ようやく、ようやく、ようやく、一息つける

 自粛自粛と呪文のようにそこかしこから耳に入るし目に映るし匂いもなんだか落ち込ませる香りが香ってきそうな気さえする。

 世間で言われる自粛疲れに私ももれなく当てはまる。

 夫は自己判断で時短勤務可能とはいえ、リモートワークにはならず普段通り通勤している。違うことといえば電車通勤をやめていることだろうか。

 そんな夫も世間とは少しずらしたタイミングで連休中だ。初日は近所のお気に入りのレストランで連休限定のお弁当を買いに行き、自宅で食べた。その夜から友人夫婦宅へ飲みに行った。

 この混乱のなか誘う方もどうかと思うし、行く方はもっとどうかしている。それでも夫は次の日の夕飯頃まで帰ってこなかった。

 出口が見えない自粛生活で漠然とした不安がいつしか大きくなっていた。そのことは彼に話さなかったし、きっと話したところでどうにもならないことなのは確かだった。

 ひとりで過ごすのが好みな私にとってはなかなか大変な生活で、ボーッとして退屈を紛らわすことはできても、ホッと一息つける時間はほとんどなかった。

 それから今日、娘の自宅学習に付き合い、昼食を用意して片付けると、誰にも何も言わさないよう「出かけるから。」とだけ言って素早く家から脱出した。

 ようやく、ようやく、ようやく、私の時間だ。

 本屋で思う存分、吟味して、娘の自宅学習に役立つ本を一冊と、その間読む為の一冊を選んで購入した。

 そして閑散としたカフェに入ってなるべく他の客から離れたテーブルについて、腰を落ち着けている。

 1時間後には閉店だそうなので、残りわずかな時間を楽しめばまた日常へ帰ってゆく。

 気に食わない夫と、無邪気で最愛の娘がいる家に縛りつけられる。

 この先を悲観することはいくらでもできるけれど、今は、ただ肩の力を抜いてこの時間、空間を味わう。


----------------------------

ご覧いただきありがとうございます。

スキ♡をタップしていただけると嬉しいです。noteではログインや登録なしでもスキ♡できます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?