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InDesignとパソコン環境のこと

本業と並行しながらInDesignなどの個人レッスンを行っています。
まったく初めてだったり、経験者の方など、業種も年齢も様々な皆さんがお困りのことを一緒に解決していくオーダーメイドのレッスンです。

その中で、パソコン環境についてご相談を受けることがあります。

「やはりパソコンはMacを使わなければいけないのでしょうか?」
「少し古いパソコンを使っています。新調する方が良いでしょうか?」

初心者の方に多いこの質問について、私の考えをまとめてみます。


必ずMacを使わなければいけない理由は無い

まず1つ目の質問について。少なくともInDesignに関して言えば、必ずMacを使わなければいけない理由はまったくありません。

もうずいぶん前の話になりますが、デザイン用ソフトがMacにしか対応していない時期がありました。現在、InDesignを含むデザイン用ソフトのほとんどは、Mac/Windowsいずれの環境でも問題なく利用できます。
OSの違いからキーボードやメニューなどに多少の相違はありますが、少なくとも私の経験では、Mac/Windows共に機能や操作面で相互に見劣りするようなことは皆無でした。
以前からの思い込みで「Macでなければ使えない」と誤解されている方もまだまだ多いようです。

MacユーザーですがWindowsもアリ!

かくいう私はMacユーザーです。ですが、実はあまりMacにこだわりはありません。Macを使い続ける理由は単純です。

1つ目の理由は、長年使っているので慣れていること。キーボードショートカットやファイル管理など、単純に慣れているからMacの方が使いやすく感じるだけ。
年に数回、出張ヘルプでWindows版のInDesignを使うこともありますが、それほど違和感なく作業できています。最初にWindowsを使っていたらMacは使っていなかったかもしれません。

2つ目の理由は、仕事上のやりとりでMacのデータを扱う機会が多いこと。MacのデータはMacで扱う方がスムーズだからです(Windowsの場合も同様でしょう)。

私の理由はこの2つ。仕事や外部とのやり取りなど、特別な理由があれば別ですが、Windowsを使っている方が無理をしてMacのパソコンを買わなくても大丈夫です(逆も然り)。なんだかんだ言っても使い慣れた環境が一番ですから。
これからInDesignを使い始めるのでしたら、まずは現在の環境を基準に検討していただくのがベストでしょう。

中古パソコンでも割といけます

お使いのPCスペックにもよりますが、私自身は、InDesignを使うパソコンは少し古い機種や中古でもそれほど問題ないと考えています。

InDesignの他に「3Dモデリングソフト」や「映像編集ソフト」などを併用するのでない限り「そこそこ程度の性能のパソコン」でもそれなりに使えます。
もちろん、InDesignが動く最低限の環境を満たしているのが条件ですが、経験上、中古の機種でもそれほどストレス無く使えるようです。

実際、現在私がメインで使っているのも中古パソコンです。参考例として私の環境をご紹介しましょう(2020年5月現在)。

私が使っているのは、MacBook Pro 15インチサイズ(Retina, 15-inch, Mid 2015)。レッスンでの持ち歩き用に中古で購入したものです。
そのままメインマシンとしても使用中。この記事もこれで書いています。

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少し古い機種ですが、最大メモリー容量の16GBを搭載した機体を選んだため、それほどストレスを感じることはありません。
直近の仕事で、数百点のカラー図版を掲載する400ページ程度の書籍をレイアウトしましたが、まったく問題なく制作・納品できています。
少なくともInDesignを使っている分には、今のところ不足ない状態(注:OSはMojave、InDesign CC2019/2020での参考例です)。

以下余談。
仕事中はかなり長時間パソコンを使い続けるため、熱対策としてパソコンスタンドと冷却ファンを併用。キーボードとマウスをUSB接続しています(パソコン本体のキーボードも熱くなるため……)。
キーボードはAppleのフルキーボード。マウスはELECOMの「EX-6」です。
純正品よりも軽く、持ちやすくて気に入っています(有線マウスを使っているのは出先での電池切れを避けるため)。

本の大きさが四六判〜A5判くらいまでなら、MacBook Proの画面で作業しちゃいますが、誌面サイズが大きかったり、要素が多く込み入ったレイアウトの時は外部モニターに繋いで2つの画面で作業しています。

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*四六判(しろくばん):本の寸法を表す単位のひとつ。小説やエッセイなど、日本国内で販売されている新刊書籍の一般的な大きさです。InDesign初期設定での四六判の寸法は「高さ188 × 幅128 mm」ですが、出版社によって多少の誤差があります。


パソコン選びのポイント

参考例として私の環境を紹介しましたが、新品にせよ中古品にせよ、Mac/Windows共に、以下の点を注意していただくとよいでしょう。

対応OS、CPU、グラフィックボード性能など、InDesignを使うためのシステム要件を満たすもの。
なるべくたくさんメモリーが搭載されている機体を選ぶ(2020年現在、InDesignを含むAdobe Creative Cloud が推奨するメモリー容量は16GB以上です。実際には8GB程度でも何とかなるかもしれませんが、後々メモリー増設できる機種がベター)。
●なるべく本体の記憶メディアはSSDを搭載したパソコンを選ぶ(SSD搭載パソコンを選ぶだけでも体感的なスピードは大分違います)。

もしも購入される場合は、上記を参考にしながらお店の方とよく相談してみてください。


終わりに

今回お伝えしたかったのは「無理してスペックの高すぎるパソコンを導入しなくても良いかもしれない」ということです。

もちろん「どこまでやりたいか」によって求められる環境は変わります。
仕事でバリバリ使いたい方は高性能であればあるほど良いでしょうし、まずは試してみたい方や趣味でやりたい方はそうでもないかもしれない。皆さんそれぞれで目的や状況は異なるでしょう。
どんなケースであれ「使い慣れた環境」で「できれば初期費用を抑え」、「なるべく長く使い続けられる」ことが肝要です。

身近にいる詳しい方やお店などで相談しながら、無理のない範囲で「自分自身が気持ち良く、快適に作り続けられる環境」を整えていただければと思います。

今回は初心者の方向けに、パソコン環境についてまとめてみました。
少しでも参考になれば幸いです。ではまたお会いしましょう。

InDesignの公式ページから試用版をダウンロードできます。まずは現在の環境で試してみてはいかがでしょう?

* * *

追記

「中古でも良いかも」と書いておいて恐縮ですが、2022年2月から、メインの機材を Mac Book Pro 14inch M1 Pro に切り替えました。

この記事を書いてから2年弱、レッスンの教材用に簡単な動画を編集する機会が増えて、記事で取り上げたPCではちょっとパワー不足を感じていたこと。
また、InDesign CC2022から Mac OS Mojave がサポートされなくなり、どうしようかと思っていた頃、ちょうど新型 Mac Book Pro が発表されたのを受けて、思い切って導入した次第です。

DTP関連の記事で「Apple Silicon を実務に使うのは時期尚早!!」という意見をひんぱんに目にしていたため、かなりおっかなびっくりでしたけど、存外スルリと環境移行できました。
業務で使い始めて丸2カ月になりますが、今のところトラブルもなく普通に使えています。むしろ普通すぎて逆に違和感があるほどスムーズです。

私は以前ボンダイブルーのパワーマックG3で大変な目にあいまして……。
だから今回、新設計のMacが「普通に使える」というのはすごい!……と思っています。

購入にあたり、画面サイズをどちらにするかはかなり悩みました。でも私には14inchで問題なかったです。
16inch から 14inch へとスペック上の画面サイズは小さくなったのですが、新型はベゼルが狭くなった分、体感的な画面表示サイズは以前とあまり変わらない印象です。
加えて、外部モニターにつなぐのであれば、そこまで画面サイズを気にしなくても良いかもしれません。

私の場合、少し動画編集もあるため、メモリーのみ32GBに増設しましたが、DTP用途のみでしたら初期状態のマシンで問題ないように思います。

また、私の使い勝手ではラップトップが好みなのですが、デスクトップで問題なければ、先日発売された Mac Studio も良さそうです。
初期状態でメモリー32GB実装というのは、かなりお得な気がしますね(←実はちょっとくやしい)。

あくまで私の体感で、使用状況や個体差もあるかと思いますが、個人的には思い切って導入して良かったなと思っています。ちょっぴり生産性もアップした気がします。

ちなみに先代の Mac Book もサブマシンとして利用しています(レッスン用に英語版をインストールしておいたり、Zoomのモニター用にしてみたり)。

というわけで、意外とこの記事を読んでくださる方が多いようなので追記してみました。ご参考になれば幸いです。

(2022年4月5日追記)





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