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属人化はマニュアル作成では解消されない?【業務改善】

最近、マニュアル作成の研修をすると、「属人化の解消のために、マニュアル作成について学びに来た。」という意見が多く聞かれる。

ここで私は、「マニュアル作成は、属人化解消のための有効な手段のひとつではあるけれど、マニュアル作成では属人化の解消はできませんよ。」と言ってしまう。なぜなら、属人化の根本原因は、役割分担や体制の問題だから。業務の可視化は重要だが、役割分担や体制を変えなければ、属人化は解消しない。

マニュアル作成の受講生は、「私の業務が、他の人にはブラックボックスになっていて、私がいなかったら業務が回らない」という悲壮な思いを持っていたり、「ベテラン社員にマニュアル作成をお願いしても、忙しいからと協力してくれない。」「ベテランさんがマニュアルを作ってくれたのだが、使いづらいと不評」などの問題を抱えた受講生が多い。

「マニュアルを上手に作成できれば、なんとかなる」という思いで研修に参加してくれたのだと思うが、その必死さが、逆に気の毒で「マニュアル作成では、・・・」という話をついしてしまうのだ。でも、これでは解決に至らないので、「上司、又は、ベテランさんと話して、問題を共有することが重要ですよ。」とアドバイスをする。

属人化の問題は、人員の制限、時間の制限、コストの制限、などで、今すぐに解決するのは難しい。なので、特にマネジメントは目をそらしてしまう傾向がある。「ベテラン社員が頑張ってくれている限り、クライアントは満足してくれる。」「あの社員が頑張ってくれている間は大丈夫。」と。

実際、ベテラン社員や、一人で事務を請け負ってくれる社員がいる限り、今日の業務は回すことができ、明日の業務も多分大丈夫。でも、その裏で、がん細胞が増殖するように、見えないリスクが進行していないだろうか?ベテラン社員は、「なんで、自分だけが忙しいのか?」、事務社員は「休んではいけないというプレッシャーはもうたくさん!」、若手社員は「ベテラン社員だけが責任のある仕事をしていて、自分のところには回ってこない。」などなど。

もし、関係者が不満を抱えているとすれば、それを共有することが大事だと思うのだ。特に、属人化によって離職者が出てしまう、という状況になっているのなら、問題は深刻だ。個人が頑張る、個人がストレスを抱える、という以上に、組織の問題である、という認識が必要なのだ。

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