再び目覚めるとき

「先生」であることを、自分を守るための武器にすることに、小さな小さな違和感が出てきた頃、ウイルスがやってきた。

教えていた教室はお休みとなり、「先生」であることもお休みになった。

そして、普段は滅多に揃わない家族が、勢揃いする日々が始まった。

2カ月近く、そんな生活が続く中、ある時、ふと気付いた。

あれ?わたし、今、先生という武器、とりあえず手放しているのに、なんだかとても幸せだ。

わたし、もしかして、もうずっと、このまま武器を手放しても、幸せなんじゃないの?

もうわたしの人生に、武器は必要ないんじゃないの?

そんな、わたしの内側から、ふと湧き出た思いは、時々打ち消されながらも、日に日に、確実に大きくなっていった。

10年を経て、再びわたしに、目覚めのときが近づいていた。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?