とりビ

写真は私ではなく、詩人の吉原幸子。 本と、本に関するあれこれや、ショボい書評。

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写真は私ではなく、詩人の吉原幸子。 本と、本に関するあれこれや、ショボい書評。

    最近の記事

    全てが戯れでしかない(のなら)

       キリンジの歌詞はよく「文学的で難解だ」とされている。だから、「文学的で難解」なものが好きな層が聴いてよく歌詞の意味考察をブログに上げてたりするんだけど、まるで面白みもセンスもない。みんな真面目に読み取ろうとして、ただストーリーを直線的になぞっているだけなのに、よくぞ「解釈」という言葉を大々的な意味で恥ずかしげもなく使えるなと読んでるこっちが恥ずかしい。    特に堀込高樹の書く歌詞は、比喩や暗示が多いとされている。別にそれがいちいち何を指しているのか考えなくても充分に楽

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      • 「羅生門」論―「悪」に魅せられた男―

        火曜4限 日本文学演習 F先生 夏季休暇レポート課題 『羅生門』論―「悪」に魅せられた男―   G大学文学部日本語日本文学科二年 とりあえずビール はじめに(『序章)   「羅生門」は、大正四年に『帝国文学』に発表された小説で、のちに短編集『羅生門』(阿蘭陀書房 大正六年)に収録される。この作品は『今昔物語集』を題材にして、生きるために悪事をなす人間のエゴイズムを描いた作品とされていて、また、高校の現代文の教科書にも取り上げられている。    あらすじは以下の通りである

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        • 倉橋由美子論ー〈他者〉をめぐる冒険・『暗い旅』ー

          一、『暗い旅』は駄作なのか? 『暗い旅』は、1961年に倉橋由美子が発表した初の長編小説である。この作品は、ミシェル・ビュトールの『La Modeification』(1956年に発表、邦訳は1957年、河出書房新社より『心変わり』の題で出版される)と、二人称という形式、列車で短い旅をするという設定、主人公が旅の終わりに小説を書こうと決心するプロット、途中で主人公が古都についての美術論を語るギミックなどの点において似通っていることから、江藤淳に「模造品」だと酷評されることにな

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          • 『悔しみノート』が悔しかったnote

            数日前に御社の面接を受けたけど、あまり感触がよくなかった。 やりたいことを3つ立て続けに話したあと、面接官に「志が高いですね」と言われたのが「現実が見えていないですね」と同義に思えて、しんどかった。あと、「本をたくさん読まれてるんですね」じゃねーよ。 私よりも知識も意欲も(実務能力も)ないのに、愛敬やコミュニケーション能力だけで採用される人たちのことを考えると、歯ぎしりどころじゃ終わらず、御社の玄関の床に唾を吐きたくなる。(イエーイ御社ー見てるー?もし見てたら見なかったこと

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            あなたはフィッツジェラルドを読まない

            あいみょんの曲みたいな、というか曲そのものみたいなタイトル付けやがってよって自分でも思う。でも、これは、フィッツジェラルドなんか読まないあなたに、「少しでも“私”に近づいてほしくて」、『グレート・ギャツビー』を渡す話ではなく、「なんで読んでないんじゃボケ!!!」と勝手にぶちギレた話だ。 この話は、8月某日、出戻りしたマッチングアプリで、“千葉雄大”と再びマッチしたところから始まる。もちろん“千葉雄大”というのは本人ではなく私がつけたあだ名で、彼と直接会ったのは去年の11月の

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            遠野遥『破局』にまつわる講義

            正直、タイプってわけじゃない。(と言いつつ、冒頭が好きで読むのを決めた)話の内容も文章も全然私の好みとは違う。それでも、高揚感、そしてそのあとにやってくる満足感と虚脱感まで味わわされてしまった。 おそらく1日に何人もの人が『破局』を読んでいて、そのうちの何人かは『破局』について感想をつぶやいていて、そこには大体「すごい!」「面白い!」の言葉が並んでいる。それも当然だ。『破局』は面白くてすごい作品だから。 でも、その“すごさ”や“面白さ”をどれだけの人がちゃんと説明できるの

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            ドストエフスキーを知らない東大生を馬鹿にできるのか?

             え~久しぶりの更新ですが、まずはね、リスナーのみなさんに感謝をしたいと思います。え~この度、ありがたいことにですね、前回の記事が私のnoteのなかで一番読まれてスキ💓された記事となりました。みなさん、読んでくれてありがとうございます!が、皆さんのなかで私のイメージが「公衆の面前でSM小説を紹介したヤバい女」で終わるのはちょっと……(笑)私としてはまあ、不服でして(笑)この機会にしばらくは、真面目な本紹介をしていきたいと思います、はい。  最近、たまたま見て、考えさせられた

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            教授の趣味でSM理論について勉強させられた結果

            谷崎潤一郎の『痴人の愛』を読んで、映画を観るという授業を受けたことがある。 『痴人の愛』を読んだのはこれが初めてだったけど、こんなに面白い話だとは思わなかった。とにかくナオミが腹立つ!そして腹を立てれば立てるほど、譲治と一緒にこっちまで面白いくらいナオミに翻弄された。しかも、ナオミの手が分かっていて、次こそは引っ掛かるまい……としているのに、最終的にコロッとやられちゃう展開の繰り返しではあるんだけど、それまでの焦らしがすごくて、ジェットコースターに乗せられている感じがした。

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            メモリー・オブ・バーバリー

             白いダッフルコート(アンゴラのファーつき)、黒いPコート、赤チェックのミニスカート、グレーチェックの膝丈スカート、茶色いスカート。 以上5点。どれも、BURBERRY BLUE LABEL、もしくはBLUE LABEL CRESTBRIDGE の服だ。使った金額の合計は、たぶん3万円を越えていて、よくもまあ、と自分でも呆れる。4ヶ月前には名前さえ知らなかったブランドの服をメルカリで大量購入するようになったのは、それが「千葉雄大」に教わったものだったからだ。 「千葉雄大」

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            書くことについて書くときに私の書くこと(本丸篇)

             さて、前回が暗い過去篇だったので、今回は未来に向けた建設的な所信表明を書きたいと思います。10年間ぐるぐるしていた暗いトンネルを抜けて、光のある場所へと私がたどり着くまで、もうしばらくお付き合いください。  大学で文芸部に入ったものの、結局私は1年ちょっとで小説を書かなくなって、ほとんど読み専門になる。いろいろ忙しかったのもあるけど、 直接的なきっかけは、私が書いた小説について、「この登場人物のモデルって、○○○でしょ?」と言われたことだった。あんなに冷や汗たらーっにな

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            書くことについて書くときに私の書くこと(エピソード0)

             まず、タイトルが村上春樹のエッセイのパクりであることに弁明の余地はありません。これ以上にふさわしいものが思いつかなかったのです。そもそも『走ることについて語るときに僕の語ること』だって、レイモンド・カーヴァーの『愛について語るときに我々が語ること』から来ているんだし、きっと大目に見てくれるはず……  やっぱり書くときも書かないときも「私はなぜ書くのか」「私は何を書くのか」という2つの問題にいつもぶち当たってきた。この本丸をぶっ潰さない限り、書いても書かなくても自己満足と自

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            あなたがいつか、美しい言葉に復讐される前に

             「やあハニー、元気にやってるかい?あれからnoteの更新がないようだけど、一体キミは何をやってるんだい?そんなにボーイフレンドのケツを追い回すのに忙しいのか、全く。大晦日に全裸で興奮しながら(注:お風呂で)記事を書いていたときのキミは最高にクールだったよ。でもあの記事にしても、開始10行くらいまではいい感じだったけどあとはゴミだね!スパムの方がまだマシだ!ハッハッハ」  こんな風に、クリスチャン・ベールみたいな人が世界まる見え!の映像に出てくるアメリカ人男性の吹き替えの声

            “サブカルクソ女”と呼ばれて

            12月某日の夜、新宿三丁目駅へと向かう地下通路で私は、男に対して愛の告白を試みていた。「どうしよう……好きかもしれない」 そう言ったそばから、言葉には照れと自嘲と投げやりな調子が同居しはじめていた。さっき飲んだビールによる酔いがなければ、こんなことは口走らなかったはずなのに。男の歩くペースはそれでも変わらない。今度こそ躊躇いの色を消して男の背中を刺すように告げる。 「本当に好きなんだと思います、菊地成孔が」 「菊地成孔……? あーあのやたら小難しいことを書いたりしてる人

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            男に貢いだ記憶、あるいは修学旅行の想い出

            高校に入ったり大学に入ったりして、新しい友達をつくるとき、話題がなくなると出やすい質問のひとつに「修学旅行、どこ行ったの??」がある。 聞かれてしまえば、私は悪事がバレた子供のように縮こまって膨れっ面で「長崎」と答える。 「え?長崎?あのカステラの?」 「そう長崎、豚の角煮まんもあるよ」 何を隠そう、私は中学の修学旅行でも高校の修学旅行でも長崎に行っている。高校の新入生説明会で、壇上に上がった先生が「48期の修学旅行先は、沖縄ではなく長崎になりました」と言った瞬間、たしかに

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            私が死んだらして欲しいこと

            歌詞とメロディーラインの美しさにこころを奪われる曲がある。 キリンジの「愛のcoda」 壇蜜の「人生の最期に聴きたい曲」でもあるらしい。 そのことを知って、私が死にそうなとき、そして死んでしまったあとに何をしてほしいかを考えた。 そして、お葬式のときにみんなでお経代わりにある本を朗読してほしいと思った。 その本は、私を打ちのめし私の夢を潰した本でもある。 私は、人よりも本を読むことと文章を書くことが好きだ。けれど、自分に小説を書く才能がないことは分かっていたから、自分に何が

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