考えるためには知識が必要

事実だけを暗記させる教育が否定されてきて久しいですがみなさんはどう思っていますか?中には生徒の頃に覚えたくもないことを暗記させられて嫌な思い出しかない人もいるでしょう。今は知識より物事を正しく批判する力が重要と言われていますが、しかし、やはり知識が重要ということが科学的にわかったらみなさんはどう思いますか?
そのような事実が以下の本に書いてあったので紹介したいと思います。

この本について

この本は認知心理学者である著者が脳科学・認知科学・教育学の観点から現代教育について書いた本です。基本的には教師が読むことを想定して書いてありますが学ぶ側も知っておくと良いことがたくさん書いてあります。またお子さんがいる人には教育指針を考えるための参考になるかと思います。

これまでの詰め込み教育は否定されている

まず冒頭で知識はやっぱり大事だったら?と書いてドキッとした人もいると思いますが、これは意味をしっかり理解した上で覚えることが大事なのであって、知識を「意味も分からず覚えさせること」はしっかり否定してあります。
つまり、歴史において起こったことを時代背景も含めて覚えることのように関連付けて意味も含めて覚えることは大事だが、意味も考えず年号と事実をセットで覚えるだけのような単なる暗記は意味がないということです。

考えるためには背景知識が必要

例えば、小論文の問題が「ザビエルと鉄砲について」だったらどう書くでしょう。ザビエルが日本に来たのは1549年、一方鉄砲が種子島に伝わったのが1543年です。年号と事実だけを覚えているとここから先の考察は不可能です。
しかし、この時代ヨーロッパは大航海時代で香辛料やキリスト教の布教を目的に世界を航海していた時代背景を知っていれば、ザビエルがこの時代に日本に来たことはもちろん香辛料やキリスト教の布教の代わりに鉄砲を伝えたことが予想出来ますし、その方向性で考察が出来ます。
これは本にあった例ですが「海洋有機炭素の崩壊と保存のための物理学的モデル」という論文がどんなものか想像出来ますか?海洋、有機、炭素、崩壊と個々の単語に分けるとわかるという人もいると思いますが、有機炭素などつながるとそれについての背景知識がないためになんのことが書いてあるのか予想がつかないと思います。

私は社会は苦手だったので前者の例が正しい考察かは自信がありませんが、このように考えるためには背景知識が必要になります。ここで知らなかったらググれば良いじゃないと思う人もいると思います。そういう人は、上の海洋有機炭素の崩壊と保存のための物理学的モデル」が何を言っているか理解できるまで、単語を一つ一つググっていってください。多分だるいと感じると思いますし、そもそもググった先の記事で理解出来ない単語が出てきて…となるでしょう。
知識を覚えることはやはり重要なのです。

知識は指数関数的に増えていく

高校時代、物理の教師が「最初はなかなか理解出来ないかも知れないが、ある時スッと入ってくることがある」と言ってました。みなさんも物理に限らず苦戦していた科目がある日スッと入ってくる経験があるかと思います。実は「事実的な知識が記憶を高める」という研究結果が出ています。もう少し噛み砕いて説明すると例えば、「同じ新しいことを習ったとき物理についての背景知識が多い人ほど記憶に定着する」ということです。これは言い換えれば、最初は少ない知識しかないのでどんなに多くの知識を仕入れても記憶として定着するのは少しだが、それがだんだん多くなってくるとたくさんの知識を記憶に定着できることになります。つまり知識は指数関数のように増えていくことになります。

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なので、なかなか伸びないのはまだ知識が十分に身についてないからなのかも知れません。

最後に

今回紹介した本は他にもいろいろな視点での考察がされていますので、気になった方はぜひ読んでみてください。

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