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「風と共に去りぬ」

燃え上がる朝の東の橙に、気づいてながら背を向けた、
映写機からは空想科学が昨日の夜から流れっ放しで、
言葉を理解し得ない男は字幕に並んだ記号を目で追う、
義眼の老婦は途絶えた愛を延々と、やがて永久に導かれるまで、
点火直後の発煙筒ならドラッグ・レースに蹴り飛ばされたよ、いまはもう、
吸い殻みたいに小石や埃と眠りについたはずなんだ、

ブラウン管には旧世紀が見ていた未来、拙く儚く幼いまぼろし、
人は結局、調和にまでは至ることなく争うだけに終始した、
ネズミを追うネコの頭を狙うカラスは銃の標的、
彼の背後にキッチンナイフを磨く妻、彼女は移民手配師に、
抱かれて逃げる南の海を瞼に描く、あとほんの少しなのって、

砂時計を利き手に廻す、売れずに残り続けるうちに、
手垢にまみれて刻を重ねた、星明かりに流れる時間で孤独に慣れた、
小さな子にでも見抜けるはずの甘い嘘とまぼろし売った、
人は脆くも彼に酔う、今日を誤魔化せることが何にも勝ると知っていた、
ウソ売る自分は誰かを信ずことなどない、
そして時間、時間、時間が最期へ呼ぶのを待っている、

習い始めのピアノみたいにたどたどしい、雪が羽根の間を縫って、
手のひら溶ける花を見る、高みに探す鉛が混ざる雲の向こう、
月は足掻けどその手に堕ちぬ、旧世紀が描いた夢には磨き抜かれた鏡のような月の裏側、
人は調和を欲してなんぞいなかった、歩くはかつての銀幕たちの富の庭、
フィルムは切れてからから廻る、映した夢なら途絶えてしまった、
それから君は、それから僕は、
燃え上がる朝の東の橙に、気づいてながら背を向けた、

photograph and words by billy.

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