夢は願えば叶う。食い下がって掴んだ最高の仕事

こんにちは、ブラインドライターズの西井一博です。私がブラインドライターズを知ったきっかけは、Twitterでした。

私はあんまマッサージ指圧鍼灸師の仕事をしています。仕事の都合上、どうしても暇な時間ができるので、頻繁にTwitterをチェックしていたところ「ブラインドライターズは一緒に仕事ができるメンバーを募集しています」という投稿を発見したのです。

視覚障害者の職業と言えば、お決まりのものだった

今でこそ視覚障害者もいろいろな仕事をしておられますが、私のような昭和生まれの視覚障害者の皆さんは、私と同じ仕事をしている方が8割ぐらいではないかなと思います。

今はこの仕事は嫌いではないですが、実は私は若いころ、あんまとか鍼灸師なんかにはなりたくないと思いまして、高校を卒業してすぐ、理療課(あんまマッサージ指圧、鍼灸を勉強する専門課程のこと)には行かず、少し遠回りにはなるけれど、情報処理の勉強を2年間やりました。

しかし情報処理で就職を探しましたが、世の中はそれほど甘くはなかった。自分の実力不足を思い知らされました。学校で情報処理を習ったけれど、点字で受けられる情報処理の資格がほとんどなく、資格を持っていないこともあって面接でもうまく自分を売り込むことができなませんでした。なにもせずただ職を探し続けるのは無理と考え、理療課に行き、今の仕事をしているというわけです。

ですが、ずっとパソコンを使って仕事をしたいという夢は持ち続けていました。その夢を叶えてくれたのが、ブラインドライターズでした。

慎重に下調べ、そして思いっきり強気になった

ところが、なぜか「早速Twitterを見てメッセージを送ろうかな」とはなりませんでした。まずはブラインドライターとはどのような仕事なんだろうと気になり、ブラインドライターズのホームページを見たり、ブラインドライターズのメンバーの方のTwitterをフォローしたり、松田昌美さんの過去に出演したテレビ番組などを見て、いろいろ情報を集めました。

そして、これならたぶん私でもできるんじゃないかなという自信を持つことができたので、ブラインドライターズのTwitterに「仕事をしてみたいのですが」的なDMを送ったのです。
もちろんそこで、すぐにお仕事をさせていただくというようなことにはならず、和久井代表から、「文字起こしをするための訓練を受けたことがありますか?」と聞かれました。

当然ながら受けたことはないので、「ありません」と言うと、「それならブラインドライターズでは、細かい指導などができないので、訓練を受けてきてください」と、なんとなく半分断られるようなお返事をいただきました。

訓練している時間は仕事の都合上絶対に取ることはできないので、あきらめようかと考えました。どちらかというと、あきらめは早いほうなので、まあいっかといつもならあきらめていたのですが、なんとなく悔しいというか、絶対できるという自信も根拠もあったんです。

天も味方した、ブラインドライターズへの道

なので訓練する時間がないこと、そして「訓練せずになにか試す方法はありませんか?」と、しつこく和久井代表に迫ってみました。
すると、「起こしはとても手間のかかる作業ですし、指導もできないし、できれば訓練を受けてから来てほしいですが、それを踏まえたうえで、トライアルをやってみますか? 上がったものを見て、できそうならやってみますか?」と、言っていただけたので、二つ返事でトライアルを受けさせていただくことにしました。それが2017年8月7日のことでした。

待っても待ってもなかなかトライアルも和久井代表からの連絡も来ず、やっぱダメなのかなと思ったころチャンスは訪れました。2017年8月22日です。

そこで初めての文字起こしを体験しました。70分の音源だったのを覚えています。しかもその日は猛暑で、患者さんも全然来ませんでした。天も私にブラインドライターズに入りなさいと言っていたのです(笑)。

何もかもが初めてで、これを1日でやるのかと驚きながら、ブラインドライターズの人たちはすごいなと思いながら、70分の音源を昼にいただき、その日の夜になんとかかんとか提出することができました。今から考えるとおかしな話ですが、なぜか1日でやらないとダメなんだろうなと勝手に思い込んでいました。

提出が終わり、和久井代表にも、「むしろ早くてびっくりしています。大変丁寧に起こしていただいてて、すぐ戦力になってもらえそうです」と、言っていただき、やっぱりあのときあきらめずに食い下がってよかったと思いました。

自分の可能性や限界は、自分で決める

何かにチャレンジするとき、いけるかいけないかは誰かが決めるのではなく、自分が決めるのだとそのとき改めて思いました。
そしてもうすぐ4年が経過しそうな今でもあのときあきらめずチャレンジしてよかったと心から思っています。治療院の仕事がないときも、いつもブラインドライターズのお仕事に救われています。

今のコロナの時代で、テレワークをしているかたも多いと思いますが、ブラインドライターズはもっともっと前からテレワークの最先端を行っていました。ですので、出勤時間で自分の貴重な時間を取られることもありません。私のようにブラインドライターを副業にすることもできます。慣れるまでは少し大変ですが、自分の好きな時間に仕事ができて、クライアントさんの音源から学ぶこともたくさんあります。

仕事ですので、たまには辛いこともありますが、原稿が出来上がった時の達成感は本当に最高です。

これからブラインドライターズで、文字起こしだけではなく、私たちでもできるいろんな仕事を、どんどんやっていきたいなと思っています。そして、視覚障害者でもいろんな仕事ができるという未来を切り開けたらなと思うのです。

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