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きらきらぼし

「ねえ、夕暮れ時にきらきらと瞬くあの星の名前が何かわからないから教えてほしいの。だから早く帰ってきて。」

こう書くとちょっとロマンチックできゅんとしそうになるけれど……これは家族が私に言った台詞(台詞なのか?)である。年末の大掃除が終わらず帰省準備にもたついていた私を急かすように電話口で呟かれたこの言葉に「何の星だろう?早くしなくちゃ!」と気が急いた。

私は、幼い頃から夜空を眺めるのが好きだった。小学生の時は、週末に町の図書館に併設されているプラネタリウムに頻繁に通っていたし、図書館で星座の神話の本を借りて読んでは夜空に思いをはせるのが好きだった。晴れた日の夜は星座早見盤を片手にお気に入りの星を探した。「なんとか流星群」が襲来するという夜は、部屋の窓を開け、毛布にくるまりながら流れ星が空から零れ落ちてくるのを今か今かと待ち伏せした。そして、煩悩の塊の様な沢山の願い事を呟いたものである。1つ願いを呟いた後、「かける3!!」と叫びながら。……実に賢い子供であった。

そんな姿を知っているから、彼らは星のことなら私に尋ねればよいと思っているのだと思う。正直に告白する。……私が見つけられるのは、オリオン座とカシオペア座だけだ。何度も白状しているのに、聞いちゃいない。私がいるということが、彼らが夜空を見上げ、星を探すきっかけになっているのは確かだ。

もう一つ、私が見つけられる星、いや、惑星がある。それが、彼らが知りたかった「星」、金星だった。昔、理科の教科書に載っていたのを覚えていらっしゃるだろうか?

金星(きんせい、ラテン語: Venus 、英語: Venus )は、太陽系で太陽に近い方から2番目の惑星。また、地球にもっとも近い公転軌道を持つ惑星である。 地球型惑星であり、太陽系内で大きさと平均密度がもっとも地球に似た惑星であるため、「地球の姉妹惑星」と表現されることがある。(Wikipedia先生より
金星は、地球からは太陽の近くに見えるので、夕方か明けの空にあります。夜中に見えることはありません。いちばん明るいときはマイナス4等級にもなり、「宵の明星」、「明けの明星」と呼ばれます。(JAXA HP 金星の概要より

「明けの明星」と「宵の明星」。最近、「宵の明星」が美しい。こちらに向かって瞬いているように見える。「いきている」ように見える。実際、星もいきているに違いないのだけれど、夕方の短い時間帯だけ見えるこの惑星に妙に心惹かれる。あの強い光は、都会の濁った夜空にもよく映えて、月と金星のコントラストにうっとりするんだ。

忙しくて心が落ち着かない方も(そうじゃない方も)、少し手を止めて、窓を開け、そっと冬の夜空を見上げてみてはいかがでしょうか?

お付き合いいただきありがとうございました。

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