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白黒の世界 携帯小説9

第九話 水晶

(全12話)

登場人物
森 龍牙(もり りゅうが):物語の主人公
木原 京(きはら けい):龍牙の親友
鳥海 紅音(とりうみ あかね):龍牙の愛した人
天の声

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天の声「だいぶ安定して来たわね

あなたのその力」


俺は自然の力を使いこなせるようになっていた。


鳥が教えてくれる


紅音ちゃんがここにくると。


風が教えてくれるんだ。


彼女が成長していることを


天の声「あとあなたがこの力を使うことを許されているのは2ヶ月だけ。どう使うかであなたの輪廻転生が決まるわ。早く成仏して」


「あぁ、わかってる。俺は使命を果たすまでだ」


➖➖➖➖➖

京「紅音ちゃん!なんだか大人っぽくなったなぁ、今度こそ元気か?」


紅音「うわぁ久しぶりです!元気ですよ!木原店長お腹おっきくなりましたね!お店は大丈夫ですか?」


京「おう!妊娠何ヶ月目だったかなぁ、、、って何言わせるんだよ!笑 店は任しとけって、俺にかかればちょろいもんよ がはは」


相変わらずうるさい奴だ


紅音「わたし水くんできますね、先にお墓行っといてください」


京「うむ」


私はどんな顔でお墓の前に立てばいいんだろうな。。。


森さんならきっと笑顔でいろよって言いそう


ちゃんと笑わな

今日は泣かないって決めてるんよ


【【そうだな】】


「ん?」


「誰かいるんですか?木原店長?」


天の声「あなた、すごいわね話すことはふつうできないのよ!」


龍牙「話せてないさ、風が俺の声を届けてくれただけさ」


京「おーい紅音ちゃんひとりで大丈夫か?」


紅音「はい!今行きます」


京「龍牙の野郎、全然花の世話とかしないのにさ、見るのは好きだったみたいでさ、昔一緒に桜見に行ったりしたんだよ」


紅音「森さんそういうの、花の命は短いから美しいんだ!とかいいそうですもんね」


京「あいつはあんな顔してるけどロマンチストだったからなぁ、気持ち悪いわぁ 笑」


龍牙「なぁ、雷とか落としていいか?」


天の声「ダメに決まってるでしょ!」


京「そういや紅音ちゃんはスタイリストになれたのかい?」


紅音「はい!おかげさまでこの日記のおかげです!」


龍牙「あー!あの日記は!!
ないないって探してたんだよ!」


天の声「あるわけないじゃない、あんた死んでるのよ!頭の輪っか見て見なさい」


龍牙「わかってるけど、日記見られるって恥ずかしいんだぞ!あんたにはわからないだろ?」

天の声「あーうるさいわねぇ、あなたうまれかわるなら犬がいいわね、わんわん吠えてなさい」


紅音「あっなんかいまろうそくの火がかなり揺れませんでした?」


京「久々会いに来て喜んでくれてるんじゃないか?」


紅音「私、森さんの髪の毛を切ることはできませんでしたが、やっとスタイリストになれてこれからたくさんの人を幸せにします!体も少し強くなりましたよ。だから私のことこれからも守ってくださいね」


龍牙「なぁ天の声さんよ!俺ちょっくら抜け出して来ていいか?使命を果たしに行く時が来たみたいなんだよ。」


天の声「あなたの い ち ど き り の 人生なんだからあなたの好きにしなさい」


龍牙はパワーストーンに宿る力を身につけていた。

残り2ヶ月彼女に降りかかる災難も

今の彼には見えているようだった。


そして彼がどのような選択をするのかも天の声にはお見通しだった。


天の声「あなたにまた会える日を楽しみに待ってるわね!さようなら」

龍牙「じゃあな!また来るわ!」


そう言い残して彼は初めて
白黒以外で色の力を使った


その色は「ブルーラベンダー」


それは彼が生前、
紅音にオーダーされた髪色だったそうだ

彼が使った色の力は
紅音がスタイリストデビュー祝いにと

自分へのご褒美に購入したネックレスの
ペンダントトップを染めた

そして、水晶は、アメジストへと変化した。


京「あれ?紅音ちゃん、そんな色のネックレスつけてたっけ?」


紅音「え?なんでなん?めっちゃかわいいねんけど」


京「もしかしたらあいつがいるんかもなー死してもなお、紅音ちゃん守ろうとしてるんじゃない?」


龍牙【【たまにはいいこというな】】


京「ん?なんか言った?」

紅音「いえ、何も。。。」

京「おかしいなぁ、そろそろ帰ろうか?」

紅音「私もう少しここにいてもいいですか?」


京「わかった!じゃ先に車に戻ってるね!」


紅音「すいません!」


紅音は心で会話をした。

森さん。ありがとうございました。
なんて言ったらいいのか、
いまだにわかりません。
どんな顔してお墓に立てばいいのかも
わかりませんでした。

でもきっと森さんなら
ずっと笑ってろって言いそうだし
何をやっても言っても許してくれそうだし
きっとあの時は
甘えすぎてたから
しっかりと向き合えなかったんだと思います
いなくなって、
こんなに思ってくれてた人は
いないなと思います。

付き合えなくてすみませんでした。
愛してくれてありがとうございました。

わたしはわたしの道を歩いてます


見守っていてください。


一瞬だけアメジストが輝いた気がした

私に何かを伝えたかったのか
私の見間違えか

水晶は大好きなブルーラベンダー色へ
完全に変化していた。

私が初めて森さんに染めてもらった色

だから私には森さんが近くにいるんだと

確信があった。

続く

次回予告
スタイリストとして活躍する紅音の前に現れたクレーマー、挫けそうなときに思い出す龍牙の背中。強く生きるそう思えた。紅音の美容師人生はこれからだ

次回 挫折

https://note.mu/blancetnoir/n/n82d2de73172c

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1話 【希望】

https://note.mu/blancetnoir/n/ncda230a65bf7

2話【焦心】

https://note.mu/blancetnoir/n/n076055351c34

3話【告白】

https://note.mu/blancetnoir/n/ncbabae58457c

4話【迷惑】

https://note.mu/blancetnoir/n/nf19e9ec47333

5話【喪失】

https://note.mu/blancetnoir/n/n9746bfc3f368

6話【運命】

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7話【黄泉】

https://note.mu/blancetnoir/n/na761cf9a5c05

8話【言霊】

https://note.mu/blancetnoir/n/nf190b1e680b1

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