見出し画像

デジタル経済を読み解くための8つの重要なトレンド❺

連載ブログ「デジタル経済を読み解くための8つの重要なトレンド」、第5回目はバンドリングvsアンバンドリングについて簡単に整理していきたいと思います。

バンドリング

ここでいうバンドリングとは、関連する複数のプロダクトやサービスをセットとして組み合わせて販売することを意味します。バンドリング販売の有名な事例としては、マイクロソフトによるオフィススイート(ワード、エクセル、パワーポイントなどのセット販売)、マクドナルドによるバリューセットがあります。

ハーバードイノベーションラボが作成した動画「デスクの進化」では、1980年初頭からパソコンが普及して以来、カレンダー、電卓、辞書、名刺ホルダーといったデスクの上にある様々なモノがデジタル化され、パソコンにバンドリング(または収斂)されていく様子が描かれています。

2007年のiPhone発表会の際、スティーブ・ジョブスがプレゼンテーションしたように、iPhoneは音楽再生プレイヤー、携帯電話、インターネット通信機器をバンドリングしたプロダクトとして捉えることができます。

本ブログの第1回目でご紹介したXaaS(Xをサービスとして提供する)と呼ばれるコンセプトもまた、デジタル化経済におけるバンドリングの典型といえるかもしれません。

XaaSを理解する上での興味深いメタファーとして、ピザ・アズ・ア・サービスがあります。最新のバージョンでは、消費者がピザを焼いて食べるために、消費者とベンダー(プロダクトやサービスの提供者)の間の役割分担を6つの段階で示されています。

ピザアズアサービス

MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス:移動サービス)の最終的なゴールは、移動手段に関する情報、予約、決済を含む様々なサービスなどをワンストップで利用者に提供することにあります。

これまで旅行パックのようなバンドリングが存在していましたが、旅行パックが予め定められた規格品に近かったのに対して、MaaSは利用者の嗜好やニーズに関して、デジタルテクノロジーを活用したきめ細かいパーソナライズ化されたサービスの提供ができるようになることです。

アンバンドリング

バンドリングとは反対に、アンバンドリングとは、従来複数のプロダクトやサービス、または機能の組み合わせで提供されていたものを、ばらばらに分けて販売することを意味します。デジタルテクノロジーの進化やプロダクトやサービスのデジタル化が、これを可能および促進するようになってきました。

例えば、音楽のデジタル化とオンライン販売によって、アルバム単位から楽曲単位で私たちは音楽を楽しめるようになりました。また、アマゾンのキンドルをはじめとする電子書籍リーダーの台頭によって、デバイスとコンテンツをアンバンドリングすることが可能となりました。

現在、FinTech2.0というコンセプトのもと、従来の金融機関が包括的に提供してきた機能の一部を、スタートアップが提供するようになってきました。

アンバンドリング

さらに、金融の垣根を超えた異業種間でのサービス再構築は、リバンドリング(FinTech3.0)と呼ばれています。

販売するプロダクトやサービスの単位を小さくするというように、アンバンドリングの定義を拡大解釈すれば、大手の損害保険会社が提供する1日保険(1日単位での自動車保険)プラットフォーム企業であるビザスク(時間単位でのスポットコンサルティング)なども、ここに含まれることになるでしょう。

前者の場合、決済を含むモバイルテクノロジーと自動プロセシングがこれを可能にしています(人手による販売では、コストがかかりすぎる)。後者の場合、自社でコンサルティングを行うのではなく、プラットフォームを通じた仲介サービスに徹することで、従来は大金を払うことができなかった中小企業でも簡易的なコンサルティングを受けることができるようになりました。

次回は、デジタル経済を読み解くための6つ目のトレンド、パイプラインvsプラットフォームについて触れていきたいと思います。


皆様からのポジティブなコメントやフィードバックをお待ちしております!

また、本ブログに関連してUdemy(オンライン学習プラットフォーム)に「手を動かして考える!DX戦略とビジネスモデル(グランドデザイン編」という講座を開設しております。ご関心のある方は、是非ご登録ください!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?