あの子ひとりで
愛するだけで足りるあなたのししむらを食べる(うそだよ)ちりちりと雨
ひゃー秋の雲とべば秋 狙い撃つんだろうひかる木犀あれは
たましいは手指をもたずばらばらに燃えるからだのうすい境目
いつかこうなることを知っていたわ夏 のみどにみずをだれが遣っても
神経はてらいなく町の陰影をルイボスティーをよろこんでいた
せんせい、生きているのがやだ。と香奈が言うつらくなくてもやだったね、香奈
嘘でいい見ていればいいやまいぬがまつる獣の血のなかの薔薇
あたしたちいばらの棘を示し曇天にわらえば類歌でもいい
あいしてる(たぶんね)愛して死ぬ(きっと)手向けた花が(散っても)きれい
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2014年の『短歌研究』11月号に載った連作です。
全体ででっかい折句になっています。