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「2020年」のビットコイン価格は過去最高値更新なるか

ビットコイン市場の現状を踏まえた上で、今年のビットコイン価格を予想してみよう。テレビに映る億り人を見て「なんだか儲かるらしい」とみんなが買い騒いだ2017年、ハッキングを機に「ビットコインはもうダメそうだ」と売り騒いだ2018年、そしてFacebookのリブラを見て「社会が変わりそう!と思ったら、やっぱりダメだ」といってこいであった2019年。2020年は果たしてどうなるだろうか。

ここでは便宜的にビットコイン価格が

BTC’(現在値) = BTCmin(底値) + 逃避マネー + 期待値(e)

で成り立つと考える。

すると、直近の価格は

BTC’ = BTCmin + 中東リスク + 中国デジタル人民元 + (米国リブラ)

で表すことができるだろう。

上値はBTC=20,000ドル、下値はBTC=5,000ドルを予想

上値を予想することは正直難しい。しかし、上昇余地が大きいことはこれまでの流れを見ても明らかである。

BTC’ = BTCmin + 逃避マネー + 期待値(e)

まず、BTCminに関して、底値は年々切り上がっており、ハッシュレートが今も伸び続けていることを考えれば、今年も上昇すると思われる。昨年の底値がおよそBTC=3,500ドルであったことから、今年はBTC=5,000ドルあたりになるだろうか。

逃避マネーについては、年明け米国イランの対立を巡って強く意識されているが、キプロス危機にさかのぼるもっと以前から意識されていたことである。脱米ドルの動きが進む今の潮流を踏まえれば、新興国に依らず、各国の資金がビットコインに流れる可能性は高い(それがデジタル人民元に代わるかもしれないが)。また、過去最高値を更新し続けた米国株が崩れることがあれば、自ずと一部資金がデジタルゴールドに向かうだろう。

そして、最後の期待値(e)だ。今年中に中国デジタル人民元が発行されるかどうかはわからないが、具体化していくことは間違いない。米国リブラもすっかり期待が剥がれてしまったが、ホワイトペーパーに一部変更を加えるなど当局とのすり合わせを行っており、復活することは十分に考えられる。これに関係して、米国EUにおけるCBDC発行の動きや、Google,Amazon,AppleによるFacebook追随の動きなどにも注目が集まるが、どちらも先駆者の様子見にとどまるだろう。

今年はブロックチェーンを活用した決済プラットフォームの進展にも期待したい。Visaが手がけるHyperledgerベースの「Visa B2B Connect」、MastercardがR3と共同で開発を進めるCordaベースのクロスボーダー決済プラットフォーム、同じくCordaを使った貿易決済コンソーシアム「Marco Polo」、JPモルガンの銀行間送金ネットワーク「Interbank Information Network(IIN)」等々。この他にもDeFiやDappsゲームなどホットな話題は今年も山積みである。

結局のところ、何が言いたいかといえば、

BTC’() = BTCmin() + 逃避マネー() + 期待値(e)()

の式に表されるように、今年は相場が上向きであるということだ。

規制を含めて、きちんとした投資環境が整備されれば、2017年のように新規参入の数も再び増えてくるだろう。その期待も込めて2020年のビットコインは

上値:BTC=20,000ドル 下値:BTC=5,000ドルと予想する。


今年の注目イベント

全体観とは別に、今年は相場に影響を与えうる注目すべきイベントも多い。最後に、それぞれについて見解を簡潔に述べる。

⑴米国イランを巡る中東リスク(1月~)
年明けに米軍がイランのソレイマニ司令官を殺害したことを発端に起きた、中東情勢の緊迫化。イランがイラクの米軍基地に対してミサイルを放つなど報復行為もあったが、トランプ大統領とハメネイ最高指導者はともに戦争回避の姿勢を示しており、両国の緊張は一旦は和らいでいる。しかし、イラク戦争の時のように、一気に戦争になる可能性は現段階では否定できず、引き続き注視が必要である。決して望ましいことではないが、情勢の悪化に応じて、逃避マネーがビットコインに向かう可能性は高い。

⑵ブレグジット(1月)
不透明な状況が続いていたブレグジットであったが、昨年12月の総選挙で保守党が勝利をおさめたことで、今年1月末での実施が確実な見通しとなった。移行期間である今年度末にかけて、イギリスとEUとの間で色々な取り決めが行われると思われる。イギリスのEU脱退の方向性はここからズレることはないと思われるが、話し合いの中で混乱が生まれれば、株式為替そしてビットコインへの影響は起こりうる。しかし、さほど懸念すべき事項ではないだろう。

⑶ビットコイン半減期(5月)
業界全体が注目するビットコインの半減期。5月にマイニング報酬が12.5BTCから6.25BTCに減少する。これについて過去2度の経験や希少価値の観点から価格の上昇を予想するものは多い。私も、マイナー下限理論から、その前後で上昇する可能性は高いと考えている。それぞれマイナーは、報酬が減った時にも事業が耐えられるよう、ビットコインの価格を伸ばす、もしくはコストカットに動くはずである。ビットメインの昨年を振り返ると、その為の準備であったと見るのが妥当ではないだろうか。一方で、同時に中小マイナーの淘汰も進むと思われる。業界で問題視されるマイニングの寡占化が進行するという点では、富の集中を加速させるかもしれない。

⑷東京オリンピック(7月-8月)
東京オリンピックの開催期間中は、訪日客が増え、国内の店舗施設は大変な賑わいを見せる。しかし、この賑わいは一過性のものにすぎず、直接的な相場への影響は小さいだろう。その中、日本の暗号資産・ブロックチェーン企業あるいは日本で盛んなNEMやMONAといった通貨コミュニティがオリンピックイベントを企画することは考えられる。価格動向はさておき、東京オリンピックを盛り上げるために、業界として何ができるかが重要である。

⑸米国大統領選挙(11月)
金融市場にとって、今年最大のイベントは11月に控える米国大統領選挙だろう。共和党のトランプ大統領が再選するのか、あるいは民主党の他の候補者に代わるのかが注目される。州ごとの予備選にはじまり、民主・共和党全国会、そして両党候補者による討論会と進んでいくが、追加情報が出る度に、相場は一喜一憂することが予想される。当然、ビットコインもその影響を受けることになるが、先行き不透明感から逃避目的で買いが進む可能性は高い。年末にかけて価格は上昇するのではないだろうか。

その他
⑹ビットコインETFの実現
ここ数年話題にあがっては消えていくビットコインETFの申請可否。金になぞらえて承認後の価格上昇を叫ぶものも多かったが、これについては現実味を帯びてきたら投資判断を見直す程度でいいだろう。時間の問題であるとは思うが、これまでのように情報に振り回されるのは利口ではない。

⑺取引所の統廃合
昨年に国内のみなし業者がゼロになったことが明らかになった。現在の暗号資産交換業の認可社数は22社。まだサービスを始めていない企業もあるが、単純に20以上の取引所があることになる。今年4月には改正法の施行を控え、コンプラコストがますます上がる一方、相場はいまいち盛り上がらない。どう考えても主要取引所を除けば赤字であり、今後、銀行のように、統廃合が進んでいくのは必然に思える。それによる相場の動きもあるだろうが、中小が吸収される限りにおいては影響は小さいか。


これまで、ビットコイン市場の現状を振り返り、2020年の価格予想をしてきた。今にビットコインの価格を予想することは「あてずっぽうゲーム」と述べたが、ここまで読み進めれば、それがなぜなのかわかった人も多いだろう。それはビットコインが最も「人間らしい」投資対象であるからだ。「自国通貨や株式はなんだか不安だ」という不確実性と「価格がなんだか上がりそう」という期待とで相場は大きく動いている。そういった人間の感情・欲というものはなかなか読めないものである。

デジタルでありながらデジタルでないというのは、いかにもビットコインらしい。十中八九、今年も予想外の展開を見せるだろう。

松嶋 真倫
クリプトアナリスト兼ライター/編集者。オーストリア生まれ、シンガポール・千葉県育ち。大阪大学経済学部卒業。都市銀行退職後に業界参入し、暗号資産調査会社BaroqueStreetのメンバーとして業界調査・相場分析に従事。2018年末より現職。

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