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最高にラブリーチャーミングな彼

未だかつて、こんなにラブリーでチャーミングな人を他に知らない。

私だけのものにしたい気持ちもあったけど、せっかくの幸せな気分。

世界にちょっとおすそ分けしたいと思う。


気づけば近くにいてくれた

「この距離に気づくかな」

そう考えながら一人ニヤニヤしていたわたしは、多分かなり気持ち悪い。日本酒と焼き鳥を楽しむ居酒屋のカウンター。こんな場所でニヤニヤするのは場違いと分かっていながら、抑えることができない程に心は浮ついていた。


思い返せば、彼はいつも違和感のない距離で近くにいる。2人でライブを見に行ったり、初詣に行ったり。そこまで親しいというわけじゃないのに、気づくと2人で出かけていた。どちらかというと、わたしが近づいているだけかもしれないけど。

「なぜか落ち着く」

彼への気持ちはずっとそうだった。ドキドキするわけでもなく、恋とも呼び難かった。いてくれると安心するし、いないと少し寂しい。

「刺激=恋愛」

ピリっとひりつくような刺激ばかりを求めていた学生時代。彼はマシュマロのような、はんぺんのような。ふわっとして、表明が滑らかに綺麗で、穏やかさが漂う雰囲気。当時は、その軽やかで口当たり優しい魅力に気づけなかったのだ。


彼と私のもどかしい距離感

「6年振りの再開」

辛口にはとうの前に疲れていた。そういえば、幼い頃は甘々な日々を求めていた気がするのに。そんな時に彼が現れた。何も変わらない、あの頃のまま。背伸びすることなく、等身大のままで隣にいる。ああ、やっぱり落ち着く。急にお洒落なレストランとかじゃなく、ちょっとお高いステーキでもなく、焼き鳥が美味しいこじんまりした居酒屋に一緒に行ける。その関係性がいい。

「カウンターなのに遠い」

居酒屋のカウンターの良さは、ちょうどいい窮屈さだ。酢モツやビールやエイヒレが所狭しと並ぶ様子や、肩や足がぶつかりそうな距離。気兼ねない関係性で行く居酒屋だから、カウンターを選ぶし窮屈さすら楽しむ。

だけどこの日は何故か遠い。客入りがそんなに多くないからか、カウンターをゆっくり使えてしまう。そうなると、彼はちょうどいい距離を保ってしまう。それが彼の紳士的で、素敵なところ。だけど今日はそうじゃない。そのちょうどいい距離がもどかしい。

「狭くない?」

トイレから戻ってきた彼は、優しいからそう聞く。私は何食わぬ顔で問題ないと答え、続きの時間を楽しむ。彼は気づいていない。

トイレに立った隙に、彼の椅子を私へ近づけたことに。

気づいてないけど、触れてしまいそうな肩と肩にきっとドキドキしている。その様子が最高にラブリーでチャーミングだ。もうこの瞬間、マシュマロやはんぺんに埋もれたいと思った。柔らかくて優しくて、温かい雰囲気にいつまでも包まれていたいと思った。


ドッキリなわけがない

その後すぐに付き合い始めたわけだけど、一筋縄ではいかない。

「ドッキリじゃないよね?」

彼は1か月もの間、そう疑っていた。

28歳にもなるいい大人が、ドッキリで交際なんてしない。頭では分かっていながら、何度も聞いてくる。長年の恋が実ったことについて、すぐに現実を受け入れられなかったらしい。そんな様子がさらにチャーミングに思える。

挙句の果てに、共通の友人にまで確かめ始めた。友人への交際報告ともなるため少し恥ずかしい。だけど、醒めない夢として現実化させる確認の行為がなんとも愛おしくてたまらなくなった。

本当かは分からないけど、約10年間も私のことを思ってくれていたらしい。

その思いの深さに免じて、疑ったり確認したり、好きにさせといてあげた。


ラブリーチャーミングは私を照らす

2年間の交際期間を経て私は彼と結婚した。

私は付き合ってすぐに彼と結婚したいと思った。彼はというと、本当かは分からないけど、結婚するなら私だと以前から思っていたらしい。

たまに嫉妬しそうなほど、彼はまぶしい。

人の悪口を言わず、すごいと思ったことに対して素直に褒めることができる。自分の意見を持っていて、人に流されない。ふわふわしたマシュマロに見えていたけど、熱くて固い芯が中には通っているようだった。

どんな時も私を全力で肯定して認めてくれる。どこから湧き上がるのか、と不思議になる程前向きさも欠かさない。いつも見上げればそこにある、太陽のようだった。

彼の良さを知る度に、不釣り合いな気がして不安になったりした。でも、そんな陰りを見せる私を照らしてくれるのは、やっぱり彼。どこよりも居心地が良くて、たくさん笑えて、どんな時間も楽しくてしょうがない。

「これから先何があっても、最大限努力して彼の側にいよう」

たまに心の中で唱えるおまじない。誰にでもなく、自分自身に愛を貫くことを誓ったのだった。


愛を溢れさせて生きていく

結婚して1年5カ月が経った。

学生の頃感じていた「何故か落ち着く」も、再会して実感した「この雰囲気にいつまでも包まれていたい」もずっと継続している。そういえば喧嘩は一度もしていない。

寿命が80歳だとして、一緒に生活する年月が50年しかないということに絶望すら感じる。それぐらい、私は彼が大好きだ。

いつまでが新婚なのかは分からないけど、今も毎日が新鮮で楽しくてしょうがない。私を尊重して、協力しながら生活してくれる彼に感謝でいっぱいになる。目が覚めて隣にある彼の寝顔に毎朝幸福を感じる。それぐらい、彼が愛おしい。

初めから終わりまで惚気でいっぱいになった文章。ここまで読んでくれた方が胃もたれを起こさないかちょっと心配。だけど私は、これからも溢れる愛をそのままに生きていきたい。尽きることはないから。

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