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開発と隣合わせで進めるプロダクトデザイン 〜Designship 2021登壇レポート〜

2021年10月23日〜24日に開催された「Designship 2021(*1)」に、当社VP of Productの町田が登壇しました。本記事は、当日の登壇内容を元にしたnote編集版です。

今回、「開発と隣合わせで進めるプロダクトデザイン」というタイトルでスポンサーセッションに登場。一般的なプロダクト開発のプロセスとは異なる、当社独自の「価値」に光を当てたプロセスやデザイナーの関わり方について語りました。

*1 デザインシップ2021……日本最大級のデザインカンファレンス。様々な業界のトップランナーがスピーカーを務め、2日間に渡ってデザインナレッジや想いを共有する場として年に1回開催される

登壇者紹介

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町田 貴昭

株式会社ビットキー
VP of Product / Workspace & Experience
2012年にワークスアプリケーションズに入社し、会計システム・EC製品の開発、建設業界向けシステムの立ち上げに携わる。2018年にビットキーへ創業期に入社後、ソフトウェア領域のプロダクト開発を中心に、プロダクト全体のビジョン立案からUXを設計し、コーディングまでを推進。現在はビットキーのWorkspace事業を中心にプロダクト責任者とUXチームのマネージャーを兼務している。

ソフトウェアのみならず、3つの領域を横断するUI/UXデザイナー

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今回は当社のプロダクト開発とデザイナーの関わりをテーマにお話しします。
まず、当社のプロダクト開発は、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェアの3つの領域が存在しています。1つめのソフトウェアは、みなさんが最もイメージしやすい領域かもしれません。主にスマートフォンアプリやタブレットアプリ、管理画面のSaaS、コンシューマーが使うWebサイトの開発を行っています。

2つめのハードウェアは、bitlock LITEを始めとしたスマートロックの開発に留まらず、他社が開発したスマートデバイスとも連携したオリジナルデバイスの開発をしています。

そして、3つめにソフトウェアとハードウェアをつなげる、ファームウェアという領域があります。ファームウェアは、ハードウェアに組み込まれているソフトウェアのことを指しており、モーター制御やバッテリーの残量の計算、LEDの操作などを行います。

当社で働くUI/UXデザイナーは、これらの3つの領域を理解してユーザー体験を設計することが非常に大切にしています。

一般的な流れから脱却する理由

ここでは、ソフトウェアのプロダクト開発についてお話しいたします。次のスライドは、一般的なプロダクト開発の流れを図でまとめたものです。

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最初にPO(以下、プロダクトオーナー)が要件定義やペルソナの定義を行い、どのようにプロダクトを開発するのかといったロードマップの策定を行います。そこから数週間から数ヶ月ほどの時間をかけて、UXデザイナーとともにマーケットにリサーチをかけて情報整理をします。

プロダクトオーナーから情報が共有されたあと、UIデザイナーがワイヤーをつくったうえで実際にデザインします。その後、エンジニアがUIデザイナーのつくったデザインを見て、ファンクションの整理をして実装・評価を経て、最終的にプロダクトリリースをします。

このようにプロダクト開発は、左から右に順番に行われていくプロセスが一般的かと思いますが、我々はこれを「ウォーターフォール」っぽいなと思っています。この体制の場合、プロダクトオーナーは「どのような価値を届けたいのか」を最も知る人物ですが、その一方でエンジニアは価値の定義を一番最後に知るポジションになっています。すると、プロダクトをつくる全員が同じ目線でプロダクトの価値を語るのは難しくなってしまうと考えます。

デザイナーもエンジニアも同じ目線で「価値」を語るために

当社は、プロダクト開発するうえで「価値」を最重要視しています。プロダクトに関わる全員が同じ価値を認識しながら開発するため、独自の体制を採用しています。

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最初に、一般的にはプロダクトオーナーのタスクである「価値定義」「リサーチ・顧客理解」「実現方法」「構造整理」を全員で行います。当社にはプロダクトオーナーという名のポジションはないので、デザイナーとエンジニアで「どのような価値を実現していくか」「どのようにユーザーに届けるか」「どうやって実現していくか」を議論していきます。通常はUXデザイナーの業務領域である市場調査やペルソナの整理も、エンジニアと一緒になって行います。ツールはmiroを利用することが多いですね。

その後、それぞれのプロフェッショナルな領域に分かれ、デザイナーはデザインを作ったり、エンジニアは実際にコーディングを行ったりします。

最終的には、デザイナーとエンジニアが持ち寄ったアウトプットをもとにユーザーに使ってもらって検証し、ユーザーのフィードバックをもとに改善するといったサイクルを重ねます。

ユーザーの声を聴きながら、高速で改善をしていく

検証では実際に現地に赴いてユーザーの反応を確かめるのですが、実際にあったエピソードをひとつご紹介しますね。

workhubシリーズには「workhub Reception」という、タブレット画面にQRコードをかざすことで無人受付を行えるプロダクトがあります。現地で検証を行ったところ、「workhub Reception」を設置している環境下では高齢の方が多く、カメラの位置が分からないためにQRコード(*2)の読み取りがうまくいかない、という状況を目にしました。「QRコードをかざしてください」と一言で伝えた場合、この場所のユーザー体験としては不十分であると分かったのです。
*2 QRコードは株式会社デンソーウェーブの登録商標です。

このように、実際に現地に赴かなければ認識できない課題があるため、当社では必要に応じてデザイナーやエンジニアも現場に行き、ユーザー体験を自分の目で確かめるようにしています。

また、エンジニアとデザイナーが密にコミュニケーションをとるために、アジャイル開発でよく取り入れられる「スプリント(*3)」を一緒に行っています。

*3 アジャイル開発のひとつである、スクラム開発で使われる用語。スクラム開発では、段階に分けて優先度の高い順に反復して開発するが、この反復の単位を「スプリント」と呼ぶ。

例えば、デザイナーはFigmaというツールを使ってUIの案を作り、エンジニアは同じ画面を見ながら最小スコープで実装します。エンジニアは実装、デザイナーはUIの改善を繰り返すというサイクルをどんどん回していくんです。

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ソフトウェアエンジニアだけでなく、デザイナーはハードウェアエンジニアやファームウェアエンジニアとも密にコミュニケーションをとります。ハードウェアはソフトウェアのように何度もPDCAサイクルを回すことができないので、事前に多くの仮説を立て、現実的な数の試作品を作っていきます。ソフトウェアとは全く異なる開発ということもあって、新鮮で面白いと感じるデザイナーも多いはずです。いくつか試作品を作り、感覚で決めるのではなく、データに基づいてロジカルにデザインしていきます。

このように、当社のUI/UXデザイナーは、プロダクトが提供する「価値」をデザインし、エンジニアと一緒になって「何をつくるか」「どんな体験をつくるか」を一緒に考えていきます。日々のスプリントも一緒に回し、作って終わりではなく、現地でユーザー体験を観察して改善を繰り返していきます。

このお話が、何らかの参考になれば幸いです。ありがとうございました。

【 採用情報 】
<UI/UXデザイナー>
https://herp.careers/v1/bitkeyinc/v-XCc6MZ3g8T

<オープンポジション(エンジニア)>
https://herp.careers/v1/bitkeyinc/_4Sm21Lk1zlJ

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