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鴉がカラスについて饒舌に語る話

渡莉鴉、と書いて「わたりがらす」と読みます。あなたのお時間、少しだけ私の名前にくださると嬉しいです。


私は名字の色でもある「黒」に何とも言えぬ愛着があります。皆さんは黒という色にどんなイメージがあるでしょうか。

恐怖的で威圧的。フォーマルで上品でもありますが同じ無彩色の白やグレーの方が清純で爽やかな印象を受けます。魔女、黒猫、悪の組織…悪いイメージがつきまとうことも多く、特に日本ではカラスはゴミを漁る厄介者という扱いをされることもありますよね。

そんな真っ黒なめんどい鳥を私が大好きな理由を、名前を決めた経緯とワタリガラスという生き物についてからお話したいと思います。


上記でお話した通り、私の本名は黒っぽいのですが、SNSの名前を決める際に「黒を言い換えた言葉にしよう」と思いました。そして検索したところ「raven」という単語に辿り着いたのです。

ravenは形容詞で「漆黒の」という意味があるそうです(中二病だね)。かっこいいやん!と思い初めはRavenと名乗っていましたが、だんだん名詞の意味である「ワタリガラス」に興味を持つようになったのです。

*カラスは「crow」という単語が一般的だと思いますが、小型のカラスを「crow」大型のカラスを「raven」と言うそうで、日本のカラスは小型種が多いです。北海道では渡り鳥である大型種をワタリガラスと言うようになったそうです。(ちなみにカラスはスズメ目カラス科です。びっくりした?私はびっくりした)


カラスは各国の伝承に多く登場する鳥でもあります。

例えば、日本では八咫烏(やたがらす)という鳥が初代天皇である神武天皇の前に現れたとされています。八咫烏は太陽の化身とも言われ、足が三本あるカラスのような見た目をしています。

また、ギリシャ神話でも太陽神アポロンの遣いとして白いカラスが出てきます。夜のイメージが強いカラスですが太陽との関わりも多い生き物なんですね。ただこのカラス、アポロンの恋人が浮気をしていると報告したために怒り狂ったアポロンが黒くして空に晒しものにしたそうです。これが現在のからす座になります。

ノアの方舟が洪水を乗り越えてから、ノアが地上を探して放った鳥も白いカラスとハトだと言われています。ただカラスが飛び立った際はまだ降り立てる状態ではなく、動物の死骸を食べて飢えを凌いでいました。ハトが飛び立った時には地上に降りられるようになっており、カラスが死肉を食べていたことを報告したためノアはカラスを黒くして死骸を食べる穢れた生き物として晒したのだとか…平和の象徴となったハトと比べると随分運が悪いですね。やはり黒と白では白の方が美しいものと考えられていたのかもしれません。

では、神話以外からも少しだけ。

イギリスのロンドン塔は要塞であり監獄としても有名ですが、ここではワタリガラスの飼育が行われています。占い師が「ロンドン塔のカラスが滅びる時イギリスも滅びる」と予言したことから駆除をとり止め保護されていて、アーサー王伝説では王がワタリガラスに変えられたシーンがあることからカラスを殺すことは反逆とも言われるそうです。カラスたちの面倒を見る人はレイヴンマスターと呼ばれるとか。これ単に占い師の趣味だったらどうするんでしょうね…?


さて、様々な伝承があるワタリガラスですが、実際にどんな生き物なのかについてもお話します。

まずカラスはとても賢い生き物です。目の前にない餌を想定した道具を用意するなど先を見据えた行動をすることも可能で、人間なら四歳児以上の知能を持つと言われています。日本では生ゴミへの執念が凄まじいですが、他の鳥よりも頭が良いからこそ人間の生活に目をつけたのかもしれませんね。またハヤブサと同等の飛行能力も持っているそうです。

他にも面白いと思ったのが「一度伴侶を決めると生涯添い遂げる」という話です。オシドリでさえ浮気するのに…(一応オシドリを庇うと彼らはメスが非常に少ないそうです)。

思えば、ハリーポッターにはレイヴンクロウという寮がありますね(直訳すると漆黒のカラスかな?)。心身ともに優れた生き物として勤勉な生徒たちの象徴になっているのだと思うと、名前にしている者としてはちょっと嬉しくなってしまいますね。


結構一気に喋ってしまいましたが、カラスの意外な一面を見ることができたのではないでしょうか?ちょっとイメージ変わったかも!って方がいたら嬉しいです。でもちゃんとゴミ対策はしてくださいね


…そういえば、私がRavenから渡莉鴉になった話はしていませんでしたね。最後にそれだけお話しようと思います。

新たに物書きとして新しいアカウントを作り、心機一転名前も変えてみよう!とまず「渡鴉」という表記に変えたのですが…、

なんか、ちょっと寂しいな、と思ったのです。何かここから工夫できないだろうか、と。

ここで私は、私を構成するもののひとつに「植物」があることを思い出しました。街中に多くの木や花が植えられ、静かで穏やかな私の故郷。その中でたくさんの本を読んで育った私は、ジャスミンの花を「茉莉花」と書くことを知っていました。


……カラスだって、白、似合うよね?


どんなに黒が汚いと思われても、それ故に穢れた生き物と思われても、元の白い姿を想像されていたことは確かなんだから。真っ黒な羽に、真っ白な花。きっと綺麗だよね。


私は「渡鴉」の真ん中をひとつ空けて、花の名前を入れました。

カラスは賢くて、美しい、花も似合う生き物なんだよ。私はそれを知っている人間なんだ。

それが「渡莉鴉」です。

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