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先生と保護者

心に残っている場面は、対子どもだけではなく。



仕事柄、年度の終わりに、「ありがとう」の言葉をもらうことの多い仕事。


学年の終わりに、異動の際に、保護者の方々から寄せ書きやお手紙をもらうことが多々あった。


もちろん、保育観が保育者それぞれに違うように、教育観が保護者それぞれに違う中、私の保育に対する保護者の感じ方や受け取り方もそれぞれ違う。

だから、いろんな意味の"ありがとう"があったと思う。




「娘の“こだわり”を温かく受け止めてくださり、ありがとうございました。」

着るものへのこだわりを個人懇談で気にしていたお母さん。保育での着替えの時の様子を、伝えるようにしていたこと、思い出した。



「進級の際の不安定な時期、"乗り越えたことのある子は強くなる"と言ってくださり、今では自信がついたように感じます。」

年上の保護者の方に向かって、偉そうなことを言ったと恥ずかしくなったけれど(笑)私の本心から出た言葉であり、願いであり、この時この子と一緒に乗り越えようと思っていたことを思い出した。



「兄弟が生まれたとき、初めての発表会にも出れず、進級後も泣いてとても心配しました。けれど、年中の発表会の姿を見て、その後"たくましく、笑顔になりましたね。"と先生に言ってもらえたとき、とても嬉しかったです。」

あまり口数の多くない保護者の方が、修了式でこっそりくれたお手紙。これを見て、この保護者の方が年中の発表会で涙していたことを思い出しました。あの涙には、こんな思いが詰まっていたのだと。



保護者の方々の思いや悩み、そして私の発した言葉、その重みを、保護者の方々からの言葉で感じることがある。



担任と保護者の方々。立場が違うから、子どもへの思いや感じることも違う。

よくクラスだよりに書いていた、「一緒に子どもの成長を見守り支えさせていただきたい」と。私の頭の中のイメージは、子どもを囲んでスクラムを組む感じ(笑)


保護者の方が任せてくださるから、この仕事ができる。そして、その気持ちがあるから、保護者の方々とも本気で向き合っていたいと思う。


保護者との関係で1つ決めていたことは、「絶対に嘘はつかない」ということ。

様々な保護者の方がいる。だから、もちろん、伝え方を人によって変えることはある。よく言われる「1個伝えたいこと(ネガティブに捉えてしまいそうなこと)があったら、9個良いことを伝える。」ってのも、そのひとつ。保育者なら、きっとほとんどの人がしてるんだと思う。

「嘘をつかない」「濁したり隠したりしない」これ、大事で当たり前のことのようだけど、意外とうっすらしちゃうことってある。ウワベってやつかな。でも、しないように。

子どもに信じてほしいのと同じように、保護者の方々にも信じてほしいから。



あと、先生と保護者、という関係性を飛び越えない。「信頼」は「仲良し」とは違うから。あくまで、子どもの先生として信頼してもらうということ。





自分より歳上の保護者がほとんど、子育て経験もない私、だけど、この仕事に誇りがあるから。



そんな気持ちで、子どもと向き合い、保護者と向き合い、日々を積み重ねると、きちんと伝わる。

いつもうまくいくわけじゃないけれど、時間がかかることもあるけれど、でも、きちんと伝わる。



きっと、今そう思えるのは、そんな経験に出会えたから。



「子どもたちと保護者の方々が、私を先生にしてくれた。」新任のときに1年の終わりに言った。

今でも、ずっとそう思ってる。



いつか自分が親になったら、担任時代を振り返って「全然わかってなかったな(苦笑)」なんて思うこともあるんだろうと思うけど。

今は、今しかできない向き合い方があるはず。



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