飛び込み、林檎が好きなこと。

覚えていること、忘れてしまったこと、間違った記憶。

すべてが少しづつ、紐解かれていく…。

テーマや舞台は近未来、SFだがチープでレトロな世界観。

そこがなんともいえない。

ザ・ボーイの奏でる音楽がルパンみたいなジャズですごくお洒落!

記憶、思い出の大切さ、それを失ってしまうことの辛さ。

一度記憶を失ってしまえば、それ以上大切な思い出を忘れることはない。

それはある意味、幸せなことなのかも知れない。

もし、すべての人間が記憶を失くしたら。

世界から争いは消えるのだろうか?

そんなくだらないことが頭に浮かびました。


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