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タイプによって違う、思考を促進する質問、抑制する質問

各人のスキル、ノウハウ、ウィル、ミッションに即した役割をベースにしたチーム作りと運営の実現には、一人ひとりが発言しやすいフェアなコミュニケーションが生まれる場作り=それを発生させるスキルが必要だと考えている今日この頃。
「聞いたところで、会話が止まる」「腑に落ちないやり取りで、人間関係が変化した」などのコミュニケーション不全にまつわる話を伺うことがありました。

こういったコミュニケーション不全に自ら働きかけるには、主張・質問・傾聴・フィードバックなどの改善のアプローチがあります。
今回は会話の起点ともなる質問にフォーカスし、
「質問に答えてくれない」
「なんで自分の意見を言えないんだろう?」
「的外れな答えしか出てこない」
「質問の意図を理解してもらえない」
「とにかく話しにくい」
などの疑問や不満に対し、相手のタイプを手がかりにして、質問の最適化に向き合う方法を書きます。


良かれと思った質問が、相手を苦しめる

質問者が陥りやすいのが「答えられないということは考えていない証拠だ」「何でわからないんだろう」などと、質問を向けた相手に原因があると思い込むこと

しかし実は、良かれと思って行った質問自体が、相手の思考を抑制するものだったのかもしれません。
それに気づかず、同じ相手に同じような質問を繰り返すと、このような弊害にたどり着きます。

間違った問いを繰り返す弊害
・相手が主体性を持って話せる環境を作れない
・質問の意図以外の情報や印象のきっかけを与えてしまう
 ex)価値観が違う、上から目線、的を得ない、話しにくい、話を聞いてもらえない
・問いがスムーズにいく相手とそうでない相手、というグルーピングが発生し、チーム内でのコミュニケーションの頻度、濃度にムラが生まれる

相手に合わせ、質問を最適化する

質問をするのは相手の考えや持っている情報、そして相手自身のことを知りたいから。
その本来の目的を達成するには、相手の思考を助ける質問が有効です。
では相手にとって、どんな問いかけが、思考や発言の助けになり、また妨げになりえるのでしょうか。

コーチングで使用するタイプ分けを使って、それぞれの特徴を整理し、考えていきましょう。

4つのタイプのそれぞれの特徴

4つのタイプ分けは、コーチングコンバセーションのなかで自分、または相手を客観的に理解するために用いられる指標です。(タイプ分けについての詳細は最後にあります)
以下に、それぞれの特徴、それぞれがもつ根本的欲求/周りに与える印象をまとめました。これらに自分も含めて、思い浮かぶ人を考えてみてください。

コントローラー:人から支持されること、無駄を嫌う。管理・支配する
判断したい/頼れそう

プロモーター:注目されること、影響を与えること、自由を好む
影響を与えたい/自由・楽しそう

アナライザー:事実をもとに客観的視点で分析し、戦略をたて問題解決する
正確でありたい/真面目そう

サポーター:つながりや「和」を重んじ、気配りができる。我慢強い
合意をとりたい/控えめ

イメージはできたでしょうか?

こちらのタイプ分けは、相手をより正確に観察するために開発された指標で、優劣の指標ではなく、また完全に1つのタイプに振り分けられるものではありません。
私はコントローラーとプロモーターが同程度の点数でした。全ての点数が同じという方もいらっしゃるようなので、どんな場面でその傾向が出るかという観点も入れながら、活用することをお勧めします。(決めつけに使うと本末転倒です)

それは相手の思考を促進する質問か、抑制する質問か

これはコーチングを行いながら悩み、自分のコーチに相談しながら発見してきたことですが、人にはそれぞれ、思考を促進させる”得意な質問”と、”苦手な質問”があります。

ここでいう「苦手な質問」とは、初めて考えるチャンスになったとか、新たな視点を獲得するのに有効といったポジティブな側面があるものではなく、相手の思考を抑制し、混乱を招く質問、つまりエネルギーを削ぐ質問のこと。
それぞれのタイプで、見ていきましょう。

コントローラー:
答えやすい質問:目的、原因、結果など因果関係が明らかで直球の質問、自分で判断できるオープンクエスチョン

「その行動の先にある目的は何ですか?」
「その結果、あなたが獲得できるものはなんですか?」
**
苦手な質問:判断に不要な質問、的を得ない(と思える)質問、物事の主導権が質問者にあるような質問**
「あなたは〇〇が優れているので、〇〇をやってみるのはどうでしょうか?」
「あなたの行動は、相手にとってどのように映ったでしょうか?」

プロモーター:
答えやすい質問:未来に関する質問、アイディアを広げるような、影響力を広げるような質問

「その状況を色で例えると、どんな色ですか?」
「そのアイディアはどこから出てきたのですか?」
「それが実現すると他にどんなことが叶えられますか?」

苦手な質問:影響力を否定する、決めつけが前提にあるなど自由度を下げるような質問
「過去の実績からいうと〇〇が妥当だと思うのですが?」
「これは意味がないように思うのですが、いかがでしょうか?」

アナライザー:
答えやすい質問:正しく答えられる、分析を助ける質問。未来より現在、過去に関する質問の方が答えやすい

「それはどういった場合に起きやすいですか?」
「その結果に、影響したものは何だと思いますか?」

苦手な質問:前提があやふやで、客観的事実にたどり着かない、正しさがなくあやふやな質問
「例えば明日、あなたが別の立場になっていたらどう感じますか?」
「そういった状況を色で例えると、どんな色ですか?」

サポーター:
答えやすい質問:行動に関する質問、主語を本人にしない質問、現在の質問

「その行動の背景には何があったのですか?」
「何がそう思わせたのですか?」

苦手な質問:自分の意思を明確に示さなければならない、自分が提案したり要望する形になる質問
「あなたが本当に成し遂げたいことは何ですか?」
「リスクを取っても挑戦したいと思うことは何ですか?」

自分の答えやすい質問が、相手の答えやすい質問ではない**

支配、管理、判断したいコントローラータイプに対し、「あなたは〇〇が優れているので、〇〇をやってみるのはどうでしょうか?」というのは、彼らの判断の機会を奪う質問になりえますし、判断されたくない、主導権を握りたい彼らには、聞き流されることもあるでしょう。
また、合意をとりたいサポータータイプに「あなたが本当に成し遂げたいことは何ですか?」と聞かれると、固まってしまうことも珍しくありません。質問者が本当に彼らの真意を聞きたくても、彼らはその質問に「今やっていることが正しくないのかもしれない」と感じ、何が求められるのかを探り始めるかもしれません。

同じタイプの場合、質問設計による摩擦は起きにくいですが、コントローラーとサポーター、アナライザーとプロモーターなど、特性が違う場合、自分にとって答えやすい質問が、相手にとって答えやすい質問となることや、自分にとってわかりやすい表現がそのまま相手にとってわかりやすい表現であることは少ないです。
それぞれが持つ本質的な欲求による思考の特性が違うことを前提に、お互いに補い合いながら、その差異を創造的に生かすことを意識しましょう。

質問の仕方が9割?

相手が答えにつまる質問には、相手の視野を広げるbroaden their horizonsのに重要な質問ももちろんあります。
相手が答えにくそうにしているからといって、すぐにそれをやめるのではなく、相手を客観的にかつ丁寧に観察したうえで、質問を設計しましょう。

質問を重ねる時は、上のような相手が苦手な質問の仕方を繰り返すことを避け相手のタイプや状況から、相手が答えやすい(思考と言葉が連動しやすく、エネルギーが上がる、質問者に信頼が高まる)質問から会話を始めることをおすすめします。伝え方が9割という本がベストセラーになりましたが、質問の仕方が9割とも、言えるかもしれません!

タイプ分けの参考**

タイプ分けについては、こちらのサイトがとても詳しく書かれていました。

タイプ分けが重要な理由は、こちらの記事でも言及しています

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