【実証運行体験記】周南市の自動運転EVバスに乗ったら、未来が見える?
2024年(令和6年)11月1日から12月20日の間、周南市にはかわいいバスが走っています。
コロンとした丸いボディのバスは時速20キロで走るEVバス!
実はこのバス、自動運転で動いています。
山口県と周南市の連携で行われている「自動運転EVバスの実証運行」に乗車してきました。
周南市自動運転EVバスとは?
周南市自動運転EVバスとは、周南市の中心部を自動運転でEVバスを走らせる社会実証のことです。
とにかくキュートなこのバス、実はフランス製です。
しかも、実証運行中は無料で乗車できるため、市民に大人気!
「レベル2自動運転」の安全性を確かめるための実証運行をしているバスは、すっかり周南市の風景に溶け込んでいます。
交差点でスッと止まるバスを見ると、テクノロジーの力に感動しますよ!
1日7往復の実証運行
自動運転EVバスは、JR徳山駅前から徳山動物園の間を走行しています。
徳山駅前を出発したバスは、15分かけて徳山動物園に到着です。
今回の実証運行は1時間に1本、1日7往復の便数で行われました。
この実証運行は、自動運転の検証のために行われています。
でもそんな「難しいお話」より「楽しい乗り物」が走っているのが市民感覚!
区間内のバス停ならどこでも乗り降りでき無料で乗車できる実証運行は、開始から1ヶ月で延べ2,000人が利用している、ちょっとした人気スポットといえるでしょう。
なぜ周南市で実証運行が行われたの?
山口県のこの取り組みに手を挙げたのが周南市だった……とEVバスの中で事業関係者の方にお話を聞きました。
「1ヶ月半と長期間の実証が行われているのは、周南市が初めてです」
山口県と周南市の本気度が、透けて見える答えでした。
EVバスに乗ってみよう!
それでは、実際にEVバスに乗ってみましょう。
乗車口は少し段差がある
介護職として高齢者の車への移乗を手助けしていたこともある私にとって、公共交通機関の入り口は気になるポイントです。
公共交通機関が必要な人は、車の運転ができない子どもと高齢者というのが私の持論。
高齢者対策は、これからのモビリティに欠かせない視点です。
EVバスの入り口は、少し高さがあるかなと感じました。
「デイサービスを利用する人なら、踏み台が欲しいくらいの高さ」
この高さなら、自力で外出できる人は手すりを使って足を持ち上げることができると思います。
オベレーターの方によると、段差をなくすスロープが出てくるタイプや、乗車時に車高が低くなるバスもあり、この実証運行で使われているEVバスは、スロープが出てくるようになっているそうです。
バリアフリーで広い室内
バスの中に入ると、広い空間が広がっています。
車内はバリアフリーです。
私の横に座られた方は、手押し付き三輪車を持って乗車されました。
足元に三輪車を置いても、車内のフロアはまだゆったりとしています。
「レベル2」はオペレーター付きの自動運転
今回の実証運転は、オペレーターと呼ばれる方が同乗して運行しています。
自動運転の「レベル2」とは、オペレーター付きでの自動運転。
走行中のブレーキは全て自動で制御されていますが、発車時は人の手で操作されています。
「これから人手不足が加速するのに、1台に1人のオペレーターが乗車するスタイルは人的資源を活用できない。将来は、1人が10台くらいのバスを遠隔で監視するようになると思います」
自動運転のためのセンサーやカメラ
自動運転を支えているのが、EVバスの周囲に取り付けられたセンサーです。
人や車が近づくと、センサーが反応してバスは自動で停車します。
草に反応して停車したり、大雨でセンサーが使えないので運休したりすることもあったそうです。
「実際に街の中で自動運転をした時に何が起こるかを調べるのが、実証運行の目的です」
不測の事態にすぐに対応できるように、さまざまな対策が施されていますね。
見えないライン上を走るバス
「自動運転は、道路に走行するルートを表す線の上を走っています」
徳山動物園前で停車している時に、オペレーターの方が実際の軌道を見せてくださいました。
この線の上を走っている時に、障害物を見つけるとEVバスは止まります。
「ルート上のバス停に一般車が停車していると、EVバスはバス停の手前で自動で停車してしまいます。そうなると手動で操作しなければ発車できないのです」
自動運転を本格的に導入することになると、一般ドライバーの意識改革も必要かもしれませんね。
時速20キロの観光?
今回の実証運行でEVバスが走行できる速度は、時速20キロ以下です。
時速20キロといえば、原付で走るくらいの速度。
街の中でトロトロと走るEVバスを見て「のんびり過ぎてイライラしてしまうのでは?」と思っていました。
実際に乗車すると、速度は気になりません。
みゆき通から「緑と文化のプロムナード」という風光明媚なポイントを走行しているため、観光バスに乗った気分です。
「実際に乗車されると、速度は思ったよりも早く感じると思います」
歩くよりは早い!
街の中を走る自動運転モビリティが目指すのは、交通弱者の人の足となること。
速度よりも利便性の方が求められるのだろうと乗車して感じました。
人気の乗り物!自動運転EVバス
私が乗車した日には、周南市文化会館でスキマスイッチのツアーが行われていました。
防府市から来られたご家族や岩国市出身の京都在住者の方など、公演を聞きに来られEVバスにも乗ってみるという方々に出会いました。
お散歩がてら駅前まで来られ、帰宅のためにEVバスに乗った市民の方も!
「やっぱり一度は乗ってみないとね」
走行ルート上の市民の方は、すでに日常的にEVバスを利用している人もおられるようです。
実証運行を重ね、本格的な運行も夢ではなさそうです。
周南市の新しい名所になるかもしれませんね。
【緑と文化のプロムナードの情報】
【周南自動運転実証運行の情報】