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GoProのブランディングの巧みさ

最近、プライベートでGoProを買って使ってみました。私事で恐縮ですが、私はモトクロスというオフロードバイクのレースを幼稚園の息子と一緒にやっておりまして、そのモトクロスで撮影したら面白そうだったので。

ちなみに、カメラはこんな風にヘルメットに装着します。

使ってみて改めて感じるのは、「GoProが優れているのは別にハードウェアの技術ではないな」と。

もはやこの手のハードの技術はコモディティのため、GoPro的なアクションカムをつくるのはどこでもできそうですし、それこそSonyは後発で「Action Cam」というブランドで参入しましたが、手ぶれ補正機能など、きっとハード的にはもっと良いものをつくっていそうです。

http://www.sony.jp/actioncam/

そもそもカメラのコア部品のCCDイメージセンサーは、ソニーが長年技術を蓄積したお家芸であり、いまでもその技術優位性は強いと言われているなど、ざっくり印象論ですが「GoProよりハードの技術的性能としてモノが悪い」ことはちょっと想像しにくいものがあります。

だが、、しかし、、、おそらく市場シェアは先行者であるGoProのほうが圧倒的に強い。
(市場シェアのデータの有無もわからず、エビデンスはありませんが、少なくとも日本のモトクロスのサーキットシーンではSonyのアクションカムはほとんど見かけず、GoProばかりです)

GoProの動きを見ていると、レースやエクストリームスポーツの大会や選手のスポンサードを徹底しており、そこで得た映像素材を音楽と共にかっこよく編集し、定期的に自らYouTubeなどで発信したり、ユーザー自らがGoProの映像を投稿するなど、しっかりとカルチャームーブメントを盛り上げるエコシステムが形成され、そのプラットフォームになっています。つまり、差別化はハード性能のこだわりではない。

GoProのYouTubeチャンネルhttps://www.youtube.com/user/GoProCamera

この「ハードの技術性能なら日本企業が強いはずなのに、市場シェアではもっていかれるのは何かと似てるな?」と思い出すと、ヘッドフォンブランドのスカルキャンディーを思い出します。

http://jp.skullcandy.com/

スカルキャンディーもヒップホップやスケボーのカルチャーに溶け込んでいますし、一時期はGoProのようにモトクロスのレーサーのスポンサードもしていたようです。

このあたりの話は、知っている人には何を今更な話なのは承知なのですが、改めて、ユーザーとして使ってみて、米国のブランドは、そういったエクストリームスポーツカルチャーをうまく使ってブランディングするのがうまい!と実感した次第です。

日本企業はいまでも技術優位性を持っている領域は沢山あります。(iPhoneの部品に日本企業のものが多いのは、そのひとつのエビデンスです)
それだけに、ブランディングなりマーケティングを強化することで、もっと消費者向け最終製品のビジネスがうまくいくものもあるはず。手前味噌ですが、私の会社インサイトフォースも、もっとそこで貢献せねばと改めて思いました。

ちなみにGoProは顧客体験としては素晴らしいのですが、さすがにコモディティ化の波に飲み込まれ、ここ最近は販売価格も株価も低下気味です。競合としても、360度全方位撮影できる、こんな商品も近々出てきます。今後もより多様化~低価格化していけば、アクションカム市場はもっと盛り上がるかもしれませんが、GoProには厳しい戦いが待っているのかもしれません。

http://www.pronews.jp/news/20150911192042.html

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現在のところ、いちユーザーとして、GoProを使っていていいなと感じるのは、かっこいいテンプレが入った編集ソフトの秀逸さ。音楽とカット割りもすべて指定されているのですが、それに沿って映像を入れ替えて編集すれば、素人でも、そこそこな雰囲気にはなります。これは私みたいな編集の素人には嬉しいことです。

ということで、お恥ずかしながら、GoProを使った初日でも、このくらいの雰囲気のムービー撮影と編集はできますよ、というサンプルとして、私が息子を追いかけて撮影したモトクロスのムービーを貼り付けておきます^^;


息子はGoPro入手以来、自分の走りをビデオでチェックし、5歳なりに自分の走りの課題を考え、PDCAサイクルをまわすようになりました(笑)

P.S
GoProのように、ブランドが顧客体験のプラットフォームへと進化していくという考え方の詳細を知りたい方は拙著「プラットフォームブランディング」をご参照ください


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