見出し画像

映画『ウインド リバー』

あらすじ

 アメリカ、ワイオミング州。先住民族が住む深い雪に囲まれたウインド・リバーで、地元のベテランハンターであるコリー・ランバート(ジェレミー・レナー)が女性の遺体を発見する。FBIの新人捜査官ジェーン・バナー(エリザベス・オルセン)が派遣され、1人で捜査を開始するが雪山の厳しい自然環境や不安定な気候で難航する。ジェーンは、ウインド・リバー一帯に詳しいランバートの手を借りて調べを進めていく。

感想

 18才になったばかりの女の子が人里離れた雪山で裸足で凍った状態で見つかった。魂の抜けた身体は人形のようで、現実味を帯びない肌に生々しい赤い血が見て取れる。

 彼女の家族もまた被害者だ。苦痛が彼らに襲いかかって起き上がるのを許さない様は見ていて苦しくなった。

 主人公コリーが彼女の父親にこう言った。

 時が癒すと言いたいが…違う。気休めになるとすれば痛みには慣れるということ。(中略)いい知らせと悪い知らせがある。悪い知らせは、もう二度と元の自分には戻れないということ。いい知らせは、それを受け入れて苦しみや悲しみと向き合えば心の中で娘と会える。娘がくれた愛や喜びを思い出せる。大事なことは逃げないということ。逃げれば失うことになる。娘との思い出の全てを。

まだ続くのだけれど、気になる方は是非本編で見てみてほしい。この言葉は、愛を失ったと感じる全ての人に当てはまる。

 そして終盤にさしかかり、遺体となった彼女が生きていた頃、死の前に何があったのかが描かれる。あざやかに美しく生きる彼女を見られてはじめて、この映画の伝えたい本質みたいなものを捉えることができた。

 生きるだけで苦しいこの世界を、あざやかに生きる人々はとても美しい。


----------------------------

ご覧いただきありがとうございます。

スキ♡をタップしていただけると嬉しいです。noteではログインや登録なしでもスキ♡をタップできます。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?