見出し画像

ストアレコードで実践する消化率99%を達成する在庫管理

株式会社Bizgemの樋口です。

株式会社Bizgemでは「すべてのクリエイターに良質な経営を提供する」をミッションに各種コンサルティングサービス、小売企業向けの経営管理効率化サービスの開発をしております。

先日リリースしたストアレコードの機能紹介の一例としてストアレコードを用いた在庫管理の方法についてお伝えしたいと思います。

ストアレコードを使うことでブランド・カテゴリ・商品・SKUごとの在庫管理はかなり楽になると考えており、実際にどのように利用して在庫管理をクライアント向けに行っているのかその方法について具体的に見ていきたいと思います。

前職ペアマノン時代の在庫管理

私自身の前職の子供服D2Cブランド「ペアマノン」では仕入から6ヶ月後の消化率99%をKPIとして、売上20億円規模になったタイミングでも消化率KPIの99%を保ちながら成長していました。

仕入れ段階から工夫をして、①実際に消化しきれる範囲の仕入れを徹底すること + ②生地単位で発注を行い、売れるSKUのみで在庫を構成 + ③納期から逆算した発注を徹底をしていたことに加えて、運用面でも以下の部分で工夫を行っていました。

④商品登録フローを整備して入荷後すぐに全サイトで販売できる体制、⑤各商品ごとの在庫数・販売数・在庫日数・前回実施のタイムセールOFF率の各項目を週2回確認して、売り切れる価格に売価変更を実施を実施していました。今回は特に運用面の⑤について紹介できればと思っています。

ペアマノン時代もスプレッドシートで管理していたので、各商品ごとの在庫数・販売数・在庫日数・前回実施のタイムセールOFF率を把握するために下記のような作業をしていました。

①ZOZO、ネクストエンジンの両方から在庫データをダウンロード
②ネクストエンジンから7日・30日の販売データをダウンロード
③上記でダウンロードしたファイルをスプレッドシートにインポート
④各商品ごとにVLOOKUPで在庫数、販売数、前回のOFF率を取得して、在庫日数を計算

この準備をするのに毎週2回、そこそこの時間をかけてしまっていたように思います。

上記で各商品ごとの在庫日数を見ながら各商品ごとの販売終了日までに売り切れるか予測を行い、売切れない商品に関しては下記の通り対策を実施します。

①販売直後の商品はSNS・メルマガ・LINE・サイトでの訴求など露出強化
②露出強化しても売れない商品に関しては5〜10%の低OFF率でのタイムセール実施
③徐々にタイムセール価格を踏み込んで販売終了日までに売り切れる価格まで段階的にOFF率をあげていく

上記のオペレーションを実施していたため、プロパー期・セール期という考えはあまり持たずに、各商品が最も売れるオンシーズンの時に消化しきるという考えのもと、積極的に売価変更を行い、消化を優先したオペレーションとしています。この考え方自体はアダストリアグループにM&Aで売却してPMIしていた時にも同じ考え方をしていることで自信を深めたのを覚えています。

ストアレコードでの実装方法

前置きが長くなってしまいましたが上記をストアレコードで実装すると下記の通りとなります。

①在庫回転ダッシュボードで商品ごとの販売終了日、在庫日数、OFF率を確認

在庫回転ダッシュボード

ストアレコードに適切にデータ管理できる体制になると、在庫回転ダッシュボードでブランド / カテゴリ / 販売終了日 / 商品 / SKUの各軸で、在庫数・販売数・在庫日数・OFF率を瞬時に確認していただくことができます。スプレッドシートを作成する手間およびデータが正しいのかを確認する手間が省け、在庫日数を確認する頻度も増えるかと思います。

上記のデータに加えて各商品の定価・原価や売切予測日など追加したいデータがある場合にはカスタムダッシュボードを用いることで在庫回転ダッシュボードにない指標を追加することも可能です。

実際に既存クライアントでは在庫回転ダッシュボードの各指標に加えて、販売開始日・売切予測日・定価・原価の各データを加えたカスタムダッシュボードを元に、毎週のタイムセール価格を設定しています。

少なくとも週に1度、できれば2度、各商品ごとの在庫日数を確認して、各商品の売れ行き・在庫日数に応じて、価格を柔軟に変更するオペレーションは実施してもらいたいと思います。

②売れ行きが鈍い商品は今後の販売数量の予測を商品ページで確認

ストアレコードの商品詳細ページ

販売したばかりの商品で、まだ反応が鈍い商品に関しては今後の販売数量の予測を商品詳細ページで確認して、今後の販売動向を理解しておくと、不要にOFF率を踏み込んでしまって粗利を毀損してしまうことを防げます。またOFF率を踏み込むジャッジが遅れて在庫が余ってしまうというようなことも減るかと思います。

ストアレコードの商品詳細ページでは、昨年の販売トレンドに応じて現在の売れ行きならどのように販売が推移するかを52週ごとに提示したグラフがあります。該当商品の昨年の売れ方とOFF率を確認しながら、販売トレンドを見ることでどのタイミングでどの数量売れていないと売切れないかを直感的に把握していただけます。

③売れていない商品は露出されているのかコンバージョン率ダッシュボードで確認する

販売トレンドの確認とともに、まだ売れていない商品は「見られていないから売れていない」だけなのか、「見られているけど時期が早いからお気に入りは溜まっている」のか、「見られているがお気に入りも入っておらず買われていないのか」によって対応が異なります。

ストアレコードのコンバージョン率ダッシュボードでは、各商品ごとの訪問者数・コンバージョン率・お気に入り数・お気に入り登録率・在庫数と街頭期間の平均OFF率を確認することができます。

コンバージョン率ダッシュボード

単純に訪問者数が足りていない商品であれば、メルマガ・LINEなどのCRMで訴求、サイトの上部に配置、SNSでの訴求・紹介を増やすといった施策でそもそもの訪問者数を底上げする必要があるでしょう。各種施策をしても訪問者数が増えないということであれば、再撮影を実施するなど、商品の見栄えから変更する必要があるかもしれません。

訪問者数も十分でお気に入りも入っている商品であれば、ZOZO TOWNであればあなただけのタイムセールなどでお気に入り登録しているユーザーなど一定の条件を満たすユーザーだけにタイムセールを実施することができます。大々的にOFFを実施したくないがある程度販売したいというときに有効な施策かと思います。お気に入り登録しているユーザーだけを抽出することができるのであれば、対象商品をお気に入り登録しているユーザーに対してメルマガで対象商品のクーポンを発行するといった施策も考えられます。

訪問者数も十分あり、お気に入り登録率もコンバージョン率も低い商品については早めに見切りをつけて、オンシーズンでOFF率を売れる価格まで下げて消化を優先するという早めの判断が求められるでしょう。

④ブランド全体・カテゴリ・商品・販売終了日ごとにMDの振り返りを定期的に実施

物事を継続的に改善していくためには定期的な振り返りが重要になると思っています。小売事業であれば、経営判断における仕入れの重要性が高いので、適切な仕入れができていたかどうかを定期的に振り返ることが重要になります。

一方でMD = 仕入れの振り返りを行おうとすると、仕入れデータ、販売データ、在庫データを突合して資料を作る必要があり、その作業にはかなりの工数とパワーが必要になります。弊社もクライアント企業様のMD振り返りを実施することがありますが、データの取得と定義の確認などに時間を取られるため腰の思い業務になりがちです。

ストアレコードを使ってもらうと、ブランド・カテゴリ・商品・販売終了日ごとの「消化率= 期中の販売数 / (期首在庫 + 期中仕入れ数)」と商品の粗利率が表示された消化率ダッシュボードで各ブランド、カテゴリ、商品の消化率を簡単に確認していただくことが可能です。

消化率ダッシュボード

①消化率が高く、粗利率も高いカテゴリ・商品であれば適切な量の仕入れないし仕入れ数量が少なすぎたといえるでしょう。これらの商品群はまだ成長の余地がありそうです。

②消化率は高いが粗利率が低いカテゴリ・商品はOFF率を高くしないと売れなかった商品群といえ、仕入数量が多すぎたないし商品の設定価格が高すぎたのいずれかであることが考えられます。仕入数量が多すぎたのであれば適切な量の仕入にすればよく、商品の設定価格が高すぎた場合には競合動向を見ながら生産の見直しが必要になりそうです。

③消化率は低いが粗利率が高いカテゴリ・商品はオンシーズンでの消化を優先せずに粗利率を確保しようとした商品群と言えます。これらの商品は通年販売、定番品なのでOFFせずに販売したい商品と言えますが、このカテゴリの商品が増えすぎると在庫が重くなります。通年販売、定番品が多い業態であれば、自社の在庫日数についてリードタイムから厳格に設定を行い、そこから逆算して仕入に対する消化率もしっかりと設定するのがよいでしょう。

④消化率も粗利率も低いカテゴリ・商品は消化を進めようと価格を踏み込んだものの、売れずに残ってしまった商品群です。これらの商品はMDの5適「適品・適時・適所・適価・適量」のそれぞれに問題があるので、全て振り返りながら見直す必要があると言えます。

それぞれ判断する軸を持ちながら各仕入を振り返り、次の仕入に活かすことが重要だと考えています。

データ確認頻度が経営改善では重要

測定できないものは改善できないという言葉がある通り、経営上の重要な指標を定点で観測することは非常に重要なことだと言えます。一方で基幹システムなどがない小売業界では重要なデータを確認する作業は非常に重い作業となりがちです。実は基幹システムを導入している大手企業でも、基幹システムからデータをダウンロードしてエクセルで作っているケースは少なくなく、どの小売企業にとっても重要な指標をパッと確認するのは大変な作業になっていると言えます。

ストアレコードでは現場経験と経営経験の両方に基づき、現場も経営も必要なデータを簡単に確認できるようなプラットフォームを目指してサービスを展開しています。ここでご紹介した以外にも、経営データを一元管理しているからこそ提供できる価値を提供したサービスになっていますので、ご興味ある方はぜひ遠慮なくご連絡いただければ嬉しいです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?