早見和真「イノセント・デイズ」★★★☆☆

小説、早見和真のイノセント・デイズを読んだ感想。

事前知識なしに読み始めたが、途中まで読み進めたところでもう一度プロローグを読むことになった。構成が特徴的で、プロローグに判決シーンを持ってきて、その後過去を明かしていく手法が核となっていて、かつ面白い。

民放のニュース、報道番組は視聴率を重視せざるを得ないため、視聴者の興味をそそるか、ショッキングで印象に残るかを基準に報道するのは現状の制度では自然な状態である。
そのために事実をあらゆる角度から切り取っているということは身近に実際に取材を受けた人などの話からも事実だというのは分かっているつもりである。
しかし、裁判の判決というとかなり精査されて誤っている可能性はごくわずかだと信頼を置いている人は多いのではないだろうか。

結局は事実の切り取り方をしているのが「誰か」という違いしかなく、そこに思惑が入っていようがいまいが、人生を定型文に落とし込むことなど傲慢な行為なのだ。そんなことを考えさせられた。

文章は平易で読みやすく、続きが気になるように誘導されるため、一気に読み進めて気になったらもう一周読むと新たな発見があるかもしれない。

早見和真「イノセント・デイズ」
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