デジタル経済を読み解くための8つの重要なトレンド❹
連載ブログ「デジタル経済を読み解くための8つの重要なトレンド」、第4回目はデジタルvsフィジカルについて簡単に整理していきたいと思います。
デジタル化とは何か?
近年、メディアでデジタル化という言葉を頻繁に目にするようになりました。ところで、デジタル化とはいったい何を意味するのでしょうか?
まずデジタルとは、機械(コンピューター、プリンター、時計など)で情報を取り扱う表現方法の1つで、情報を全て0と1のデータの組み合わせで示すことを意味します。デジタルの対義語は、フィジカル(物理的)またはアナログでしょう(もっとも、フィジカルを身体的と意味合いで解釈すれば、メンタルが対義語となるでしょう)。
欧米において、デジタル化は2つの意味で使われていうようです。
最初は、デジタイゼーション(狭義のデジタル化)という言葉です。これは、従来の物理的またはアナログ的な対象物がデジタル化される現象を意味します。DXの視点からは、これは3つのタイプに大きく分類することができそうです。
1つ目のタイプは、物理的またはアナログ的な対象物がデジタルに置き換わることです。これは、伝統的な企業のビジネスに大きく影響を与えることになります。典型的には、コンテンツビジネス業界(新聞、書籍、映画、音楽、広告など)です。
2つ目のタイプは、物理的またはアナログ的な対象物がデジタルに変換されることです。例えば、現在のコロナ禍の状況において、多くのビジネスパーソンがリモート会議を行っていますが、その中で取り扱われる顔や声はデジタル化された顔や声です。1つ目のタイプと異なるのは、物理的またはアナログ的な対象物が減ったり無くなったりするわけではないということです(当たり前ですね)。
3つ目のタイプは、物理的またはアナログ的な対象物に関連する要素がデジタル化されることです。私の友人に、アナログレコードをこよなく愛する人がいます。でもその友人は、レコードの情報や評判、販売店舗を調べるためにデジタル(オンライン)を活用しています。
次に、デジタイゼーションとは別に、デジタライゼーション(広義のデジタル化)という言葉が使われることがあります。これは、デジタイゼーションの普及と拡大が、私たちの日常の生活や働き方、組織、経済、社会活動の方法を変えていくことを意味するものです。
デジタルとフィジカルの融合
このように、様々な対象物のデジタル化が進んでいるとはいえ、全てのフィジカルまたはアナログ的なものが消滅するわけではありません。そこで、近年台頭してきているのが、デジタルとフィジカルの融合というキーワードです。
ビジネスモデルの視点からは、デジタル化が進む、またはデジタルとフィジカルが融合する領域は4つあります。それは、プロダクトとサービス、オペレーション、顧客との交流、お金の流れです。
例えば、製造業の場合、プリンターなどの物理的な販売プロダクトにIoTテクノロジーを活用し、遠隔での保守サービスなどを可能とするスマートプロダクトと呼ばれるコンセプトは、プロダクトとサービスに関するデジタルとフィジカルの融合といえます。
また、その物理的なプロダクトを製造する工場内の機械設備にIoTテクノロジーを活用して、製造プロセスの信頼性向上と効率化を推進するスマートファクトリーと呼ばれるコンセプトは、オペレーションにおけるデジタルとフィジカルの融合といえます。
一方で、顧客との交流におけるデジタルとフィジカルの融合に関しては、OMO(Online-merges-offline)というキーワードが台頭するようになってきました。これは、オンラインチャネルからオフラインチャネルへ、あるいはその反対に顧客を誘導するマーケティング施策を意味するO2O(Online To Offline)の発展形としてとらえることができそうです。
例えば、監視カメラ、センサー、モバイルといったデジタルテクノロジーと物理的な小売り店舗を融合したAmazon Go(レジのないコンビニ)は、OMOの見本といってもよいでしょう。
下記の動画をご覧いただければわかると思いますが、欲しい商品を自分のカバンに放り込んでお店を出ていく様子は、Amazon Goを知らない方にとって、集団万引きをしているかのように見えるかもしれません。
次回は、デジタル経済を読み解くための5つ目のトレンド、バンドリングvsアンバンドリングについて触れていきたいと思います。
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