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「月が綺麗ですね」はよく聞くけれど

かの有名な文豪、夏目漱石は「I love you」を「月が綺麗ですね」と意訳したとか。では私だったら、あなただったら、「I love you」をどう訳しますか?

月が綺麗ですね、とは

きっと多くの人々が一度くらい聞いた事ある言葉だろう。
上記の通り、夏目漱石が残したとされる言葉だ。
日本人は「愛してる」なんて直接的には言わない、「月が綺麗ですね」くらいにしておきなさい、と日本人の慎ましさを表した表現という意見もある。

夜道を歩いているときにふと見上げた月の綺麗な輝き。
満月だったら全てを明らかにするように眩く、三日月ならばそっと包み込むように淡く。
隣を見れば、想いを寄せる人の横顔。
そして、気付けば口を開いて溢れていた。
「____」

なんて、小説のワンシーンが浮かぶようだ。

また、同じように「I love you」を訳した表現として、二葉亭四迷の「わたし死んでもいいわ」も有名ではないだろうか。
実際には「I love you」ではなく、ツルゲーネフの「初恋」の台詞、「yours…(あなたのものよ)」を翻訳した言葉とも言われているが。

どちらにせよ、直接的に恋心・愛情を伝えるのではなく、間接的に表現する言い回しがとても美しく趣を感じるであろう。
私の個人的体験になるが、初めてこの言葉を知ったときはあまりの衝撃で、暫く頭から離れず呆然としていた。

派生した言葉

「月が綺麗ですね」について、きっと世の中には感激した方も居たのか、今では派生の言葉がいくつか生まれている。
その中でも特に、私がお洒落で好きな言葉を少し紹介させて頂く。

1. 「今日は肌寒いですね
これは割と分かりやすいだろうか?
意味としては、「あなたと手を繋ぎたい」。
寒さという気候を言い訳にしても手を繋ぎたい、という可愛さといじらしさが現れているように思う。

2.「海が綺麗ですね
本家に近い文章だ。
意味としては、「あなたに溺れている」。
月でなく海に例え、更に溺れるという意味を持つほどの熱烈な愛情表現である。
文章の綺麗さと、込めた想いの強さに惹かれないだろうか。

3. 「雨音が響いていますね
これは、私史上最も詩的な表現だなと感じた。
意味としては、「あなたを愛していました」。
過去形の愛の告白。どこか他人事のような口振りでの話に加え、流れる雨と同様に私の気持ちも流れてしまったという意味がある切ない気持ちが込められている。

上記の他にも表現がいくつかありますので、興味を持たれた方はぜひ調べてみてください。
ネットで検索すれば、意味と一緒に出てくると思いますので。

私だったら…。

さて、ここまで「月が綺麗ですね」という言葉に纏わる様々を軽くではあるが紹介していった。、
激しい愛情や切ない別れなど、様々な意味をはらんだ言葉は、私には紹介しきれない程きっと沢山あるだろう。
では、ここで考えてみたい。

私だったら「I love you」をどう訳すだろうか。

これは、ぜひ今読んで下さっているあなたにも少しだけ考えてみて頂きたいものである。
「愛している」という告白を言い換えるならば。
想いを寄せる相手に、何と言って打ち明けるだろうか。
そこには私やあなたに存在している個人の考え方や生い立ち、経験が関わってくると思うから。

よく聞くのは「あなたの味噌汁を毎日のみたい」。
ご飯を毎日食べたい、というのも凄く素敵な言い回しだと思う。
食卓という共に過ごす時間をあなたと過ごしたい、という日常に寄り添った想いがあるように思う。
これはむしろプロポーズになってしまうだろうが。

私だったら…。
先に「雨音が響いていますね」と同じ意味を訳すのならば、比較的簡単に感じる。
私はきっと「ずっと笑顔で居てね」だ。
好きな人に好きだったと言うとき、1番は相手の幸せを願いたいからだ。実体験に基づくが。
自分が一時でも愛した相手には、ずっと笑顔で居られるような幸せな日々を過ごして欲しい。

「月が綺麗ですね」と同じ意味を訳すのならば。
我が家の猫みたいな方ですね」かもしれない。

私は猫好きだ。家にも2匹飼っている。
猫は生きていてくれるだけでいいし、居てくれるだけで癒される。
そして何をしても大抵許してしまうし、猫も一度怒ったとしても最終的には許してくれる。
私は、人間にとってもそういう関係性が最も深い愛情ではないかと考えている。

だから生きていてくれるだけで嬉しくて、隣に居るだけで幸せで、互いに許容できる人という意味で、
「我が家の猫みたいな方ですね」がきっと私にとっての「I love you」なのだと思う。

さいご

全く詩的な表現にはならなかったが、私の考え方や経験があるからこそ生み出せる、私なりの「I love you」が出来たように思う。
おそらく、これからまた人生の長い道のりにおいて様々な経験を増やしていくことで変わることもあるだろう。
だが、その度にまたこうして考えてみるのも悪くない。

また、ぜひこの記事を読んで下さり、かつ何か訳を生み出された方はぜひコメントなどでお教えください。
あなただからこそ生み出せる表現・言葉をお待ちしております!
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。


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