
本当の『つながりは』"取引"じゃなくて"貸し借り"できる関係
お仕事系クローズドコミュニティアプリ「BiSE」(バイス)の開発をしている小林慶志郎です。
一度一緒に仕事をしたり元々の知り合いだったりで信頼できる人だけを集めて、情報交換や仕事のやり取りをするためのアプリを作っています。
今回は、コミュニティって何なのか、どうして人はコミュニティを求めるのか、について書きます。
コミュニティって良いモノなのか?
昔ながらの「村」のイメージからくる「コミュニティ」という言葉からは、「つながり」という言葉とともに、「しがらみ」という言葉がまとわりついてきます。
そこから逃げ出すように、人は自由を求めて、「しがらみ」と「つながり」を投げ捨てていったわけです。
一方で、自由は、孤独を伴います。
その孤独を紛らわすために、人はなんだかんだと文句を言いながら会社に通ったりするのですが、会社でも腹を割って話すことなんてないかもしれません。
そして、SNSに居場所を求めるようになっていく人もいます。
誰でもSNS等を通じて発信できるようになり、
たくさんの「いいね」を集めることによって、いわゆる「承認欲求」は満たされるようになったと思います。
ですが、そこに「つながり」があると言えるでしょうか?
困ったときに助け合えるような「つながり」です。
「つながり」と、「しがらみ」のバランス
冒頭に書いた通り、「つながり」は「しがらみ」を生みます。
「しがらみ」というと悪いイメージの言葉になりますが、これが生まれるのは当然の流れです。
「つながり」によって生まれる”助け合い”は、言葉を変えると、”貸し借り”と言えます。
気軽に”貸し借り”を行える場こそが「つながり」なのですが、
これを続けることによって、コミュニティ内での「しがらみ」は増えていきます。
借りをキレイに清算しないで、抜けていいの?という状態です。
コミュニティでの貸し借りをキレイに清算しきれるようであれば、
そのコミュニティのつながりは、おそらくそこまで強いものではないでしょう。
おそらく、貸し借りではなく、都度清算されているはず。
都度清算が悪いわけではなく、それはコミュニティ内のやり取りではなく、個々の”取引”ですね。
単発で、短期的で、不安定なものです。感情がつながるものではありません。
そもそも矛盾している欲求をどう満たすのか
自由で居たいけど、構ってほしい。仲間が欲しい。
そんな矛盾した欲求を満たそうとしているので、答えはありません。
一人一人が自分の居心地のいい環境を見つけるしかありません。
そんな中で、「つながり」を求めるのであれば、自分と目的や考え方が近い人達と一緒の方がいいのではないかと思うのです。
平たく言うと、「貸し借りの温度感が合う人達」ですね。
仕事であれば例えば、
・このくらいのサポートならタダでいいよ
・この仕事をやるならお金払って当然だよね
などといった温度感が合う人達です。
仕事に余裕がある人と、仕事やお金にガツガツしてる人達を混ぜると、ろくなことがありません。
「コミュニティ」という言葉の語源は、ラテン語の「commūnitās」という言葉で、これは分解すると、
con-:一緒に
mūnus:義務、責務
という意味の言葉だそうです。(Wiktionaryより)
共通の目的をもってつながりを作ることが、コミュニティの本質ということです。
明示化された目的がなくとも、同じような温度感、スピード感で物事を捉えられる人達の集まりが、居心地がいいのは間違いありません。
広く人を集めているオープン・コミュニティ」では、この辺の識別が難しかったりします。
なので、自分の温度感が合う人たちである程度クローズドに、気軽にコミュニティを立ち上げられる環境が必要だと思っています。
今作っているBiSEは、それを実現したくて作っています。
どうせつながり(しがらみ)を作るなら、自分で選んだ信頼できるメンバーと、がいいですよね。
ネットを通じて、どれだけでも人と接点を持つことはできます。
その中で、どんな人とつながりを持つことが、自分の人生を豊かにしてくれるのか。
そんなことを考えながら、「コミュニティ」について考えてみてはいかがでしょうか。
参考文献:「コミュニティデザインの時代」 山崎亮著
小林慶志郎
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昨春、緊急事態宣言が出た頃、外出自粛が謳われ、会社にも行けず、飲みにも行けず、ひとりひとりが孤立していくような気がして、この先コミュニティって重要になるよね、という本を書きました。(Kindleで発売中です)
「コミュニティと生きる時代 〜withウイルス時代の仕事と組織のカタチ」--小林慶志郎
https://www.amazon.co.jp/dp/B08CDY9CQ3/
BiSE公式サイト
https://www.thebise.com
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