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オリックス吉田正尚選手のチャリティー活動勉強会レポート

8月22日、NPO法人ベースボール・レジェンド・ファウンデーション(以下BLF)のインターン生が中心となり「開発途上国の教育支援について考える〜オリックス・バファローズ吉田正尚選手が行うチャリティ活動の意義とは〜」をオンライン上で開催しました。認定NPO法人国境なき子どもたち(以下KnK)の松浦ちはるさんをお招きし、講義を担当していただきました。

吉田選手は、公式戦でホームランを1本打つごとに10万円をKnKに寄付し、ファン参加型で開発途上国の子どもたちへの支援を行っています。2019年シーズンから活動を開始し、2020年シーズンはホームラン14本分の寄付、新型コロナウイルス感染症対策のための寄付、ファンの方々からの寄付を合わせて2,442,320円を寄付しています。

今回の勉強会は、吉田選手が支援を行う意義について重きを置き、「開発途上国の子どもたちが抱える課題について知っていただく」ことが目的です。

KnKは日本で生まれた団体で、1997年に設立されました。「国境を越えてすべての子どもに教育と友情を」をビジョンに据え、以下のような社会を目指しています。

・子ども一人ひとりが教育を受け、夢を描ける社会
・子ども一人ひとりが尊重され、安心して健やかに成長できる社会
・子どもたちが互いの違いを認め合い、友情を育み、共に成長できる社会

そして、これらを実現するために以下の3つを果たすべき使命として掲げています。

・教育や職業訓練、自己表現の機会を提供し、子どもたちの将来の選択肢をひろげ、その健全な社会参加を後押しします。
・貧困や紛争、災害で困難な状況にある子どもたちに寄り添い、その成長過程にふさわしい生活を送れるよう手助けします。
・日本の子どもたちが、世界の子どもたちの抱える現状を知り、多様な価値観を学び、互いに支え合える次世代を育成します。

KnKが現在活動を行っているのは、日本を含む7カ国。過去には、この他8カ国でも活動し、これまでに10万人以上の子どもたちに教育の機会を提供してきました。

活動国

吉田選手は、カンボジア・フィリピン・バングラデシュの3国を支援。この3国では、ストリートチルドレンや児童労働、青少年の法の抵触などの問題が起こっています。これらは貧しさゆえに起こる問題です。

KnKは、カンボジアで「若者の家」と呼ばれる自立支援施設の運営を行っています。広い敷地の中で20人近くの子どもたち(主に10歳代後半の男女)が共同生活をする場所です。ここには、先ほど挙げた問題に加え、親の虐待を受けた子どもも入所しているといいます。子どもたちには、教育の機会を提供。年齢にかかわらず、その子に合った教育が受けられる仕組みになっています。

フィリピンでも、「若者の家」が運営されています。カンボジアよりも低年齢の子どもが多く、男子のみが入居しています。提供する内容はカンボジアと同じです。

最貧困地区では、「チルドレンセンター」も運営。「若者の家」と異なり、子どもたちが通う施設となっています。ここではフィリピンで認められているノンフォーマル教育(代替教育の機会)を提供。昨年度は、新型コロナウイルスの影響でほとんど運営できなかったそうです。

バングラデシュでは、「ほほえみドロップインセンター」を運営。ストリートチルドレンが昼間に利用できる空間を提供しています。首都ダッカで暮らしているストリートチルドレンは約30万人と言われ、これは東京都内の中学生の数に相当します。ここでは、食事やシャワーの提供を行い、1日40人ほどが利用しているそうです。

KnKは自らの役割を以下の4つにまとめています。

・アウトリーチ(問題の発見、予防)
・子ども、青少年の保護
・教育、ライフスキルの提供
・カウンセリングを含むリカバリーのサポート

こうして、困難な状況にいる子どもたちに気づき、社会に出ていくまでの成長をサポートしているのです。

いま、私たちにできることは「さまざまな形で知る、見る、関心を持つこと。人に伝えること。吉田選手のホームランチャレンジにファンとして参加すること」だと松浦さんはいいます(ファンの方も吉田選手の支援活動に下記のリンクから参加することができます)。

開発途上国に蔓延る負の連鎖を断ち切るために、KnKは活動を続けていきます。

負の連鎖

勉強会を主催したBLFインターン生に感想を聞くと、「参加者が楽しんで参加してくれたことが良かった」「自分自身も子どもの貧困を改めて考える機会となった」という答えが返ってきました。参加者からは「取り組みの内容がわかった」「とても勉強になった」という喜びの声が聞かれました。

海外に行くことが難しい今、こうしたイベントに参加することで現状を理解することができるのだと感じました。日本国内の問題はもちろんのこと、海外の問題にも目を向けてみようと思います。

レポート執筆:BLFインターン内山陽貴(法政大学3年)

※カバー写真は、勉強会参加者に向けた吉田選手のビデオメッセージのスクリーンショットです(映像協力:オリックス・バファローズ)


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