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【不思議な話】因果を背負いし者達

重たいリュックを背負わされた人のお話。

むかしむかしのお話です。
あるところにとっても仲の良い夫婦がいました。
3人の子供が欲しいと願っていたのです。

家族全員が幸せに暮らせますように、みんなの笑顔が絶えませんように。
夫婦は明るい未来を想像していました。
きっとこれからは楽しいことがたくさん起きるに違いない。
そう思っていました。

ある夜のことです。
夫婦の夢に神様が現れたのです。
神様の口からはこんな言葉が出てきました。

神様「生まれた子供の中からたったひとりだけ重たいリュックを背負わされる子がいるだろう」

目覚めた夫婦は驚きました。
まさか神様が夢に出てくるなんて。
なぜ、そのような話をしてきたのでしょうか。

どんなに頭を捻っても夫婦には分かりませんでした。
そのうち神様の夢のことは忘れていきました・・・。

それから何年か経ちました。
夫婦には子供が3人生まれました。

長女、次女、長男の3人です。

長女はとても真面目な性格なんですが、いつも損をしてばかりです。
次女は明朗快活で要領良く世の中を渡っていける強かな人です。
長男は可愛げがあって甘え上手です。

真面目な長女はいつでも重たそうなリュックを背負っています。
いつの間にかそういう役割を担ってしまっているのです。
重たいリュック中には一体何が入っているのでしょうか?

いつも重たそうに背負っているのに誰も手助けしようとしません。
両親も兄弟も、側に居る他人ですら手を貸そうとしません。

子供達の母親は長女が不憫で仕方ありません。
出来ることなら変わってあげたい、だけど何故か出来ない。
可哀想、どうして長女だけ不遇な境遇なんだろうか。

母親は懇意にしている霊能者に相談してみたのです。
霊能者の口から驚きの鑑定結果が出てきたのです。


霊能者「長女さんはね、生まれる前に決めちゃったんだよ、背負うことをね」

霊能者「自分で決めちゃった以上は可哀想だけど、誰も長女さんを助けることが出来ないんだよ」

霊能者「もし、過去に戻ることが出来るならば、ご先祖様が良い行いを積み重ね続けることでしか長女さんは助けられないよ」

霊能者「時間を戻すのは無理だから、可哀想だけどこのままずっと・・・」


母親は絶望しました。
助けることが出来ないなんて・・・。
どうして、こんなことになってしまったのか悩みます。

みんなで幸せに生きたいと思っていたのに。
長女だけが可哀想なことになってしまったのです。

それからもずっと長女は重たいリュックを背負ってしんどそうに生きていかなければなりません。

誰も助けることが出来ない、親も兄弟も善良な人々も。

どうして長女はこんな辛いお役目を背負わされてしまったのでしょうか?
神様はなぜこんな残酷なお役目の人を作ってしまったのでしょうか?

全ては神様のみぞ知る・・・悲しい長女の物語はまだまだ続きます。

以上が、因果を背負いし者達のお話である。

この昔話を書こうと思ったのは、コンビニで働いていた時に知り合った年配の従業員から聞いたある悲しい話がきっかけだ。


「うちには3人の子供がいるんだけどね、長女だけが損な人生ばかり歩んでいるのよ」

「何をやっても損ばかり、他人の厄まで背負わされて可哀想だった」

「だから知り合いの霊能者に相談したことがあってね」

「長女に背負わされた運命の話を語られた」

「それを聞かされた時には長女に申し訳ないと思ったのよ」

「変わってあげたい、何度そう思ったか」

「どんなに願っても変わってあげられない」


悲しそうな顔をして教えてもらった話だった。

以下は私が別の霊能者から聞いた話である。


「詳しく教えることは出来ないが、そういう運命を背負わされる人達はいる」

「だが、悲観してはいけない」

「そういう宿命を背負わされた人には大きな力が宿っていることを」

「自分の力を信じて前を向いて歩いて欲しい」



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