Kindleで読み上げ読書② 『日本の路地を旅する』

このシリーズでは、和久井がiPhoneで読み上げさせて読んだ本のご紹介をしていきます。

仕事で、部落問題について少し学んだので、興味が湧いて読んでみた本です。

路地とは、部落の町のこと。筆者の上原善広さんは、大坂の更池という地域出身の方です。

筆者が自身の体験を元に、日本各地にある路地をまわり、その歴史を調べてルポしていきます。

貧困と直接結びついていない場合もあることや、路地の中では差別を感じることがなく、団結力があることなど、知らなかったことがたくさんありました。

この本は、実際に路地出身の筆者が書いているところが非常に好感度が高いです。当事者だからこそ、たくさんの人から話を聞くことができたのだろうと想像します。

江戸東京博物館ができたころ、「同和コーナー」という一角がありました。実際には見ていないのですが、当時私は、博物館の受付嬢を派遣する業務をしていたため、企画書にそのような記載が合ったことをよく覚えています。耳で「どうわコーナー」と聞いて、兎さんとか亀さんが出てくるのかなとかのんきに思っていたのですが、子ども向けのお話「童話」ではなく、差別問題の同和のほうでした。無知にも程がある。まあそんなので印象として強く記憶に残っています。
いつの間にかそのコーナーはなくなっているようなので、展示として知らしめる必要がなくなったのか、差別を増長させると判断したのか、詳細は分かりません。

性にしろ障害にしろ、すべての差別の根源は同じところにあり、払拭していくには長い時間がかかります。
差別の歴史は、負の遺産です。
決して持ち越してはいけないと思います。
ですが、歴史を知ることは、未来を予測することにもつながり、賢く生きる知恵になります。

作中に出てくる「もらい子殺し事件」、調べてみたら、当時はこうした事件が各地であったようです。これは部落だけの問題ではなく、すべての出来事は、社会問題と密接に関係しているのだなと感じました。

自動読み上げは固有名詞の読解に弱いので、ところどころ厳しいのですが、全体として路地がどんなところなのかといった柔らかな理解には十分だと思います。あと、えたを「わいた」って読むのやめて。「ひにん」も気分によっては「ひひと」とか読むし。

なお、この記事にいただいた支援は、社会福祉法人東京ヘレン・ケラー協会さまにご寄付の予定です。


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