見出し画像

「今日は1日ピアソラ三昧」

皆さまご無沙汰です。アブダビ経由でミラノに戻り、隔離も終えてミラノでの生活ペースを取り戻しつつあるミラノ特派員黒田です。長らくヴィラ=ロボス研究家の市村由布子さんの文章に頼りきりだった黒鳥ジャーナルでしたが、今日はミラノ特派員クロアキが、生誕100年で盛り上がっているアストル・ピアソラのラジオ番組情報をシェア!

5月4日にNHKラジオで『今日は一日”ピアソラ三昧”』という9時間番組がありました。ピアソラとタンゴについてバンドネオンの小松亮太氏とゲストが語りまくり、次から次へと貴重な音源を聴きまくる、壮絶といっていいような番組でした。小松亮太氏と言えば新刊「タンゴの真実」を出したばかり。ピアソラ生誕100年を迎え、なんちゃってピアソラが溢れかえる昨今、亮太氏の声は文面からも強烈に切実に響いてきます。

私はミラノから「ピアソラ三昧」をじっくり聞く気満々でNHKラジオ専用の「らじる★らじる」アプリをダウンロードしたのですが、国外非対応ということでオンタイムでは聴けず、指をくわえていました。ところが数名のタンゴファン音楽ファン、知人が「アキさんの演奏が今かかったよ」なんて連絡をくれました。藤沢嵐子さん、美輪明宏さんの歌に続いて、ピアソラの珍しいクラシック修行時代の作品ということで、私のCD「ピアノ組曲」も流れたのだそうです。

NHKラジオ「らじる★らじる 聴き逃し」で5月7日(金)正午から1週間の配信ということなので↓↓こちら↓↓でまだ数日間聴けます!本当に皆さん聴いたほうがいいですよ。丸1日つぶれますけど・・・・💦


企画・選曲の斎藤充正さんによる詳細な曲目リストはこちらでご覧になれます!

海外からは聴けないと思っていたら、聴ける方法をご親切な足長おじさまが教えてくださって、全放送を聴くことが出来ました。いやはや凄い番組。凄い男。改めてこの音楽の世界に、小松亮太という人が産まれてきてくれて神様ピアソラ仏様有難うと思ったのでした。彼の著書に、タンゴ音楽家同士の家庭に生まれた音楽家はこの世に自分しかいない、という言葉がありましたが、その人がタンゴを継いでくれて私たちに教えてくれて本書いてくれてラジオで語り倒して啓蒙してくれている。ピアソラの前の時代そして同時代のタンゴを知らないで、聴いたこともなくてピアソラを弾く人ばかりがこのまま溢れてしまったら、ピアソラの音楽は死んでしまうのだから。

「自分たちの作品、自分たちのアレンジでステージを締められるようにならければだめだね。いつまでもピアソラさんに頼ってばかりいられませんからね」と一仕事終わった後に亮太君に言われたことがあるのです。ピアソラさんのそのまた先を行かなければならない、その使命を持って生まれた男。

そんな小松亮太氏との共演し、私が一生忘れられない音楽体験をした録音があります。ピアソラの元夫人アメリータ・バルタールを迎えてのピアソラのオペラのライブ録音です。既にタンゴの歴史の1ページとなっているアルバム。是非お聴きいただきたいです!

ところでピアソラのクラシックピアノ作品の録音をまとめて聴けるCDを二枚も録音したのは世界でもたぶん私だけ。私が20代の終わりの頃のこと。当時ピアソラブームに乗っかるおしゃれなピアノアレンジ集でのデビューを想像していたディレクターに、ブームだからこそしれっとピアソラのクラシック作品をまとめて録りたい!歴史的に意義がある!と談判したのでした。斉藤充正氏の名著「闘うタンゴ」が出て小松亮太君がメジャーデビューした直後でした。
ピアソラ生誕100年でどんなにクラシック界が盛り上がってもいつまでも演奏されないだろうピアソラのクラシックピアノ作品。今年後半にとある企画でまたしれっと弾くつもりでいます。タンゴを生かし進化させ続けるミュージシャンとリスナーがいるからこそ、ニヤリとしながら弾けるというもの。ピアソラのクラシック習作の中に、どうして匂ってしまう大衆性が聴こえるし、この音楽家の不器用さも見えます。ピアソラはある意味天才的だけれども、器用ではなかった。ピアソラに取りつかれた20代のクロアキが、その魅力を解明すべく、バンドネオンをさらったりタンゴバンドに出入りしたりしながら、傍らでしこしことピアソラの伝記に音を添えるつもりで録音したアルバムです。

うわっ、怖っ。貼り付けてみたら怖いっすね。。。すみません。当時邦人クラシック界がバブルだったのでデザインとかカメラマンさんとかメイクさんが超一流で。こういう作品になったのです💦

私はデビューからピアソラ作品集を続けて2枚だしていますが、この1枚目にいれた「バルシシモ」や「3つの前奏曲」からは、少しタンゴのエッセンスも感じることができます。どちらもピアノ独奏用にピアソラが書いた曲で楽譜も出版されています。タンゴ未経験者が本人じゃない人たちが編曲した、ミスプリだらけのなんちゃってピアソラを弾くより、こういうピアノ独奏曲を弾くほうがお洒落で知的な気がするんだけどどうでしょう??

「ピアソラ三昧」のおかげで私も何だか興奮して書きまくってしまいましたが、こちらの小松亮太インタビューも凄いんですよ。まるで亮太君の声がそのまま聴こえてくるような記事です。

まだまだ放っておいたら書き続けてしまいそうですが、もうすぐ日が昇ってきてしまいそうなのでこれにて!

ミラノよりクロアキでした・・・・

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?