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フランドルの獅子たち
レースは30kmを残し、先頭を逃げる2名と、俺を含む小集団のタイム差は3分。控えめに言って、戦況は厳しい。
ボトルに残ったドリンクを飲み干し、周囲を見回す。スポンサー名が彩る鮮やかなジャージに身を包み、最高級のバイクに跨る、世界最高峰の自転車乗りたち。
200kmの地獄の道程を終えた今、出走時に百以上を数えた選手のうち、この集団に残るのはわずか十人足らず。
その中に十年来の強敵の顔が見つ
宇宙の戦士も腹は減る
前人未到の地球型惑星の地表。おれは幼い日の夢をついに実現して、未知の生物の第一発見者になった。
惜しむらくは、これが夢見た通りの宇宙生物学者としての調査ではなく、いち兵士としての訪問であること。そして感慨を味わう余裕が全く無いことだ。
歪な人面を思わせる細長い頭部に、筋肉質な肉体。蜘蛛のように胴から生える四対の腕、あるいは脚。1.5mを超える体高。人類の感性から言えば、それは紛れもなく異形
安らかに眠ってはいられない
地獄の沙汰も金次第、と昔の人は言った。当世、天国で暮らすにも金が要る。「最先端の職場!超高額手当!万一の手厚い遺族年金!」と怪しい単語で彩られた求人を見つけた私は、半ば自殺覚悟で応募して、実際、死んだ。
自分の体のど真ん中に空いた大きな穴と、体に繋がるケーブルの数々。接続先のモニタは、ずっと綺麗な横一本線。
「うーん……死んでるね」
「え」
疲れ切った雰囲気の医者が、ブツブツと文句と言