社会人1年目:地方支店配属時代のお話〜後編①〜

さて後編では具体的な仕事内容や、どんな困難や達成感があったかを紹介する予定でしたが、思った以上に書きたい内容が多かったので後編は2部に分けて紹介させていただきます。後編①としては、課せられたミッション達成のために、私がどんなことを意識して、どんなことを実践したかについて、仕事内容含めて具体的にイメージできるように紹介したいと思います。

私が地方支店に配属され、1年間の目標・ミッションとして言い渡されたことが、「新規顧客を開拓し、売上XXX千万円」を達成することでした。

言い渡された時の私の感想は「おぉ、いきなり厳しいなぁ。」でした。笑
何せ配属直後はIT技術知識はもちろんのこと、自社のサービスすらほぼ知らない状態だったのです。どうやって、何を売るのかもよく理解できていない状況の中で、お客様を自分で見つけるところから始めるのは中々大変だと、新人ながらに感じていました。しかし、達成しなかったらボーナスは無しだ!と課長に凄まれ、覚悟を決めました。

さて、ほとんど何も分からない新人ではありましたが、無計画にがむしゃらにやってもその目標は到底達成できないことだけは分かっていました。そこで1年間でどうやって数千万円の売上を達成するか、自分なりに計画を立てることにしました。

下記3点が売上を上げるために必要なことと考え、取り組みました。

①売るもの(サービス)を知る
②売り方を知る
③売る相手を知る

私はまずは何を売るのか、①の自社サービスについて勉強することから始めました。

前職の会社は単純なモノ売りではなく、サービス提供がメインでした。そしてそのサービス内容は多岐に渡りました。そしてそのサービス内容も複雑でした。自社サービスを知るうちに、売上を達成するためにはある程度単価の大きい、規模の大きいサービスを提供しないと1年間での目標達成はそもそも厳しいということに気づきました。規模の大きなサービスを導入するためには、それなりの資金力のある企業をターゲットにする必要があります。売るものを知ることで、売るべき相手についてもイメージすることができるようになってきました。

次に私は、②として1ヶ月程先輩社員の営業活動に同行させていただき、どのようにお客様と会話するのか、どう商談に結びつけるのかなどを観察し、自分なりの営業スタイルを見つけることを目指しました。

先輩社員には、圧倒的な技術知識をベースにお客様の信頼を勝ち取っている方や、お客様の困りごとに何でも即座に対応することで信頼を勝ち取っている方もいたり、営業スタイルは個々に異なっていました。いずれにしても共通していることは「お客様から信頼されている」こと。先輩社員に同行して現場を見ることで、「良好な信頼関係」がビジネスにおいて非常に大切であることを身を持って実感できました。

スキルや知識、経験に乏しい私の武器は若さです。とにかくフットワーク軽く、些細なことでもすぐに駆け付け信頼を得られるような営業スタイルをまずは目指すことにしました。

目指す方向性は見えてきたものの、お客様との信頼関係を築くことは一筋縄ではいきませんでした。何せ新規開拓営業として、これまで全く取引の無い会社が相手です。またそういった会社はほぼ全てが競合他社のサービスを利用しており、そこに割って入ることは簡単ではありませんでした。
電話アポは断られ、飛び込み訪問も断られ名刺を置いて帰ったり、、それでもしつこいくらいに何度も訪問を繰り返すうちに若者が可哀想だと思ったのか、話を聞いてくれる企業もありました。

しかし、話を聞いてもらえる絶好のチャンスを掴んだにも関わらず、最初のうちはただ自社や自社サービスについて話して会話が終わってしまうことが多かったのです。売ることに必死になりすぎて、典型的なモノ売りの営業となっていました。フットワークがいくら軽くても、意味の無い会話をするだけでは、字面の通り何の意味もないのです。
何とか話を聞いてもらえるところまでいったものの、空振りに終わってしまう。あの時感じた悔しさは今でも忘れていません。

自分に何が足りないのか。。それはお客様企業の徹底的な分析です。どんな事業をしており、どんな投資をしており、どんな業績で、どんな将来計画を描いているのかについては、もちろん訪問前にHPやニュース記事上に載っている字面や数字での研究は行ってました。ただ上の③で挙げた「売る相手を知る」とは、字面や数字の情報だけではなく、足を運んで生の情報を得ることも必要だったということに気づいたのです。実際にビジネスとして価値を提供してその対価を受け取るためには、お客様企業の「中身」に深く斬り込んでいく必要があることに気付いたのです。

どの部門の誰が、どんな人で、別の部門のどの人とどんな繋がりがあるのか。そしてそれぞれの部門や人が何に困っているのか。私が作成したのはお客様企業の「人間関係マップ」です。その中でも最も重要なことはもちろん「誰が財布を握っているか」です。つまり決裁権を持ってる人、或いはその人に進言できる人、いわゆる「キーマン」と良好なリレーションシップを構築することが何よりも大切だと考えました。(実際に営業の現場では誰もが意識していることだと思います。)

以上のことを意識するようになると、お客様との打ち合わせ時に話す内容も自然と変えていくことができました。自社や自社サービスについて話すのではなく、相手の話を聞き「情報を聞き出す」ための会話ができるようになっていきました。

もちろんこの「人間関係マップ」の作成もそんなに簡単ではありません。一人ずつ、一歩ずつ地道に時間をかけて信頼関係を構築していった結果、作成できるものです。そのためには自社ビジネスに直接関係のないことであったとしても、お客様が困っていたらお役に立てるよう動きました。お客様から「こいつに聞けば何か分かるかもしれない」と、ある意味便利屋として思ってもらえるように意識しました。地方支店であったので、営業活動は基本的に車を利用していましたが、割と面積の大きい都道府県だったこともあり、長い時は片道2時間以上運転してお客様先を訪問してました。毎週平均500km以上は走行していたと思います。トラックの運ちゃんかよ、と思ったこともありましたが、とにかく毎日外に出て、色々なお客様先に足を運び情報収集に努めました。私にとってはこういった地道な活動の積み重ねがお客様から「信頼を得る」ことに繋がりました。

また、地方では地元新聞の経済欄に、地元企業の情報が記載されることがよくあります。「××企業がベトナムに進出」という記事が出れば、即座にその企業に電話しアポイントを取ったり、常日頃からビジネスチャンスと思われるものには飛びついていました。

そうやって地道にこまめにお客様先に足を運んでいると、意外と同じような困りごとを抱えているお客様が多いことに気づいたのです。もちろん企業によって大なり小なり内容は異なりますが、「効率性や生産性を上げたい」、「無駄なコストを省きたい」といった課題感が大勢を占めていました。当たり前のことだろと思われるかもしれないですが、実際に現場のお客様の生の声として聞くと、当然頭の中のイメージとは生々しさが違います。

こういった課題感をお客様から吸い上げられるようになったところで初めて、売上を上げるための「提案」活動が行えるようになるのです。元々自社サービスを勉強していた時から、売るためのイメージはしていましたが、個々の課題感を得られて初めて、お客様にとって「具体的な」提案活動が行えるようになるのです。

ここまで辿り着くのに3ヶ月程かかりました。つまり3ヶ月間売上は0円です。会社に何も貢献していません。

営業の仕事のイメージは簡単に言うと、ただ「提案してモノやサービスを売る」ことでした。そして数字を背負って辛いだろうなというイメージも持ってはいました。

実際に経験してみて初めてその辛さや大変さが改めて分かりました。数字に関しても、自分の数字がないとそのプレッシャーは尋常ではありません。先輩方は売上を上げ会社に貢献している中、私は外周りしていてロクな商談すらない状態が続くことは、心身共に相当にこたえました。

営業はやはりとても辛い職種だとは思います。ただ、その分物凄い達成感を感じることもできるし、やりがいのある職種でもあります。
後編②では、達成感についても具体的エピソードをもって紹介させていただきたいと思います。


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